探偵倶楽部
東野圭吾/角川文庫(2005.12.27)
これだけの作品数と品質基準を保つ東野さんなのに、文庫の点数は
少ないのでは、と思っているのはわたしだけだろうか。
お金持ち専用の探偵。
面白そうだけど、ちょっとでもスキがあればすぐにクビになりそうで
毎日がハラハラドキドキだろうな。
お金・誰かの愛情・周囲の関心なんかが欲しいときっとみんな思っている。
ただし、その邪魔になる人がいればそれを殺してまでも排除して
手に入れたいと願う理由は何だろう。
そこまで思ったことは今のところない。
これはきっとわたしが無欲なのではなく、身の丈を把握できているからだと思う。
いつかこの欲しがりと自分の身の丈のバランスが崩れる時が来るのかも知れない。
そんな時、人は犯罪を起こすのだろうか。
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ライト・グッドバイ
東直己/早川書房(2005.12.25)
もう13年もたっているのか?このシリーズ。
とんでもなく驚いた。
今回のこの事件、わたしの知るあの事件がモチーフだと思う。
すぐに気が付くとすれば、同じ出身地の人か、今でもその街に
住んでいるかかつて住んでいた人たちだと思う。
対象者は未だ居住している筈で、問題にはならなかったのだろうか。
それとも本当にこんなウワサが流通していたのだろうか。
それはそうと、俺も高田ももう49歳。今回ばかりは年のせいか
荒っぽいことは抜きで進んでいた。大人のたしなみってヤツかしら。
まぁ、その割には両人ともに浮き草暮らしを続けているのが、素敵。
流行りの<ちょい悪>ではないことだけは請け合う。
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教育欲を取り戻せ!
齋藤孝/NHK出版(2005.12.21)
まさかこの主題において、自分が再発見する内容が
自らの「女子性」についてだとは思わなかった。
女性は自分より知性が劣る異性に対しては
決定的に冷たい
至言だ。
わたし自身は何かに特化した知識を持っている訳ではなく、
せいぜい社会人としてやっていけるぎりぎりの常識しか無いのだが、
そんな自分以下の知性だと知れるや、その人に対して決定的に興味を失うのだ。
そういう自分を酷く冷たい人間で困ったもんだと思っていたのだけれど、
それこそが「女性」の特性だと知り、「仕方ないんじゃーん」と
開き直ることに決定。
うーん、たぶん全然主旨がずれてるよねぇ。
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砂漠
伊坂幸太郎/実業之日本社(2005.12.15)
待ってました!の長編。堪能した堪能した。
一気に2周読みだもの。
とにかく登場する人物の全てが生き生きと
わたしの目の前を通り過ぎて行く。
鳥井が「ぎゃはは」と笑いながら、その後ろを
ぶつぶつと苦虫をかみつぶしたような顔で西嶋が続き、
すこし離れて東堂と南が続き、僕が鳩麦さんと並んで居る。
そんなグループを昨日街で見かけたようにも思うし、
自分がその中にちょっとだけ紛れ込んだようにも思う。
決意としては「砂漠」に向かう程の覚悟が必要なのかも知れないけれど、
鳩麦さんが言う程の「砂漠」では無いと思うんだ。
探せばちゃんとオアシスはあるし、結構定期的に雨だって降る。
それと、自分だけのオアシスを作っちゃうことだって出来るんだから。
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MOMENT
本多孝好/集英社文庫(2005.12.14)
人生の終わりに何を思うか?
それはもしかしたら自分の意志によって
決められるのかも知れない、と思った。
もしそうだったとしたら、わたしは何を思いたいのだろう。
せっかくだから「いやぁ、あんときゃ楽しかったよぉ」などという
呑気なことを思いたいものだ。
最後の最後に怨み節ってのは、イヤだなぁ。
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黒冷水
羽田圭介/河出出版(2005.12.07)
かなり評判になっていたこの作品をようやく読了。
うーん、カバーにある著者の写真を見てなるほど納得。
ただ高校生ってだけでなく、かなり美男子だったよ、羽田さんは。
悲しいかな、作家ですら外見が美しいとそっちで話題になったりする
未熟な社会であるなぁと多少の哀しみも覚えたりして。
逃れられない<家族>という枠内で、とてつもない憎悪を持たざるを得ない
としたら、一体どうやってやりすごすべきなのだろうか。
他人であれば見なくてすむ様々な出来事を家族であるが為に
つまびらかに見せられてしまい、憎悪は更に深まるのだろう。
そして家族であるということは、憎むべき相手と自分に
共通する要素を見いだしてしまったりもするだろう。
ラストの一文に背筋が凍る。
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翼のある子供たち
ジェイムス・パタースン/ランダムハウス講談社(2005.12.04)
出版社によって、いろいろ表記が違うのが作家名かと思う。
今回はジェイムス・パタースンだが、11月に読んだ
「闇に薔薇」は同じ講談社なのにジェームス・パターソン。
ま、いいんだけどね。せめて同じ出版社ならそろえて欲しかったり。
「うわぁ、やってそう・・・」というのが正直な感想。
もう、未読の方には何のことやらわかりゃしないだろうが
書評ではないと何度も言っているので良しとしておく(勝手すぎ)。
そして、そのやってそうなストーリーの上に更に起こりがちな
関係者のエゴによる操作。
うすら寒くて辛いのだけれど、このラストは素敵だった。
彼女たちには大空に羽ばたいて欲しいな、と素直に願える。
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黄色い目の魚
佐藤多佳子/新潮文庫(2005.12.01)
大絶賛。とにかく勧めるだけ。
おおざっぱに括ってしまうとすれば<青春>な
物語なのであろうけれど、高校生が読もうと
わたしのような十分すぎる大人が読もうと
必ず心に残ることがある。
上手に周囲と同調することが出来ない女の子が主人公。
もう女の子じゃないわたしも、未だに上手に同調することが出来ない。
これはもう<芸>として受け入れてしまうしか無いと思っている。
きっと気づかなかっただけだと思うけれど、
本気でぶつかっていける相手が見つかっていたら
何かが変わっていたのかもしれない。
もしかしたら、ちゃんとそんな相手が居たのに
逃げ出していたのかもしれない。
反省したり、まだ遅くは無いと思ってみたり。
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丑三つ時から夜明けまで
大倉崇裕/光文社(2005.11.27)
初挑戦の作家。ある本の新刊案内で気になったもの。
やっぱりいい勘してるなぁと自画自賛中。
だって面白いんだもの。
マニア的に言うと、西澤保彦のチョーモンインシリーズと
今野敏のSTシリーズをぐるぐるっとかき混ぜて
「こんなん出ました」(古いっ)という感じ。
一部のマニアにはとてつもなく正しく伝わっていると自負しているぞ。
最後のオチあたりは賛否両論かと思うけれど、わたしは嫌いじゃない。
もうちょいクールでもいいのだけれど。
これから続きがあったらまた読みたいなぁというクセになる味。
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凶器の貴公子
ボストン・テラン/文春文庫(2005.11.22)
続きが気になって仕方ない、一気読み必死のストーリー。
この筆者は、わたしの知る限りでは、歪んだ親子関係を
描くことが多いように思う。
またしても歪んだ愛情が若者の心を殺している。
途中、至言を発見した。
人は金をもつほど金に動かされやすくなる
これから先も、この言葉を忘れずにいよう。
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激流
柴田よしき/徳間書店(2005.11.09)
誰しも、かつては中学生だった。
楽しかったり苦しかったり、思い出すことも多い時代だろう。
そんないわゆる<青春まっただ中>というか人格形成後期に、
しかも、これから先、幾度となく語られる修学旅行の途中で
プツンと仲間が姿を消したとしたら?
その後の人生に色濃く陰を落とすのだと思う。
無邪気に語られる修学旅行の思い出話が、苦痛になるのだろう。
事件の本質は、実はそんなところになかったりしたとしても。
最近は、特に子供が被害者となる犯罪や、子供が加害者となる犯罪が
増えているように感じる。
そんな時、残された同級生達はどんな思いを抱いているのだろう。
ちゃんと聞いてあげる人が側にいてあげているのだろうか。
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闇に薔薇
ジェームス・パターソン/講談社文庫(2005.11.01)
シリーズものはちゃんと飛ばさず訳して欲しい。
まずはおねだりから。だってね、ストーリーの中核をなしている
部分がすっぽり抜け落ちていてわからないのだもの。
まぁ、わたしの記憶が抜け落ちてるっていうこともあるけれど。
誰かを憎み続けるということは、かなり気力と体力を要すると思う。
何故そこまでして憎む必要があるのだろうか、と考えてみる。
他に何か楽しみが見つかれば飽きるのだろうか。
それとも、自分が何かを楽しむということを禁じているのだろうか。
この物語の将軍はそこまでストイックでは無いのだけれど、
とても不思議に思っていることの一つだ。
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氷菓
米澤穂信/角川文庫(2005.10.25)
かなり自由な主人公の姉からの手紙で物語は始まる。
主人公の高校生は省エネ主義。この省エネって感覚、よく解る。
誤解され易い理由もわかる。別に見下してるんじゃないのよね。
本気で「元気いいよなぁ。参りました。」って気持ちなのだけど、
それって偉そうに響くのかしら。
コチラは省エネ主義で、ソチラは発熱主義というだけ。
そこに善悪の判断を挟み込む必要性など全く感じない。
って、これ自体が既に亜流なのだろうか。
ヒトは常に、善し悪し・利益不利益に分類して物事を決める必要が
あるのだろうか。傍観は許されざる事なのだろうか。
と、またも全くストーリーと関係ないことばかり思った。
ちなみに「氷菓」はとある高校の古典部の文集のタイトルなのだが、
なぜそのタイトルが付けられたのか、という謎は解けた。が、
多少おやぢギャグだと思ったのはわたしだけだろうか。
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JJをさがして
アン・キャシディ/ランダムハウス講談社(2005.10.22)
見事、ランダムハウス講談社の術中にはまっているわたしだが、
そんな事はいいじゃないか。新しモノ好きなのだもの。
絵に描いたような情緒不安定な母親に気まぐれにかまわれ、
それ以外は放っておかれる。でも母親を愛していると思っている。
そして母親に愛されていると信じたがっている小さな女の子。
そんなJJの物語。
悲劇なのかすら解らない。非常に複雑に思い悩んでしまうところだ。
たとえば血の繋がりなんてなくたっていい。他人だって構わない。
とにかく誰かに大切にされて育っていない人は怖い。
どこかが壊れている。人に危害を加えるという意味だけではなく。
大切にするという意味を解っていない親たちが子供たちを壊してしまっている。
お金でも物でもない「大切に思う」という簡単そうで難しい事が、
人が生き続ける上でどれだけ必要不可欠なのか、を思う。
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唇を閉ざせ
ハーラン・コーベン/講談社文庫(2005.10.15)
面白い。もう、先が気になって仕方ない。
だがこの作家(まだ2作目だけど)、どうしても
主人公が妻を物語の最初にとてつもなく悲劇的に失わなければ
イカン仕様になっているのだろうか。気になるところだ。
そんな訳で今後もじっくり追っかけてみる予定。
生まれた瞬間から運命のように愛し合うという人たちは、
きっとどこかに存在して、そんな二人のどちらかが欠けたとしたら、
残された一人は、一人で二人分の記憶を背負って生きていくのだろうか。
そんな風な事を思った。
ストーリーと関係があるようでないような感想。
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スタンレーの犬
東直己/角川春樹事務所(2005.10.11)
軽口抜きの東作品は、とても珍しい。
たいてい袋叩きにされて半死半生であってすら軽口を利くのが
東作品の王道とされている。(ホントか?)
今回は暗雲立ちこめる薄暗い空しか目に浮かばない。
ユビの過去も、香奈の現在も、厚くて重苦しい雲に覆われている。
それでもどうしても明日はやって来て、なんとか生き延びるんだ。
人が人にどれ程酷い仕打ちができるのか、と思うとやるせない気持ちになる。
わたしにとっての「スタンレーの犬」は何だろう、と思わずにいられない。
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春期限定いちごタルト事件
米澤穂信/創元推理文庫(2005.10.11)
あぁ、小山内さんの過去が知りたい。
わたしも2、3頼みたい事があるような気がする。
そしてこれ、シリーズ化されちゃったりなんかしちゃったり
しないのだろうか。切に願うばかり。
とにかく面白い。小鳩くんの過去の事件はどうなったんだろう。
こんなにも過去の気になる高校生に会ったことないけど、
意外とたくさん街にいるのだろうか。
二人のプチ・ブル道を測道から見つつ応援したりチャチャ入れたりしたい。
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電子の星
石田衣良/文春文庫(2005.10.05)
月日は確実に流れ、マコトはコラムニストとしての暮らしも板についている。
街へ出てネタと一緒にうっかり事件を拾ってくるのは
相変わらずのようだけれど。
そして、ツインタワーにも月日は流れラーメン屋になっていた。
何がって、これに驚く。彼らは「いつまでもストリートにいられない」と言う。
されどご安心あれ。キングたかしは相変わらずのキングっぷりだから。
ツインタワーのラーメン屋で働くあずみの心は大きな傷が巣くっている。
その傷が癒えることは決してないのだろうけれど、ツインタワーが
きっときれいにカサブタにしてくれると思う。
辛すぎて語れないこと、きっと沢山あるだろう。
それを語る事ができるようになったら少しだけマシ。
泣けるようになったらもう少しマシ。
怒りを覚えるようになったらきっと大丈夫。
その時から本当に向き合うことが出来るようになるから。
あずみが明るい道を歩くのを祈っている。
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犬はどこだ
米澤穂信/東京創元社(2005.10.02)
なかなか犬が出てこないから「犬はどこだ」なのだろうか。
本屋さんで何度も手に取ったり置いたりを繰り返して悩んでいたのだけれど、
あっさり友人がお勧めだと判明。ありがたきかな、本読みの友。
著者はまだ20代とのこと。知識もたっぷりある。
こういう人の才能に触れることで「自分には何も無いよ、勘違いすんな」
ということを何度も確かめる事になる。
良い事なのか辛い事なのかはよく解らない。
さて、ストーリーからは、つくづくお電波くんの攻撃対象には
なりたくないもんだ、と実感した。
リアル世界でもバーチャル世界でもお友達のいないお電波くんは、
自分がズレてるだなんてこれっぽっちも思わない。
ぐいぐい正論(自分だけの)で押しまくる。
はっきり言って処置無し、なのだ。
すると、対処法は桐子のとったあの手だけ?
彼女の正義感は<自分がターゲットから逸れたらいいや>では
済まなかったのだろうなぁ。つくづく真面目な人だと思う。
彼女もどこかで曲がり間違ったらお電波ちゃんになっていた
のじゃなかろうか、と思うわたしだった。
きっと自分だって、ね。
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LOVE
みうらじゅん/角川文庫(2005.09.28)
みうらじゅんをもってして<LOVE>と来た。
もう読むしか・・・。
イントロの文章でノックアウトされてしまった。
あぁ、あのダメ人間のカリスマとも言うべきみうらじゅんから
こぼれる愛の言葉。見事にやられた。
彼の愛は揺るぎない。表層で起こる小さなことなどどうでもいい。
なんだったらすぐに「ごめんなさいごめんなさい」と言う。
もっとずっと内側のずっしり深いところに存在している。どっしりと。
みうらじゅんな人と生きるのは並大抵ではないだろうと思う。
わたしには自信などないし、自分らしさがどれなんだろう?なんて思ってる。
それでも少しずつ変化している。変わり続ける。
進む・戻るとは別なハナシ。ヒトはいつも良く変わる訳じゃない。
進化がいつも良い訳じゃないのと一緒。
おもしろいとカッコイイだけで生きていられて、生活まで出来ちゃう
みうらじゅんに乾杯せずにはいられないさ。
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ノー・セカンドチャンス
ハーラン・コーベン/ランダムハウス講談社文庫(2005.09.22)
滅多にない事なのだけれど、ほぼ<ジャケ買い>。
良く見たら、訳が山本やよい氏であり、最後に著者を見たら(最後か?)
ここのところ友人に滅多やたらと勧められていたハーラン・コーベン。
読まずに死ねるか!(c)陳氏なり。
もう面白くて止まらない。いきなりの惨劇にどうなることかと思いきや
そう来るのね? んもぅ、憎いお方。
ストーリーとは、見事に無関係ではあるが真理を見つけた。
「できちゃった」の9割は「ハメられてる」
身に覚えのある方、お気をつけ遊ばせ。
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春を待つ谷間で
S・J・ローザン/創元推理文庫(2005.09.15)
もう、追いかけ続けて何年たったのかすっかり忘れたが、
大好きで読み続けているシリーズ6作目。
毎回ビルとリディアが交互に語り手となる。
わたしはビルが語るリディアの愛しさが好きだ。
二人のお互いを思いやる心の緩やかな暖かさが好きだ。
事件が起こって、それを解決しなけりゃならないんだけど、
わたしにとっては事件より二人。
今回、ビルの大事な山小屋で事件が起こって哀しい結末となった。
けれど、リディアとビルがもうちょっとだけ進んだかなーって、思うと
とにかく続きが読みたくて仕方がなくなる。
早く訳してくれないかな。
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ホームタウン
小路幸也/幻冬舎(2005.09.10)
あらゆるデパート<特別室>があるとしたら、
やっぱりみんな只野仁みたいなのかしら。
ばあちゃんがとても良い。もしかしたら、登場人物の誰よりカッコイイ。
こんなばあちゃんになれるのだったら長生きも悪くないよな、なんて思った。
どんな事があったとしても、相方と呼べる人が見つかれば
家族は作れるのかもな、と思った。
あくまでも本人が望めば・・・だけれど。
すべて放棄してしまっていたら、結果だけ手に入れるのは無理さ。
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LAST
石田衣良/講談社文庫(2005.09.07)
短編なのか中編なのか、ちと判別つかないのだけれど、
基本的には消化不良っぽい。
頭とお尻をちょんぎって端っこのほつれた<何か>みたいな気がしてしまう。
個人的にもっと描き込んで、というお願いとも言い換えることが可能。
ラストコールは、このままのアイディアで乙一が書いてくれたら!と
願わずにはいられない作品。いや、面白いんだけど。
ラストシュートは良い。例の「グランドフィナーレ」なんて甘え切ったハナシに
怒りまくっていたのであるが、5歳のフォーに拍手喝采だ。
本当にどうしようもなく青臭いことを言っているのを解っているのだけれど、
お金を憎む。お金の持つ力を憎む。
なんか、本当にイヤだ。
ただ、ずっとずっと昔から、遙か昔から
人は人をお金で買っていたんだよな。
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さようなら、ギャングランド
東山彰良/宝島社(2005.09.04)
いつもほんの少しだけ違う選択をした日本が舞台のこの方。
今回はアメリカ資本がドドっと投入されたとある街が舞台。
これは、いわゆる「今」を取材して再現するよりも、より「今」らしさを
表現できる方法なのかも知れないな、と思いつつある。
今までの作品ではあまり女性が登場していなかったのだけれど、
彼の描く女性はとてもいい。いわゆる普通だから。
よくある<夢>の投影が省かれているので心地よい。
人の命を命とも思わない若者の姿を、おどろおどろしくなく
サラッとさりげなく配置しているところが、実は一番ざわざわする
ところじゃないだろうか、と思う。
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青空の方法
宮沢章夫/朝日新聞社(2005.09.01)
どこで切っても宮沢章夫なところが、すごい。
同じものを一緒に見ていても、決して同じに見えていないという
当たり前のことを、改めて思い出させてくれる。
ヒトは誰でも独りよがりなものだ。
上から見たゆきだるまをこそ描くべきだ、という言葉に
メロメロなわたし。
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立ちすくむとき
東直己/ハルキ文庫(2005.08.29)
いろいろな切なさを、極小サイズで切り取った物語。
その切なさを伝えるに足る最小のストーリーを語るのみ。
アンテナの感度が鈍っていたら捕らえられない感情だと思う。
特別お気に入りの作品はサクっと染み入る。
それはお手軽だというのではなく、近い感情を抱きがちだということだろう。
つくづく本を読むということは、自己完結なものだなぁと思った。
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殺し屋シュウ
野沢尚/幻冬舎文庫(2005.08.25)
日本に殺し屋はいるのだろうか?
どんな理由で人は殺し屋を雇うのだろう。
感情的になってつい・・というよりも、冷静に判断をして
邪魔だから排除するという行為は利己的に思える。
だのに雇った殺し屋がおセンチ君なのだもの。
まだまだいろんなストーリーが膨らむ人物ばかりが登場するのにも
かかわらず、もう続きは読めない。
まこと、残念だ。
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弱気な死人
ドナルド・E・ウェストレイク/ヴィレッジブックス(2005.08.22)
いつの間にウェストレイクは鞍替えしたのか?という疑問はあるが、
とてもウェストレイクな物語だった。
彼の数え切れないペンネームのうちウェストレイクとするに相応しい
ストーリーだものなぁ。
男にとって理想に近い女と
女にとって理想に近い男の
ダメでおバカだけどなんだか素敵な物語。
でも詐欺・・・
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シティ・オブ・ボーンズ
マイクル・コナリー/ハヤカワ文庫(2005.08.17)
のんびりと愛犬ともども朝の散歩を楽しむ老医師が見つけてしまった
古い骨。彼は医師であるからして、それが動物の骨で無いことを知っている。
その骨が誰なのか探すうち、すっかり封じ込めて忘れた振りをして
暮らしていた人々の様々な過去が掘り返される。
20年前に殺された少年を巡る家族の過去。
もう家族じゃなくなったからといって、消え去るものではない。
壊れたまま生き続ける人々と、ほんの少年のうちに殺されてしまった少年のうち、
どちらがより不幸なのだろう。
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ウォータースライドをのぼれ
ドン・ウィンズロウ/創元推理文庫(2005.08.06)
このシリーズ、4作目なのだが6年ぶりだという。
なぁ頼む。1年おきくらいにならないか?
物忘れのスピードがどんどん加速している昨今、6年はキツイ。
そんなわたしはさしずめ<プレーオフ>ってところか。
引き際は見極めたいモノだ、とつくづく思う。
自分を外側からクールな視線で見ていたいと思ってはいるのだが、
まだまだ修行が足りていないな。
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雨恋
松尾由美/新潮社(2005.08.03)
シチュエーションがいかにも松尾由美だ、と思う。
彼女は主題が何であろうと、いつも軽々と見えている世界を越える。
そして、その先にあるどこか少しだけ違う世界を舞台に、
とってもありふれた出来事を見せてくれる。
だからそのありふれた出来事が輝くのだろうか。
ありふれた幸せやありふれた不幸は、つまらないと言えばそう。
でも、わたしたちはとってもありふれた存在なのだから仕方ない。
当人にとっては、どんなありふれたことだって、一大事なのだ。
どこにでもありそうな日常を大切にしたくなるオハナシ。
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ゲームの名は誘拐
東野圭吾/光文社文庫(2005.07.29)
面白い。スピード感いっぱいのストーリー展開。
なんて、どっかの書評にありそうなことを言ってしまった。(反省)
このお話、すばらしく良く出来ているんだ。
だからなのか、登場人物がもぅ嫌いでキライで仕方ない。
どいつもこいつもどうかしてる。
こんな人たちと関わるのは嫌だ。
そう思わせてしまう力を作者が持っているという事なのだけれど。
誰にも似ていたくないなぁとつくづく思いながら読了。
ちなみに、文庫の最後におまけとして藤木直人の文章がついている。
これ、いらない・・・
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しゃべれどもしゃべれども
佐藤多佳子/新潮文庫(2005.07.15)
ずいぶん前によく読んでいた書評誌で絶賛され、
いつも連んでいる友人に勧められていたにも関わらず今頃読了。
言い訳じゃないけど、今で良かった気がする。
当時は地方に住んでいたのだけれど、今なら舞台となる土地に居るから。
そのものズバリでは無いにしろ、吉祥寺だって葉山だって知ってるし行ける。
そんな些細な事だけれど、光景が目に浮かぶって結構大切だなって思った。
その上、タイガー&ドラゴン(ドラマ)のおかげで色々な事に不案内なわたしが
ほんの少し落語を知った。出会うタイミングとしてはベストだったと思う。
十河の言葉がいちいち痛い。ぐぐっと差し込んでくる。
他人との距離をうまくつかめない。言いたいことが言えない。
言わない方がいいことばかり言ってしまう。わかってるのに、言ってしまう。
そんな十河と自分が重なって見える。虚勢を張ってるくせに
本当は誰かに嫌われるんじゃないかってビクビクしてる。
猫なんだか、虎なんだか・・・
他の登場人物もおしなべて魅力的なのだけれど、今のわたしには十河が
気になって仕方ない。
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HEARTBEAT
小路幸也/東京創元社(2005.07.13)
なんだかこそばゆい。だって、その昔からほんの少しお知り合い。
ものすごく感想文書くのがドキドキするぞ。
序盤からぐいぐいストーリーに引き込まれた。
どうなるの? なんでなの? 何処へ行ったの?
大金持ちのおぼっちゃまの現在と、約束を守りたい委員長の過去が
入り交じっていて、勝手に混同してた。
おバカさんなわたし。
そんな風に収まるとは思ってなかった。
ラストの思わせぶりな感じも良かった。
ただ一つ、もうすこし風景が目に浮かぶと良かったなぁ・・・
と残念に思ったのだった。
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死神の精度
伊坂幸太郎/文藝春秋(2005.07.11)
今まで、夏でも手袋を欠かさない人は<手タレ>だと思ってた。
死神の可能性も出てきたな、これで。
ちなみに、今朝さっそく通勤途中に手袋の女性を見た。
あの人もそうなの?ミュージック好きなの?
そして死神界も意外とお役所仕事だって事が判明。
「なんでこの人が!」「なんで自分が!」なんて思っても
仕方がないってことなのかも。なんせお役所だからなぁ。
今回は仙台の銀行強盗も優午も登場しなかったけれど、
その代わりなのか死神のコードネームが伊坂氏の出身地だったり
結婚前と結婚後の名字がステキに合い言葉だったりしてた。
こそこそくすくす笑うところも用意していてくれている。
さすがの伊坂幸太郎。
音楽のことを「ミュージック」って呼ぶ。
ただそれだけで異空間が見える。
本当に言葉って不思議。そして伊坂幸太郎の言葉選びの妙。
感服しつつ、また惚れた。
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観覧車
柴田よしき/詳伝社(2005.07.08)
柴田作品はたくさん読んだつもりだったけれど、意外と読んでいなかったと判明。
デビュー直後に書かれたという「観覧車」からの連作集。
失踪した夫の帰る場所を確保するために探偵を続けている唯。
彼女の自身が背負っている苦しみのせいなのか、対象者や依頼者の心を思い
涙することも多い。
よくある探偵のくわえ煙草チックな部分が無い。
表題作の「観覧車」が余りにも印象的だった。
どうしようもなく誰かを好きになる、ということは、
生きている間に一度くらいしか経験出来ないんだろうと思う。
計算もできず、状況も立場もどうしようもないのに、ただただ<好き>なだけ。
そしてそれが、奇跡的に一方通行じゃなかったとしたら、もうそれだけで
意味などない生に意味めいた彩りが宿るだろう。
<朽ち果ててゆく愛しい人を見守る>という究極の行動は、
幸せなのだろうか。そして愛しい人に朽ち果ててゆく課程を見守って欲しいと
ヒトは思うのだろうか。
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黒い夏
ジャック・ケッチャム/扶桑社ミステリー(2005.07.07)
隅々までよぉく探しても、タンスの裏もカーペットの下も探しても、
ひとカケラの救いすら無い。また、だ。
レイの狂気には何のエクスキューズもない。
ただ、狂気だけがある。
大抵のおハナシなら、勇気と知性と美貌の女性は、
その全てを動員して生き延びる。そこにはカタルシスがある。
そんな親切は一切用意されていない。
彼女たちは、その勇気と知性と美貌により命を失う。
ただどうしようもなく自堕落な娘だけが、そのユルさにより生き残る。
そんな理不尽。
でも、きっとリアル。
そのリアル感がさらに、無力感を募らせてくれる。
なんだってこんなおハナシを読んでしまうのか。
わたしの中の狂気を鎮めるため、なのか。
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