生きててよかった 第3部 「信仰」
Episode-13 【信仰から福音へ‥‥】








 ★[2023.6/7 10:40 シンジのワンルームマンション]



 「おはよう、アスカ。
  お茶、入れたよ。」

 「‥‥‥ン‥‥‥まだ‥眠‥い‥‥」


 「仕方ないなぁ‥‥もう11時近くだよ、ほら、起きないと。」


 ばさり



 「あ、あれ?アスカ、は、裸‥‥」

 「あ‥‥あんた‥‥ね‥‥」


 「ごっごめんなさいごめんホントにわざとじゃないんだからその‥」

 バチン


    *        *        *


 「昨日の夜は‥その‥‥ありがとう‥っていうか‥‥」

 「やめてよ、ありがとうなんて。」


 「‥‥じゃあ‥‥これからも、ずっとよろしく。」

 「うん‥‥」





 「ねえアスカ」

 「ん?」


 「僕達、就職先は二人とも第二新東京だろ?」

 「そうだけど‥‥」


 「卒業したら、一緒に暮らさないか?」

 「‥‥ありがとう。」


 「アスカのほうこそ、ありがとうなんて言わないでよ。」

 「あっ‥‥そうね。
  これからもずっと‥‥一緒にいようね」



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 ★[2023.8/10 22:52 スナック・北極星]


 「さあて!今年も年に一度のこの日がやって参りました!!
  例よって、今日は、時田元司令のオゴリです!!
  日本重化学工業共同体の重役をやってらっしゃる時田さんの財布を、
  貧乏人の俺達が軽くしてあげましょう〜〜!!!」

 「いいぞ〜!日向〜!」
 「お〜!!」


 「とほほ‥‥これからも毎年一度、むしられていくのか‥‥」

 「まあ司令、そう肩を落とさずに飲みましょうや」

 「‥‥とか言って、君の持っているのは何かね?加持君。」

 「ドンペリニョンの白ですが。」


 「わ、わたしの‥‥‥ド‥ドンペリが‥‥」

 「まあまあ堅い事言わずに!!
  いや〜さすが!重役さんは太っ腹だ!!」



 「時田さぁ〜ん〜!!ナポレオンのボトル、開けちゃうからね〜!」

 「うぃ〜!やっぱ、この味よこの味!!」

 「うぃっす!俺もごちそうになろっと!!」



 「‥‥ええい、こうなりゃヤケだ!
  みんな、好きなだけ飲んじまえ!!今日は、私のおごりだ!!」


 「イヨッ!待ってました!」

 「時田司令、太っ腹!!」

 「元司令、だろう」

 「いいのいいの!!今夜は再びネルフの総司令さ!乾杯!!」

 「「「乾杯!!」」」








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 ★[2024 2/1 14:09 葛城邸]


 「「こんにちわ〜」」

 「あら!二人ともいらっしゃい!!
  ちゃんと仲良くしてる?」

 「まあね〜、私とシンジだもん。それにしても、綺麗な家ね〜!」
 「やっぱり、新築の家っていいですね。木の匂いがする」

 「でしょでしょ〜!ネルフの退職金はたいて買った家なのよ〜!
  さあ、あがって!」


    *        *        *


 「トシくん、しばらくみないあいだにまたおっきくなったわね!」
 「うん!」

 「おね〜ちゃんとなにしてあそぼうか?」
 「これ!これやる!!」

 「ブロックやるの?うん、わかったわよ」




 「トシくん、アスカによくなついていますね。」

 「ええ、アスカは同じ街に住んでいるから、こうやって来ては
  遊んであげてくれてるからね。」

 「そっか‥‥いいなぁ、こういうのって。」

 「私と加持の子供がこうやってアスカと遊んでいる‥‥ホント、夢みたいね。」



★[2024 5/4 09:45 旧東京第一留置所正門]



 「本当に長い間、お世話になりました。」


 「死刑が懲役8年‥‥それが恩赦で減刑‥‥必ずしも苦労が少なかったとは
  言い難いが、とりあえず、釈放自体は喜ばしい事だ。」
 「これからも、お元気で。
  署員一同、赤木さんの前途が明るい事を祈っています。」


 「‥‥‥こちらこそ、入所中の皆さんの御配慮には、とても感謝しています。
  あ、引受人が来たようなので、では、失礼いたします。」




 「わざわざ来てくれてありがとう。あなたには、本当にお世話になったわ。」

 「なに水臭い事言ってるのよ、友達じゃない!」

 「そう‥‥そうね。
  私はミサトの友達、加持君やマヤの友達、よね。
  これからも、よろしくね。」



★[2024 5/4 14:00 葛城邸]


 「センパイ!センパイ!センパイ!!」


 「あらあらマヤったら、何にも変わってないのね‥ほら、
  私なんかの為に泣いたりしたら、旦那さんがすねちゃうわよ」

 「いえ、そんなのいいっすよ!
  ともあれ赤木さん、出所おめでとうございます!」


 「おめでとうございます!」

 「おめでとう!」

 「おめでとう!」

 「おばちゃん、おめでと〜!!」


 「ありがとう‥‥本当にみんな、ありがとう‥」




★[2024 9/30 23:51 ショットバー・エデン]


 「ここよ、ここ。
  ミサトとよく二人で飲みに行くのは。」

 「で‥ここのマスターが洒落たカクテルを出したんだよね?」

 「ええ、すごくおいしかったわよ。期待しててもいいわ」


 チリリン・・・


 『いらっしゃい』



 「ジンフィズをひとつ。」
 「私はスプモーニ。グレープフルーツは少なめにね。」



 「一緒に暮らしはじめて、もう半年‥‥か。」

 「なんか、喧嘩が絶えないわね〜。
  でも、お互い素直な証拠だし、ホントに少しづつだけど、減ってるし。」

 「喧嘩は、ある程度は仕方ないよ。お互い人間なんだからね。
  これだけ素直に付き合ってこれだけ少ないんだから、満足しないと。」

 「ええ、満足してるわよ、もちろん。」


 『お待たせしました。ジンフィズと‥‥スプモーニになります』




 「ああ‥‥お酒がおいしいわ‥」

 「外で二人で飲むのって、もしかして初めて?」

 「そうね。家じゃ一緒にいるからわざわざ外で飲まなくても‥ねぇ。」

 「それに、お酒で口説かなくてもアスカは‥」

 「なにぃ?」


 「‥‥な、なんでもないです‥‥」

 「シンジ‥‥そんなひどい事言うのね‥‥」

 「わっ!う、嘘だよ!冗談だよ!!誤解だよ!!」



 「アハハハ、冗談よ冗談!!
  でも、何にも変わってないのねシンジのそういう所って。」

 「ダ、ダメなのかい?」

 「ううん。あなたの昔から変わらないそういう所、今はとっても好きよ。」








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 ★[2024. 11/29 18:42 銀座ジュエリーマキ・パルコ第二新東京店前]


 (どうしよっかな‥‥)

 (ただのネックレスとかにしようか‥‥)

 (それとも‥)

 (‥‥‥アスカはどうなんだろ‥‥仕事のほうの都合とか‥‥アスカ自身の
  気持ちとか‥‥)


 『お客さん、何か?』


 「い、いえ、今日は、特に‥‥」


 (これ以上ウロウロするのはやめよっと‥‥また、明日考えればいいさ‥)




 ★[2024. 11/29 19:37 シンジとアスカの家]



 「ただいま〜」

 「あら、やけに遅かったわね。御飯、できてるわよ」

 「あ、アスカが作っておいてくれたんだ、ありがとう。」



 「‥‥ねえ、どこで何してたの?」


 「う〜ん‥‥」

 「ねえ、お・し・え・て。」

 「ず、ずるいよそういうの‥‥仕方ないなぁ‥‥プレゼント見てたんだよ、
  今年のアスカにあげるやつ。」



 「で、今年のバースデープレゼントは、何に決めたの?」

 「まだ‥‥決まってない。」

 「え〜っ!?」

 「ちょっと迷ってるんだ‥。」





 「もしかして、婚約指輪とか?」

 「ええっ!!? な、なんでわかったの?」



 「え?本気なの‥‥‥‥それ‥‥」


 「‥‥‥‥うん‥‥‥」



 「‥‥‥」

 「‥‥‥」



 「‥‥‥」

 「‥‥‥」



 「アスカ」

 「‥‥‥」


 「僕は‥‥こんな僕だけど‥‥料理はできるけど頼りないし‥‥アスカと違って
  勤め先は二流企業だし‥‥それになんか同棲してるアスカにこんな事いうのは
  なんかその、無理矢理っぽいみたいでいいのかな〜って思えるっていうか
  その‥‥‥」

 「‥‥‥」


 「‥‥‥」

 「‥‥‥」




 「‥‥ずっと、一緒にいたいんだ。」

 「‥‥‥」


 「‥‥ずっと、一緒に暮らしたいんだ。」

 「‥‥‥」


 「‥‥ずっと、力になりたいんだ。」

 「‥‥‥」



 「アスカ‥‥僕の、いちばん大切なアスカ‥‥」

 「‥‥‥」






 「結婚‥‥しよう。」




 「‥‥うん‥‥ずっと、私を大事にしてね。
  私も、シンジだけを見てるから。」





 ★[2024. 12/4 23:56 真っ暗闇の部屋]





 「僕達‥‥本当に結婚するんだね‥‥」

 「そうね。
  長い付き合いだったわね‥‥初めて出会ってから、もう9年経ったのよ。」



 「色々あったね‥‥傷つけあった事も、誤解しあっていた事も、
  楽しかった事も‥‥」

 「でも、ずっと幸せだった。
  あなたを信じられなくなった時は辛いばっかりだったけど‥‥
  あなたを信じて暮らした時間は、いつも楽しかったわ。」





 「僕、これからもアスカとずっと幸せに暮らせるのかな。」


 「お互い、こんなに感謝しあって、お互いを信頼しあっているのよ。
  きっと大丈夫よ。」


 「アスカ、これからもよろしく。
  必ず幸せにしてあげるから。」

 「私もよ。
  ずっと、ずっと幸せに暮らそうね‥‥」





                          →to be continued








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