(2004年版再編集後書き)

  よくもまあ、こんな昔の遺物を書き直したものです。
 とはいえ、このSS(FF)に描かれているアスカもシンジも冬月先生も、
 どのキャラクターも自分の心の様々な側面の投影だったのだなぁと
 今更ながら感じます。特に、アニメ&劇場版アスカのそれは、
 私のパーソナリティの最も脆くて嫌で苦手な所を体現したものだった
 だけに、(最初はそれゆえ猛烈に嫌悪しましたが)強く強く惹かれて
 生涯初めてアニメキャラクターに萌えたものです。

  このSSは、そんなアスカがもうちっと幸せでまともな生活が
 出来る女の子になるにはどうすりゃあいいんだろう?それでいて
 成長過程がどんな感じなら実際に成長しそうなんだろう?
 と想像しながら書いていたことを記憶しています。自分自身の
 パーソナリティをアスカに委ねていたために、読者そっちのけ、
 その代わり自分自身とのシンクロ率は100%で書き散らしました。
  結果、このSSを書き上げたことによって、私自身のアスカ的
 weak pointはかなり是正されたようです。他人に依存して幸福を
 持ってきてもらうという適応戦略は次第になりを潜め、現在では
 孤独に対する適度の耐性と、交際に対する適度の能力を
 マスターする方向に今の私は向かっています。

  そういえば、97年版の後書きには随分偉そうで厨な事が
 書いてありましたよね。

 その時こそ、現実世界の「幸せの基盤を持たぬヒト」の為に、
 己が獲得するであろう力を捧げたいと思っています。

 ヴォケがぁっ!(一喝)

  私は確かにアスカとの出会いで人生が急転換し、それなりに
 今は(婚約消えたばっかりであっても)幸福な状況を生きていて、
 そのうえ精神科医なんざやってますが、上に書いたような
 厨で傲慢な発言はとても今は出来ません。
 ただし、このSSでアスカを描いたことが、私の現在の価値観や
 幸福に凄まじい影響を与えているのは事実のようです。
 再読して再認識させられました。
 「あー、ここが俺の原点なんだな」と。
 もしopen my heartを書き上げていなかったら、私はきっと今頃
 平凡で内気でつまらない、精彩を欠いた大人に成長していた事でしょう。
 (今は、なんだかよくわからない生命力だけは旺盛なアメーバのような
 大人になりました)

  一人の読者にとって、SS(FF)なんざ所詮ライトノベルにすら劣る
 チープな娯楽なのでしょうし、そのような物の見方は多分適切なの
 でしょうけど、制作する側が死力を尽くして書いたソレは、制作した
 本人にとっては特別な意味と力を持った記念碑となるようです。

  さあ、あなたもSS(FF)読んでけちばっかりつけてないで自分で
 書きましょうよ。気に入らなかったり自分のキャラ観と一致しなかったら
 自分で書きましょうよ!そのほうがあなたの心の中のキャラクターも
 喜んでくれますよ!
 特に、アスカは不器用で馬鹿だけど必死な女の子です。
 そして、不幸です。
 なにより、それら全てをひっくるめて愛らしいです。
 だからとても書き甲斐があるってもんだと思います。
 もしもあなたの心の中のアスカがまだ泣いているなら、あなた自身の
 力で、あなたの方法で、あなたの価値観で、彼女を立ち上がらせて欲しい
 ものです。
 きっと彼女は喜んでくれるでしょうし、そしてあなた自身にも何らかの
 福音をもたらすのではないかと私は想像します。
 あなたの心の中のアスカは、誰かのSSやFFで癒されるよりも、
 あなた自身の助けを欲しているのではないでしょうか?


  私は今でもアスカが大好きですが、(私の心の中の)彼女はもう幸せに
 暮らしていますし、私の手を離れていっても全く問題ない大人の女性に
 なりました。あなたが本当にアスカを愛しているなら、どうかあなたの
 心の中の彼女をたすけてあげてくださいね。


 2004.5/2 かつて、アスカに萌えすぎて黒こげになった愚か者より。





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