ヴィタール

塚本晋也監督作品

ヒトには「知らない方が良かった事」もたくさんある。
しかし、良かったか良くなかったかを決める権利もあると思うのだ。まったくストーリーと関係なくそんなことを思いつつ感想へ。

ストーリーの主軸もわたしには「喪の仕事」を思い出させ、 落ち着き場所もなんだかとっても優しさにあふれていた。
だからと言ってありふれてるね、という気にもならない。途中、第三の世界を登場させ、逝く者と残された者それぞれに各々の状態を納得させる手法がとてもゆったりとして良かった。
彼女から去る、というのもなんとも優しい。
狂気の中に入り込みかけていた大学の女の子も、何故だか最後には彼と彼女に納得をして優しくなる。

とにかく「優しい」。毎日誰かがこうやって納得して、(相方は「慣れる」と言う。身も蓋もない言い方だが、正しいと思う)そして明日の朝になるんだろうな、と思った。

2004.12.23

HEAVEN

ケイト・ブランシェットもジョヴァンニもどちらも好きだからってな簡単な理由で借りて観た。よかったぁ。

とりあえずジョヴァンニについては荒川良々の英語版に決定。
ひどく気になって仕方ないんだもの。二人とも。
この気になりようは恋? 恋なの?

フィリッポと父と弟の関係がすばらしく暖かい。それに比べてフィリッパには家族が一切登場しない。
始まりから「どこで終わらせよう?」というような刹那がつきまとう。
フィリッポの父も弟も、彼の恋に全面的に協力する。ただの仲良し家族ではなく、もっと深いところで理解しているみたい。

なんかこう「命がけですからっ」という力みはない。自然にこうなったの。当たり前じゃない、やっと出会ったんだもの、という言葉にするとウソっぽい事実に納得させられる。

2004.12.19

死に花

「今の若いモンは」とか「だから女子高生は」とかいう無意味な年代別くくりをナイフを取り出すほど嫌がるくせに、<年寄り>という分類は平気でする。

「自分がされてイヤだと思うことは、他人にやっちゃいけない」と親に習わなかったのだろうか?
それとも<最近の親>は、自分がされてイヤなことを他人にしても許すのか。なんとなぁくそんな気がするなぁ。

年寄りにだって人格はある。そんな簡単なことをちゃんと描いてくれた。エロガキはエロおやぢになってエロじじぃになるんだよ、直球が気持ちいい。

人生は楽しむためにある。苦しみはほんの味付け。

イィィイエェス!これからも楽しみまぁす。

2004.12.18

唐辛子なあいつはダンプカー

竹中直人の会 改メ 竹中直人の匙かげん1

まだ接続もしておらず、知った時には前売り完売。当日券に1時間半並びましたよ。で、6,825円で入手。25円て? いや、いいんだけど。

ケラリーノ×松尾スズキ×宮沢章夫(50音順)の作なものだから、ほんっとに盛りだくさん。竹中さんじゃなくても「プルップルッ」ってなる。

木村佳乃・佐藤康恵の両人はさすがにスタイルが良いのぉ。おぢちゃんドキドキしちゃったよ。
そして「んもぉ何がなんでも楽しいのー、うっふぅ〜」な竹中直人。
その昔、お笑いのテレビに出始めたころから好きだった人がわたしのパイプ椅子の真後ろでお芝居している!ビックリ!生きててヨカッタ!(単純)

3人の作者は主人公達が生まれ変わるところを起点にスイッチしているらしく、松尾スズキでございってな台詞に落涙。やっぱり独特だなぁ、松尾節って。
そして松尾パートでの井口昇のいきいきしてることといったら。

2004.12.11/本多劇場

イケニエの人

大人計画

んもぅ夢のオールキャスト。すごいやパパ、明日もホームランだね!とでも叫び出しそうな勢いだ。

でね、たっくさんスターさんが出たからかしら。みんなそれなりの役じゃないといけなかったのかしら。なんつぅのかしら。とっちらかってたのな。

事前にビデオで予習をキッチリして、あの濃ゆい感情に負けないようトレーニングを積んだわたしだったが。ねぇ。

なんだか頭にストーリーが入って来ないうちにどんどん進み、おたおたしている間に終わってしまった。
え?カーテンコールなん?まぢでぇ?と、慌てた。

小ネタはね。花花の左の方は2500円だったり、3500円だとスガシカオ似だったり、良々の衣装は穴んとこが心配だったり、とね。

2004.12.1/世田谷パブリックシアター

オールドボーイ

北野武監督作品にある肉体的な痛さ。彼の作品はわたしが目視できるギリギリだ。
今回は画面を見ることができなかった。ただし親切だから「これからすっごく痛いことしまぁす」なプレゼンは事前にたっぷりしてくれる。
そのあたりの親切加減も良いのやら良くないのやら掴みきれない。

「末代まで恨んでやる」的な要素は優しく排除してある。それでいいんだろうか。本当に?
そんなこんなで原作が気になって気になって仕方ない。

2004.11.23

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

劇団、本谷有希子

旗揚げ公演の再演らしい。その頃のことは知らない。ついでだから一切予備知識無しで挑むことにした。
だいたい語感で何でも決める女だ。このタイトルの小説があったら即買いだろう。

メインストーリーの味付けであるだろう<嫁さん>と<ヨシオ君>にメロメロ。わざわざ二人の掛け合い場面もあったりして幸せだった。

自分探しが趣味な人、選民意識が甚だしい人にオススメ。って、そういう人はどうして奨められたかわからないんだろな。

もう、それ、随分前に飲み込んだからさ、わたしは。

2004.11.13/青山円形劇場

ドライブインカリフォルニア

大人計画

後に控えた、大人計画の本公演に備えてのビデオ予習。とにかく松尾スズキのあの濃ゆい感情に慣れておかなければ、だから。

誰か、もしくは何かに許して欲しいと願っているのは自分だけじゃないと再確認。どうしてそうなってしまうのか解らないが、許したり理解したりして欲しがる。もうこれは性なのか。

必要以上に「びっこ」と言い、見えない人や聞こえない人もちりばめ、ケイスケに至っては本当はどこも悪いところはないのにエクスキューズとして足を引きずる。
やたらと登場人物に自殺させといてその理由なんて説明しない。
だって、生きてるのに意味なんてないじゃん?ってことか。

以前松尾スズキが書いた小説の一節で「全ての事柄から意味を受け取ろうとするのが人間の浅ましさだ」とあった。その言葉を思い出し、更に同意を重ねた。

2004.11.6/ビデオにて

VR

シベリア少女鉄道/vol.11

はい、vol.10を見逃した火花でございます。だってさ、あの人達、自分だけチケット取るんだもの(責任転嫁)。
察しの良い方にはすっかりバレてると思うのだがVRはERからいただいている。エマージェンシーじゃなくヴァーチャルなのだ。

本場(?)ERばりの緊急医療に携わる人々の悲喜こもごもがメインストーリー。
例によって「メイン」とは名実ともに「メイン」でのストーリーであって、今回も仕掛け満載。つか、仕掛け用の撮影に稽古より時間割いたんちゃうんかい?くらい。なんで関西弁なのかは聞いてくれるな。
<慣れ>とは世にも恐ろしい怪物で、少し慣れて「ふぅん」なんて思ったりしている自分がいた。そっちにビックリだ。

2004.11.3/下北沢駅前劇場

恋の門

松尾スズキ初監督

今年最大との呼び声も高い台風襲来の当日に封切り。ものすごく前途多難。
わたしたちもやられてしまった。 横浜の映画館に行くつもりでいたが、なんだかイヤな空気が漂っている。ちょ〜っとお伺いしてみると「浸水しました。復旧の目処はたちまっせん」と。
他に行けばいいんですけどね、公開している映画館が一つ減るのね、と一抹の寂しさ。

全体的に誰も彼もが松尾ちゃんのセリフをしゃべりまくってる。全員が松尾ちゃんじゃないか!わっはっは。
すっごい純愛ストーリーなんて求めちゃだめよ。

2004.10.10

SURVIVE STYLE5+

えぇっと、どうでしょうか。
あれもこれも面白そうだから、盛り込んでみたの。どうどうどう?けっこうイケルでしょ?ね?ね?
と言われているんだろうなきっと。

はい、良々が好きです。かなり英語が堪能なのですね(違)。

2004.9.26

ゼブラーマン

俺の背中に・・・立つんじゃねぇっ
うぉおお。かっこいいじゃないか。
ロードショー中は風邪を引き、借りようとすると出払っていてようやく観ることができた。いやぁ、堪能。
誰がなんと言おうといいじゃないか。ゼブラーマン。地球を守ってくれ。頼む。

頼りなぁい防衛庁のとっても敬語な上司が岩松了。うはは。そして浅野さん(プ)の分かり易い<勉強くん>なキャラ。どれもこれも笑いの要素満載だ。
そして、ぼろぼろのヒーローに「ちゃっちゃぁ〜っと地球守ってよ」とかなり気安くお願いする防衛庁の職員。
地球の明日が心配なのか安心なのか、ね。

2004.9.25

殺人の追憶

ほんの数年前の事なのに。DNA鑑定も出来なかったなんて、どれだけ歯痒かっただろう。

どこまで深淵を覗き込んでも、ヤツらが何故神様気分になるのか分かるはずもない。でも、分かったつもりになっておきたい。

じゃないと、不安で暮らせないから。

2004.8.28

MYSTIC RIVER

んもう、大好物なキャスティングで「観ないでかっ」と鼻息荒く公開を待っていたわたしだが、いかんせん。寄る年波には勝てず、体調を崩しまくって劇場へ行けなんだ。よってDVDにて鑑賞。

なんて「男の子」なストーリーなのでしょう。見事な「男の子」っぷり。

殴り合いの喧嘩して分かり合う俺達、な空気感と言えばいいのか。ラストへ突っ走る辺りから急激に気になりだしてしまった。

充分楽しめたので、文句があるわけじゃないの。

2004.8.28

鈍獣〜DON-JU〜

宮藤官九郎×河原雅彦

すごく困っている。受け止めきれなかったのか、もともといちいち受け止める必要なんてないのか。

ほぼ3時間に近い上演時間の問題ではなく、観終わったわたしを激しい疲労が襲ってきた。笑っていたのに、ずっと笑っていたのに、胃にキテいる。何が起こったのだろう。その辺の理由はきっとhizumiの説明通りなのだろう。わたしはその疲弊の原因もつかめず、疲れていた。

咀嚼しきれずに胃にわだかまっているのが何なのかつかめない。というか、一体なにを口に入れてしまったのか理解していないようだ。なんだか何にもわかってないようだ。

鈍獣とは二言目には「覚えてない」と言う<凸やん>なのか、それともわたしたち人間全部なのか。25年ぶりの<凸やん>の登場に慌てふためいている彼らは、ある意味鈍いとは言えないのではないか、とも思う。
彼らのような学生時代を送り、何の痛みもなしに例のスタンドバイミー的場所に平気で訪れている、もしくは、自分たちの所業すら一切覚えていないような奴らが大量に存在する。そいつらこそが鈍獣なのか。
思いは千々に乱れるのだが、なんともまとまらないのだ。

細かいギャグにはきっちり反応していたのだが、思いの外思い出せない。不思議な疲労と共に記憶が吹っ飛んでるんだろうか。

あまりに濃縮タイプのキオスクのおばちゃん三人組や、古田新太のムダにびっしびしに決まったパラパラダンスや、生瀬勝久のカラフルなへそ臭や、「もうお終い?」のリフレインや、普段ならつっこみまくるネタは満載なのに、疲労の原因が。。。。あぁ。

2004.8.19/パルコ劇場

茶の味

つながりのない複数方面の知り合いから「観た?」と聞かれていたこの作品。観るべき運命だったのだな、きっと。

そんな訳で渋谷までお出かけ。迷子上等!
劇場の席運つうのかしら、あれ割と無いのね、あたし。気が付くともんのすごく胴が長い人が後から来て前に座ったりしてけっこう本格的なダメージよ、それって。
さて今回は<限りなくくつろぐ人>の真後ろとなった。開始前に扇子をドライヤーに見立て、髪をドライアップしていた。
本編が始まったら、突っ込む突っ込む。スクリーンに。自宅の居間かいっ

舞台紹介の手法としてはありがちな 「最初と最後に俯瞰で」見せるタイプだったが、それが嫌いかと言われるとそうでもない。「よく観るね」とは思うが。
ちなみにこのやり口ってRiver Runs Though Itなワケかしら?

ひたすら笑った。とにかく笑った。画面指差して笑っちゃった。
前の席のくつろぐおっさんと同じじゃんよ、あたし。

そして、春野家長男@高校生の男気と、痛いじぃさん@元アニメーターに涙。
えっ?あたし、子供と年寄りにやられちゃってる?思うつぼ?えぇえっ?

2004.8.13

ミュージカル ピッピ

持つべきものは良い従姉妹ですよ、みなさま。彼女の奢りで、思いがけないミュージカル鑑賞と相成った。

原作の「長靴下のピッピ」というかリンドグレーン作品をこよなく愛する少女であったわたしは大喜び。

見始めてすぐ異変が起きた。なんでもない、どうってことない場面で涙が流れて止まらないのだ。どうしてだ?
きっとずいぶんと昔に失ってしまった不思議とキラキラした何かが惜しくなったのか、取り戻したくなったのか、懐かしくなったのか。

思ったよりウェットな仕上がりだったが、楽しめた。大勢いた子供たちも集中できたようすだった。
個人的には、ナマ松金よね子に落涙。

2004.8.7/世田谷パブリックシアター

ハイジャック専門学校'04

新宿ミサイル第8回公演

銀座のみゆき座でhizumiとマチネ鑑賞。
そのみゆき座、行けないよ一人で。あたしゃ無理だよ。なんか「入っちゃいけない」匂いがしたんだよ。
しかし、意外と客層はクリーンな感じ。まだまだ汚れていない世代の娘たちも多く見受けられた。下手にマニアックな客層のお芝居に行っちゃうと語り出す人がいたりして迷惑。

小劇場に行くとたいてい思うことがある。なんでみんなひとりで来てるの?というところ。なんつぅか、こう、ほら、あれじゃない?インターネットとか便利なツールがあるわけじゃない?で、オフったりなんかしてるわけじゃない世間じゃさ。
そういう「連れ」感覚って求めないのかなぁ。別に芝居やってる人だけが連む必要はなく観る側もそれなりに情報交換や感想交換なんかをしたいという熱い思いなんかはないのだろうか?あ、もうそんなとこあるのかなぁ。 まぁ好みの激しくでる問題なのであまりこれ以上は突っ込まないが。

わたしら二人は対象がなんであれ「面白さ」しか求めない(特にわたしだ、それ)ご陽気な性質なので思想やら台詞の細かいところやら、余程の寒さがない限り大まかに観せていただく。メッセージ出過ぎは煩いし。メッセージと自意識は出過ぎも引っ込みすぎも、ね。
そんなこんなで、人生の大部分を賭けちゃってるような超本気モードな方たちには石でも投げられる感じですね。すんませんね。

で、新宿ミサイルだ。ハイジャック専門学校だよ。しょっぱなからハイジャックしてたよ。
機長が良かった。ナイス。
映画論を語ってたよ、人質として。やだよ、そんな人質。
勝手気ままな人質機長に言わせると「副機長の分際で逆噴射とは10年早い」とのこと。ごもっともでございます。

その後どんどんとシチュエーションや登場人物がスイッチしていく。そのきっかけとして専門学校の伝説の教師=テロリストがダメを出すのだ。

さて、話をずんずん広げてどうする!? と心配になりかけると、あの落ちだよ。妄想というか分裂症落ち。
わたし的には、恩田陸アゲインだった。タイトルで言うと「上と外」アゲイン。ラストはあんなテイスト。
もうちょい観たかった。1時間ではもう少し感が残る。もう一尺!
そして役者さんも、もう一声。相沢さんは惜しい感じ。声つぶしちゃったのかなぁ。悲しいくらいに通らない声質で、ハコはあの大きさが限度に思えた。明らかに水沢さんとしもひろさんが光っていた。

2004.8.1/銀座みゆき座

69

原作を読まずに挑戦。なかなか面白い。井川遙のちょい役ぶりも、素敵に美しい。
ずっとクスクス笑っているうちに終了。こまかいクドカン節に涙した。

2004.7.10

ブラザーフッド

戦争モノは観ないと決めているわたしだが、ついうっかり。
うっかりではすまされない凄まじい描写に速攻で後悔した。なんだってこの映画を選んでしまったんだろう、と。

悲しいとか、可哀相とか、戦争ってだから嫌とかそういうのじゃない。もっと本質的な人間とは?的な嫌悪感が残って、辛かった。

戦争がどんな風か、一度だけ観てみたらいいとは思うが、もういい。。。

2004.7.3

恋人はスナイパー

リスペクト長さん、だ。まさか長さんがねぇ。

竹中直人はいつだって怪しいし、中村獅童のキレも予想通り。綺麗にまとまってますね、な感じ。ウッチャンのシリアスもね。

そして長さんよ。セリフが言えてないんだ。途中で漏れている感じ。なんというか、それだけで悲しい気持ちになってしまい、本編に集中するのがチト難しい状態となってしまった。

2004.4.25

ディボース・ショウ

あぁ、キャサリン。あなたはとっても美しい。
「シカゴ」でも見事な姉御っぷりだったが、今回も素敵。

コーエン兄弟とジョージ・クルーニーはこのままコンビ(トリオ?)を続けていって欲しいものだ。

2004.1.18

イン・ザ・カット

ラブコメの女王:メグ(こう呼ばれるの嫌いだろうな、メグ・ライアン)が主役のこの映画。
メグファンのわたしとしては、おしゃれじゃないメグが楽しみだった。

たぶん最近「負け犬」と称されているチームに属している主人公。
冴えないスタイルと交友関係と過去と現在とたぶん未来を持つ女性。それ、この前いつ洗ったよ?と問いただしたくなる微オイリーな髪の毛。何かを楽しむにしろ、すべて内側を向いた暮らしを淡々と続ける。

そこはかとなく崩れたスタイルを曝すメグに共感を禁じ得ない。肌は荒れ、スタイルは誰だって崩れる。どうしたって、やってくる。
負け犬にとっては、そんなところが身につまされるのだった。

2004.4.10

木更津キャッツアイ−日本シリーズ

復活してた。あいつもこいつも復活してた。オジーおかえり。ウェルカムバック、オジー。

特別編の2時間枠じゃダメだったのか?と問われれば「いや、別にそれでも・・・」と答えるが、なんというか、映画でもいいじゃん!楽しければいいじゃん。
「楽しい楽しいたのCC」なの。よろしくメカドック。

2004.1.16

ウォッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

シベリア少女鉄道/vol.9

03年のある秋の日。常日頃より「愛してる」と伝え続けるも、頑なに受け入れる様子を見せないあるお芝居好きの方より珍しく長文メールが携帯に届いた。
要約すると「シベ少を観に行け」とのこと。んが、のっぴきならない用事@母親の接待があったため断念。そして今回ようやく鑑賞の運びとなった。

初っぱなから突然歌うわ、訳の分からないリフレインは多いわで、ガチャガチャな予想はできていた。多少の覚悟もあった。しかし、そんな小さな覚悟を吹き飛ばす怒濤のラスト。降参。

なんだってあんなベッタベタな浪花節ストーリーを提示しておいて、とんでもなくアブノーマルなところに着地することになるのか。いまだ謎は解けないが、面白ければオールオッケィ。

死にかけのお父さんを演じていた役者さんはあまりにも声が通らない。桟敷のおざぶに体育座りして、ともすれば役者の汗やらおヨダやら色々いただけそうな位置にいたのにもかかわらず何を言っているのかさっぱり分からなかった。惜しい。
とはいえエンディングのインパクトを思うと、小さい。どっちだっていいじゃないか、と思える。
とりあえずカラダのあちこちや首のあたりがキチキチ鳴りそうな芝居だった、と結んでおこう。

2004.1.10/下北沢駅前劇場

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