生きててよかった 外伝7
【クリスマスを、愛する人へ】
【まえがき】
西暦2023年、12月。
誰にも語り継がれる事のない、14歳のアダムとイブの物語から既に7年の歳月が流れていました。
その後も続いた苦悩や試練にもめげず、ようやく二人に本当の春が訪れようとしている
今日この頃。
この小さな物語は、そんなシンジとアスカの幸福なクリスマスのお話です――。
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アスカは不機嫌であった。
向かいのテーブルに座るヒカリにしても同様で、フォークを扱う動作に
苛立ちの成分が含まれている事を、アスカはとっくの昔に気づいている。
ぽつりぽつりとつまらない会話を繰り返しながら、彼女たちは
人気の少ない大学のカフェテラスの一角で昼食を摂っていた。
それもそのはず、今日は12月24日、クリスマスイブである。
普通の大学生は既に冬休みを迎えて学校には来る必要は無いのだが、
彼女達4年生は別で、研究室に配属されていて研究などもあるために、
この特別な日にも学校に出て雑務をこなさなければならないのだ。
それは、学生生活最後のイブを恋人との甘いひとときにしようと
思っていたアスカにとって、とても腹立たしい事だった。
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お昼ご飯が終わりに近づいた頃、シングルベル確定の私とシングルベル常習者の
ヒカリの会話は、いよいよ悲しきクライマックスを迎えようとしていた。
「‥‥ええっ!?じゃあヒカリは今年も独りぼっち?」
「そうなのよ。鈴原ったら‥‥もう三年連続。女心をどう思ってるのかしら。」
ついに、今年のイブの悲しき予定を私に告白するヒカリ。
最初は真っ直ぐ私のほうを向いていた彼女の顔は、最後にはちょっとだけ天井を
見上げるような格好になっていた。
なんだかかわいそう。でも、今年は他人事じゃないのよね。
「そっかぁ‥‥かわいそうね‥。鈴原っていい男なのは認めるけど、どうも
その辺のフォローがね‥‥。」
「でも‥‥アスカは‥‥いいわよねぇ‥‥碇君ってそういう事にも気を配るから。」
「な、なに?」
ヒカリの顔に、ほんの微かに嫉妬を感じたような気がして、少しだけ体を堅くする。
「アスカは‥‥やっぱり‥‥今年も碇君と一緒なのよね?」
そんな私には気づかないのか、ヒカリは遠慮なく次の言葉を繋ぎ‥‥。
「え?ま、まあ‥‥」
バカな私は見栄を張ってしまった。
ああっ!私ってホントにバカ!
今年はシンジとはお互い別々なのに!
「って事は、碇君金沢からわざわざ来てくれるの?はあ‥‥羨ましい!!
鈴原ったらね、今年は集中講義があるとか言って‥‥」
殆ど条件反射的に答えてしまった私の嘘に、待ってましたとばかりにヒカリが愚痴り始める。
いろんな意味で後悔する。
自分の相変わらず見栄っ張りな所とか、ヒカリの悲しいそうな表情とかに。
私の事、やっぱり羨ましく思ってるのかな‥‥そうね、思ってるに決まってる。
鈴原がこういう事には無神経すぎるから、確かにヒカリのクリスマスはいつもかわいそう。
でも‥‥今年はヒカリとおんなじで私も‥ひとりぼっちなのよね、チクショウ!
気の毒な親友の愚痴を上の空で聴きながら、私は約一週間前のシンジとの電話を思い出していた。
『ごめん』
『ゴメンっていうのはもう何度も聞いたわ。』
『だからさ、卒論の日程の都合から言って、24日はどう考えても
徹夜になるんだ。順調に進んでも十時まで学校で分析実験やって、それ
から界面制御学講座の先生の所で26日の発表会の‥‥』
『それ以上言わなくてもわかってるわ!要は、第二新東京行きの電車には
間にあいっこないって事でしょ?』
『ごめん』
『もぉ〜〜!!昔のシンジみたいに何度もゴメンゴメン言わなくても
いいでしょ?毎年クリスマスは一緒にいたいなんて、私の我が侭って事
くらい分かってるわよ。だからもう気にしないで!』
『だってこういう時、アスカは僕がいないと不機嫌に‥』
『なぁんですってえええ!!!!』
あ〜あ、最悪よ。
結局あの後喧嘩になっちゃったから、こっちから金沢まで会いに行きづらいし‥
もう今年のイブはどうやっても諦めるしかないわよね。
学生時代最後のクリスマスは独りぼっちかぁ‥‥情けないやら悲しいやら‥。
みんなシンジが悪いのよ、うんうん、そうそう。あいつ、相変わらず要領悪い
んだから‥‥卒論くらい、この私みたいにさっさと仕上げてしまえばいいのに
いったい学校で普段なにをやっているのか信じられないわよ。そもそも‥
「‥‥‥って事で、鈴原とはお正月は一緒にって事にしたの。それしかないわよね?
ねえアスカ、私の話、聞いてる?」
ええ、そもそも12月は誕生日とクリスマスだけは私の為にキッチリ開けておくのがずっと
前から習慣になってるっていうのに、なんで今年はキープしとかないのよ!
イブの夜に卒論の実験を持ってくるっていうのが考えられないわ。
もしかしてあいつ‥‥こないだ久しぶりに寝てあげてから、いい気になってるんじゃ‥‥
「アスカ?アスカ、どうしたの?」
もう私の事、あんまり構わなくても大丈夫だって思ってるのかな?
この私が『都合のいい女』じゃないって事は、普段からようくわかってるだろう
けど‥‥まさか向こうで浮気してて、イブは浮気の相手と一緒に!?
でも、そりゃないか。あいつにはそんな甲斐性ないもんね。
「‥‥ねえアスカったらっ!!」
「え゛?あ゛、ゴメン。ちょっと考え事を‥‥」
「カレの事?」
「ん〜、そう‥‥かな?」
「アスカって正直ね。ほら、お味噌汁、ご飯の上にこぼれてるわよ」
「えっ!?あっ!!ひど〜い!!!!」
ヒカリの言葉に我に返ると、お味噌汁のたっぷりかかったご飯が私を笑っていた。
* * *
お昼を食べた後、私はすぐに自分の所属する研究室に戻った。
卒論終わった私にはあんまりやる事は無いんだけど、顔を出しとかないと色々と面倒だし、
お目当ては友達との無駄話ってことで。
だけど、他の女の子達と話し込むうちに悲しい気分になって、30分後には私は
学校を出る羽目になったの。
だってさ、みんなすんごく幸せそうなんだもん!精一杯目を輝かせて
『相方と一緒に志賀高原でナイタースキー決定なの。嬉しい!』とか
『サンタさんよりやっぱオトコ』とか『惣流さん、今年はどこでデートするの?』とか‥‥。
きぃ〜っ!!まったく人様の気分なんてお構いなしなんだから!
あ、でも私も去年まではみんなにそんな風に見られていたのかな‥‥‥だからって、
今の私のこの気持ちはおさまらないわ‥‥この腹立たしさ‥‥くっそ〜シンジったら!!!
* * *
「まったく‥‥シンジのバカ!!ばかばかバカ!!!!
何年経ってもやっぱりバカシンジなんだから!!!!」
誰もいない自分の部屋に帰った後、シンジの写真に向かってしばし八つ当たり。
‥‥ダメね、ますますやるせない気分っていうか惨めになるっていうか‥‥
仕方ないわね。よしっ!
ストレス解消しなきゃ!
今の私はイライラを何とかする方法を幾つも知っているもんね。
昔の泣き虫アスカとは違うのよ、今の私は!!
さあ、早速実行。とにかく、この最悪な一日を乗り切ってしまえばいいんだから。
善は急げね!さっそくお買い物に行こうっと。
* * *
まずは最初の目的地、ケーキ工房『ル・ブラン』へ。
なるべく周囲には目を向けないようにしながら、お店への最短ルートを急いだ。
街は、クリスマス一色‥‥。
チカチカと瞬くツリーの明かりに、クリスマスソング。でも、今年の私はひとりぼっち。
幸せそうな表情のカップルの姿やケンタッキーのパッケージを大事そうに抱える
親子連れを見かけるたびに、私は目を逸らしたり、俯いたりを無意識のうちに
繰り返していたような気がする。
いつしか、唇を噛みながら歩いている。
なんか、とっても自分が情けない気持ち。
「いらっしゃいませ〜!」
店内に入ると、普段は見慣れない姿が私の目に留まった。
この日だけの風物詩、サンタクロース。
臨時のアルバイターとおぼしきサンタ姿の女の子が二人、忙しそうにケーキを売っている。
“あの子達も、今日は一人よね、きっと。うん、シングルなのは私一人じゃないわよ。”
なんだかちょっと嬉しいかな。
でもこういう事で喜ぶのってのも、情けない話ね。
まあいいや、どれにしよっかな‥‥ここのケーキは充分おっきいけど‥‥せっかくだから‥‥
一人で二個食べちゃおうっと。太ったらシンジのせいって事で。
「すいませ〜ん、冬季限定のミルフィーユひとつとモンブランひとつお願いします」
* * *
いったん家に帰ってケーキを冷蔵庫に放り込み、次にミサトの所に向かう。
目的?
そんなの決まってるじゃん。もちろん、お酒よお酒!
こういう時は食べるだけよりもお酒飲むほうが効果があるんだから。
これって、いわゆるヤケ食いとヤケ飲みよね。
美容には無茶苦茶悪いけど、聖夜だから美容の神様もきっと見逃してくれる‥
‥と信じたい。
それに、万が一私が太っちゃったりして一番困るのは、ヤケ食いの原因を作った私の永久就職の相手だし。
「‥‥って事で、この家にはお酒が下手な酒屋よりあるから、勝手に
もってくわよ。」
「別に私は構わないけど‥‥アスカったら‥‥」
「ええと、これなんかよさそうね‥‥ふぅん、ヘネシーのXOっていうんだ‥‥」
「あっ!それはダメ!!」
「なんで?」
「そ、そ、そ、そ、それはブランデーなのよ、アスカ、アスカには
まだ早いわよ、早い早い!」
「‥‥‥ブランデーなんだ、じゃあヤケ飲みにぴったりじゃない!!
気に入ったわ、これ、貰ってくから。」
「あ、あすかぁ‥‥‥」
やけに未練がましいミサトを無視して、私はその琥珀色のボトルを家に
連れて帰る事にした。ブランデーなら丁度いいよね、おいしいし度数も強いし。
それにしてもミサトったら、他のボトルにしろだとかワインあげるからそれはやめてとか騒いでたんだろう?
もしかしてこれって高いのかしら?
ま、ブランデーは高いほうがおいしいらしいから私は全然構わないけどね。
* * *
ああ〜一人でヤケ食い、一人でヤケ酒、なんて侘びしい22歳の
シングルベル‥‥‥いけないわね、こんな事思っちゃダメよ。
すぐに暗くなるのは昔の私。今の私は違うもんね。
ほぉら!おいしいお酒においしいフライドチキン!!うっとうしいシンジが
いないフリーなクリスマスも悪くないわよ!こ〜んな風にあぐらだって
かいちゃうもんね〜!!
そうだ!
クリスマスイブにテレビなんて見たことないからいい機会ね、見てみようっと!!
プチッ
『愛してるよ』
『私も‥‥あなた無しじゃ、生きていけない。』
『朋美‥‥永遠って言葉を、信じているかい?』
『もちろんよ!私、信じてる!。』
テレビをつけたとたん、ブランデーのせいででぼんやりした私の視界に、
とても嫌なものが飛び込んできた。
すぐにテレビを消し、冷めかけのチキンを頬張る。
12月24日の私の部屋が、元の静けさを取り戻した。
とても空しい、シングルベル‥‥。
「まったく、こnの私をほp@おらあkして実権なんでやってるのが
っしんじられない!”」
「こんないい女どこにもいないわおy〜それおwお酒漬けにしちゃて
何様のtもるいあののよ!」
「‥‥シンジぃ〜!来ないともう一杯あたし飲んじゃうからね。
ホントよ!!ホントに飲んじゃうからね!!へべれけになっちゃうからねぇ!」
「ケーキもふたつとも食べちゃうからね””知yらぁないよ!」
「‥‥‥」
「なんて言っても、来るわけないか‥‥」
「なんだか、眠くなってきたわね‥‥でも、まだ12時まで時間あるし‥」
「ふわぁ〜あ‥‥」
「もう‥‥寝ちゃいそふ‥‥シンジのバカやろあう‥‥バカシンジ‥」
「:‥バカ‥‥こんなに寂しいクリスマスなんて‥‥シンジのぱか‥‥」
* * *
「アスカ‥‥」
「おきてよアスカ‥‥」
呼び声に、私は目を醒ました。
つけっぱなしの部屋の電気、こたつの中でうずくまったままの自分、
ブランデーの匂い‥‥なんだか頭が痛い。どうやら飲み過ぎて寝ちゃったみたいね。
「ああ、起きた。アスカ、ごめん。間にあわなくて。」
「ん?‥‥シ、シンジ!?なんでここに?」
私の目の前に、なぜかシンジがいる。
でも、なんで?今年はダメだって言ってたのに?
もう朝なのかな?
そう思って時計を見ると、まだ夜中の12時半を指していた。
「もう日付変わっちゃったね。第二新東京行きの最終便には間に合った
んだけど、駅からここまで来るのに意外と時間がかかってさ‥‥
合い鍵使って勝手に入っちゃった。ごめん。」
「それより、このお酒と食べ物は‥‥一体何やってたの?
アスカ、目が真っ赤だよ。まさか、一人でこれを全部‥」
「だぁってシンジが来ないって言ってたからさ‥」
思いっきり拗ねた声でそう言うと、目の前の男は一瞬だけ困った顔になり、
でもすぐに笑顔を顔に浮かべて私の耳元にささやいた。
「寂しかったの?」
「なによその言い方‥バ、バカにしないでよ!」
「むきになった顔もかわいいね」
「ひっど〜い!!こらっ!何すんのよ!」
「アスカをだっこするんだよ。」
口ごたえする私を宥める為なのか、突然シンジが背中から抱きついてきた。
そのまま背中越しに頬を私の頬にこすりつける。
ああ、あったかい!
シンジは、それで動きの鈍った私の体をクルリと回転させ、今度はお互いに
抱き合うような格好に。‥‥そのまま、『いつものやつ』を三回。
「これで許してくれる?」
「‥‥こんなの反則よ」
「でも、顔は笑ってるよ」
「いじわる!」
「じゃあ、今から帰っちゃおうかな‥やる事残してこっちに来たんだし。」
「ダメ。もっといじわる。」
「じゃあ、泊まってく。」
「‥‥‥うん。よろしいっ。」
‥‥こうして、私達だけの短くて長い夜が始まった。
遅れてきた私とシンジだけのハッピーメリークリスマス。
日付は25日に変わっちゃったけど、そんなの関係ない。
今、ここにシンジがいるから私は幸せなの‥‥。
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【一緒にケーキ】
「あれ?ケーキ買ってあったんだ。
アスカは僕が来る事わかってたの?」
「う、うん。シンジがこ、このアスカ様を裏切ってイブの夜をひとりぼっちに
しとくなんて最初っから思ってなかったもん。私、シンジがきっと
来てくれるって信じてたのよ。だからね、ケーキは二つ買っておかな
きゃって思って。(ホントはヤケ食い用に買っただけだけどね)」
「うわぁ、でっかいケーキだなぁ、『ル・ブラン』のやつでしょ。」
「あったりぃ!!」
「でも、アスカの好きなミルフィーユとモンブランってのは‥‥」
「(ギクゥッ!)え?、あ、それは‥‥」
「‥‥まあいいや、せっかくだから食べようよ。それとも、お酒のせいで
もう食べられないとか、そんな事ないよね?」
「(内心ホッとして)え、ええ、ええ大丈夫よ。そうね、一緒に食べましょう。」
:
:
「「いただきまぁす!!」」
(はぁ‥‥お酒のせいで気持ち悪い‥‥こんな事になるって分かってた
んなら、ミルフィーユなんかより、レアチーズとかにすれば良かったわ。
カスタードもパイもお腹にもたれるぅ‥‥)
「あ、アスカ、なんか苦しそうな顔してるような気がするけど
やっぱり食べられないの?」
「そ、そんな事ないわよムシャムシャ やっぱ『ル・ブラン』のケーキは最高ね。」
「なんだ、ならいいんだけどね。そうだ、おみやげにシャンパン持ってきたから
一緒に飲まない?」
「(無理矢理笑顔を作って)え、ええ勿論いいわよ。さぁ、飲みましょう!!」
「アスカ、ホントに飲み過ぎてない?大丈夫?」
「ぜ、ぜんぜん平気!!お楽しみはこれからね!」
「よかった、じゃあ開けるよ‥」
シュポン
「じゃあ、二人のクリスマスを祝して‥‥乾杯!」
「かんぱい〜」
「ふう、おいしいなぁ。あれ?アスカ飲まないの?」
「の、の、の、飲むわよ(アスカ、震える手でグラスを口元へ)
ゴクゴクゴクおいしいわね〜」
「そっか、よかった。気に入ってくれたんなら、アスカがいっぱい飲んでいいよ。
僕はアスカほどお酒に強くないし。」
「ひっ!それだけは勘弁して!」
「えっ?」
「(ほとんど泣きたい気分なのに無理矢理笑顔を作りながら)な、なんでもないわ、
私、シャンパン大好きなのよ、いただくわ。」
【一緒に食後の満足感】
「おいしかった〜!!アスカが一緒だと、やっぱり味が引き立つんだよ。
そうに決まってる。」
「‥‥。」
「ねえ、俯いてどうしたの?」
「‥‥。」
「顔、青いよ。」
「‥‥‥‥。」
「アスカ、大丈夫?」
「‥‥うっ!!(以下、良い子のみんなは聞いちゃダメな効果音多数より削除)」
「おバカさんだなぁ、無理しちゃって。食べられないなら食べられないって
言えばいいのに。」
「だって‥せっかく遠くから来てくれらのにシンジ一人に食べさせるのは
あんまりだとおもってさ」
「そんな事気にしなくてもいいのに。 ほら、口すすいで。まったく、
アスカは子供並みに手がかかるから‥」
「なんか言った?」
「いえ‥‥何でもありません。」
【一緒にお風呂(爆)】
ごしごしごしごし じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ
ごしごしごしごし じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ
ごしごしごしごし じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ
「こらっ!じろじろ見るなって言ってるでしょ!」
「見てないよ!見えただけだよ!!」
「なにぃっ!!!」
ボカ
「痛っ!いいじゃないかぁ!今更どうってもんでもないだろ?」
「恥ずかしいわよ!それにじろじろ見ないって約束で一緒に入ってるの、
もう忘れたの?」
「だからさぁ、じろじろ見たんじゃなくて見えただけなんだよ!
それに、見るだけならいつも見てるじゃ‥」
「あんたには乙女の恥じらいってものがきっとわかんないのよ。」
「22にもなって乙女だなんて‥」
ぱぁんぱぁんパァンパァン‥‥(←エコーがかかっています)
「‥‥‥で、22歳で乙女のアスカはどうして欲しいの?」
「罰として、私の背中を洗うよーに。丹誠込めてやらないと、もう一回ぶつわよ。」
「あの‥‥背中だけじゃなくて前のほうは‥」
「家の外はとぉっても寒いわよ。あんた、裸で外に放り出されたいの?
そんなの自分で洗うわよ!このエロシンジッ!!」
【一緒に歯磨き】
「さっき戻しちゃったからね、きっちりやって匂い消さないと。
シンジに“口の中臭い”なんて言われた日にはたまったもんじゃないわよ。
今夜は大事な夜なんだからキめないとねっ!」
「アスカ、歯磨きの最中に誰に向かって喋ってるの?」
「ん?なんでもないわよ。」
【シンジとアスカ――聖夜はシーツに包まれて】
「今は、いいの?」
「うん‥‥でも、今だけよ。」
「ふわふわだね。」
「いやんっ!」
「気持ちいい?」
「わ‥かんない。」
「ホントに?」
「知らないっ!シンジのエッチ!」
つづきは、二人だけのひ・み・つ。(爆)
【一緒に夜明け】
「ねむい‥‥」
「つかれたぁ‥‥」
「シンジがエッチなのが悪いのよ。」
「ううん、アスカのせいだよ。僕を殺す気?」
「なによ、気持ちよさそうな顔してたくせに!」
「アスカのほうが気持ちよさそうだったよ。」
「う゛っ‥‥それより、今何時?」
「午前6時20分だって」
「30分は眠っても大丈夫だよね」
「そうね。全然寝ないよりはマシかもね。」
カチリ
「目覚ましを7時にセットしておいて‥じゃ、ちょっとだけ。」
「ねえ、服着なくていいの?」
「後にしようよ。私、眠くてしかたないわ。じゃ、おやすみ。」
「おやすみ。」
【午前7時】
すー、すー、すー、すー
ピピピピピピピピピピピピピピピピカチッ
すー、すー、すー、すー
【昼】
「アスカ、起きてっ!!大変だ!!」
「なによぉ‥私低血圧で朝は弱いから‥ムニャムニャ」
「もう朝じゃないよ!!時計見て!時計!!」
「1時!?大変!!ヒカリと待ち合わせしてるのに!!」
「僕、もう帰るね。実験まだまだ残ってるから。」
「ええ、わかったわ。じゃ、またお正月に会おうね。
みんな、今年も集まるって話だから。」
「それまでいい子にしてるんだよ。」
「何よその言い方。」
「見たまんま。」
「ひっどーい!こら!ムニュ キスで誤魔化さない!!」
「また暫くお別れだからね。じゃ、また来るから。バイバイ、アスカ。」
「うん、バイバイ!!気をつけて帰ってね!」
「さぁて‥‥グズグズしてらんないわ‥急いで学校行かないと。」
【ヒカリ、アスカに説教する(未完)】
「ごっめ〜ん、すっかり遅れちゃって。一時に待ち合わせってのに
30分も待たせちゃって。あのね‥」
「何も言わなくていいわよ!!もうっ!アスカったら!!」
「う‥‥‥」
「どうせ、夜通し碇君とやらしー事に夢中になってたんでしょ!もうっ!
ゆうべ何時まで起きてたの?答えなさいっ!」
「六時半‥」
「あきれた!!
どうしてそんなにアスカったら‥」
「だってさ‥これには深い事情が‥」
「何が事情よ!!ええ、ええ、ど〜せ私は一人の寂しいクリスマスだったわよ!
アスカが碇君と楽しいひとときを過ごしている間、私は卒論仕上げやって
臨時の居酒屋のアルバイトやって‥もうっ!知らないっ!」
「ヒカリ、ゴメンっ!!」
「‥‥ホントにしょ〜がない娘ね‥アスカったら。
碇君の事になると、だらしがないんだから。」
おしまい
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