【昆虫のホルモン伝達系と人間の情報伝達系】
社会性のある暮らし方をしている昆虫は、ホルモンタイプの物質を
放出することで仲間達の行動に大きな影響を与え、それによって餌を
集めたりする事に役立てている。小学校の教科書でも、アリが腺の
はたらきを借りて行列をつくる話が出ていたことと思う。
彼らの世界では、ホルモンによる情報伝達で他の集団内個体に大きな
影響を与えるため、そういう情報の媒体となるホルモンを操作する事に
よって、虫達の行動に大きな乱れが生じる。ホルモンだけでなく、例えば
ミツバチの八の字ダンスなどにしても、羽におもりをつけるなどして
邪魔してやれば、本来とは異なった情報を集団に与える事が可能だ。
対して、人間社会の、発達したメディアを省みる。メディアが十分に
浸透した集団内では、そのメディアは集団内の個体すべてに対して
情報を与える事が出来る。もちろん、ミツバチやアリのようにホルモン系の
物質を与えて有無を言わさず指令を叩き込むような事は出来ないけど。
しかし、内分泌/脊髄/古い脳レベルではないにしても、大脳皮質レベルで
個体すべてに影響を与えるシグナルならば、メディアは伝達する事が出来る。
例えば、喜怒哀楽・かわいい・怖い・汚い、などの情報は、少なくともメディアを
介してメディア発信者は発信する事が出来る。
これらは昆虫などの情報伝達のような絶対性を持っていないし、考える動物
たる人間は、それらの情報に付随した他の情報を加味しながら判断を行う
事は出来る。しかし、感情などの情報は海馬扁桃体など古い脳のレベルを
介しているため、実はレジストするのは決行大変である。