【ガンパレードマーチに対する、ありきたりな蘊蓄・感想】
時は西暦2000年。UOやディアブロ2などがそれなりに日本に
上陸していた時代に、ガンパレードマーチは発売された。
複雑なルール、多様なスキル、一応はストーリーはあるにしても
自由すぎるストーリー、そして汚いポリゴングラフィック...いかにも
売れ無さそうな、クソゲーそうな雰囲気の漂うこのゲームは、
TVCMも全くされていないにも関わらず多くのプレイヤーに愛され、
第5回日本ゲーム大賞優秀賞に輝いた。
確かにこのゲームは凄い。自由度が異様に高く、しかもそれなりに
破綻していないのだ。戦闘が楽しみたい人は戦闘を、恋愛が楽しみ
たい人は恋愛を、といった具合に、プレイヤーは自分が望んだ事を
望んだ通りに選択することができる。スキルも、自分が望んだプレイ
をしやすい方向でとればいいのだ、そこには(ゲームシステム上やむを
得ないものを除けば)制限は無い。この自由度の高さと、自由度の
高さにも一定のクオリティを保ったところにこそ、このゲームの真骨頂
がある。レールの上を走るだけのゲームに飽きている人には、文句無し
にお奨めだ。
なお、自由度の高いゲームといえば、現在ならMMOを思いつく人が
多いだろうが、実際、このゲームと同じぐらいの自由度はMMOでも
達成することができる。このため、遅きに失した感も否めなくはないが、
一方でオフライン&全員NPCである事によるメリットも存在する。
つまり、他のキャラクター達はMMOの人間プレイヤーと異なり、ある
程度自分自身の役割を規定されていてその枠の中で振る舞うという
点である。これによって、MMOでは大味になりがちな他人への影響力
行使やグループへの働きかけの効果が、ガンパレードマーチでは
比較的はっきりと体験する事が出来る。恋愛システムや友達システム
などについても同様で、オフライン&NPCという、他人の欲望が介入
しない環境ゆえに、自分の意図した選択は比較的はっきりと対象
NPCに反映される。ここのところがMMOとこのゲームの特徴をはっきり
分かつ点であり、好みの分かれるところではないだろうか。
少々発売が遅すぎたことを含めて問題の残る作品だが、それを
補ってあまりあるインパクトをこのゲームは持っている。ネットゲーム
が普及した今、ガンパレードマーチを今更プレイする気になる人は
あまりいないとは思うが、仮にプレイすることとなったらその自由度と
完成度の高さに驚くに違いない。また、試験管内の実験のように
クリアーに自分のアクションが周囲に伝わるさまを体験できるかも
しれない。