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005 献血恐怖譚  

先日、献血に行ってきた。
比重も血圧もクリアして、いざ採血となったら、担当の看護士さんが新人であった為か、私の皮下脂肪が厚すぎたのか、針が皮膚に突き刺さっているのに、待てど暮らせど血が出てこない。

西洋の貴婦人が、しばしば血を見て気絶するところを小説で読んだり映画で観たりするが、私はむしろ、針が腕に刺さっていながら、採血管にとくとく血が流れ出てこない状況の方が情緒的に追いつめられる。
かなり悪銭苦闘したんだけど(←看護士さんが)、結局、献血回数39回目にして初めてのリタイアとなった。

途中から応援に入った主任さんが素早く処置しながら謝ってくれた。

「すみませんねぇ、針のあとが青あざになるかもしれないです。10円玉の大きさくらいかなぁ。ひょっとしたら、500円くらいかも。」

思わず「札ですか」って聞き返した。

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