父からの手紙
小杉健治/光文社文庫(2007.02.06)
うーんうーん。なんだろう。どうしたらいいのだろう。
命をかけて誰かを守りたいなどと言うのは容易いけれど、実際は違う。そして、命をかけられちゃった方もその分キツイ、と思うのだ。だから嫌というのではなく。
互いが命の重みにたえられる位の信頼を持てるのは、どんな深さなのか。血が繋がっているだけじゃダメだろう。ただそれだけでは。自分の全て(まさしく文字通り)を差し出す愛には、そうそうめぐり合えやしないだろう。
とにかく愛。すべて愛、なのだ。
正しい正しくない、はたしかに存在するけれど、圧倒的に愛なのだ。
残された者たちがコレから先を幸せに生きることが出来たとしたら、それが正解なのかも知れない。
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無法地帯
大倉崇裕/双葉文庫(2007.01.30)
あまりにも too much なマニアっぷりなんだけれど、知らず知らずのうちにずるずるずるっと引き込まれてしまう。通常であれば本人の思い入れが強ければ強いほど鬱陶しいことになるのだけれど、どうしたものだかついついこだわりに聞き入ってしまうのだ。ありえない。
オバQさんにすっかり恋してしまった模様。彼のためならブルーマンのガチャポンも買おうって思うよ。うん。
あっちもこっちもひっかきまわして、ザニガニラーを見つけたというか事件を大きくしただけという気もするけれど、いい。それでいい。とにかく面白いからいい。
さて、最後の最後のおまけ部分なのだけど、どうだろうか。多少親切が過ぎたような気もするのだけれど、まぁ、おまけ好きの話なんだからしょうがないと言えば納得。
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血と薔薇
ジェームス・パターソン/講談社文庫(2007.01.20)
自己顕示欲、でいいのだろうか。
不特定多数に発動していたそれを、特定の誰かにのみ発動した結果がコレだ。
闇将軍は決して認めないだろうけれど、彼はきっとアレックスに認めて欲しかったのだろう。凄い奴だ、なんて言われたかったのだろう。
たいそうゆがんだ愛情の形。
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獣どもの街
ジェイムズ・エルロイ/文春文庫(2007.01.18)
どうしようもない純愛じゃないか。もう恥ずかしいくらいだよ。
グロテスクな事件は起きるし、エキセントリックな登場人物ばっかりだし、深くブラックなんだけど「リックはドナを愛してる」んだ。
言ってみればそれが全てなんだ。
とにもかくにもエルロイで犯罪で暴力で、それでも愛なのだ。何度読み返してみても、その都度ドナの言葉やまっすぐな意思に力をもらえる。
リックはドナを愛し切ったな。
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繋がれた明日
真保裕一/朝日文庫(2007.01.11)
罪と罰について考えさせられる。
何処からが罪か。
何処までが罰か。
罰さえ受ければ罪は消えるか。
何であれば罪ではないのか。
誰が納得すれば終わりなのか。
納得など必要はないのか。
納得などありえないのか。
いつも考えてはみるものの、幸いなことに自分自身では交通事故すら無縁で来たため「許す」気持ちになれるかどうかがまったく想像もつかない。
ちょっとした事件などではない、命のやり取りが起こってしまった事を「許す」なんて出来る気がしない。そんな自分を想像することができない。
逆に自分が誰かを傷つけることになったらどうだろう。それにはどんな理由や言い訳があるだろうか。
自分の罪を認識しない者は『またやる』と確信した。そんな終わりだった。
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チャンスは2度めぐる
ジェイムズ・パタースン/角川文庫(2007.01.09)
女性らしさもちゃんと持った、それぞれの仕事も立派にこなす人。
これ、すごく大変なことのように思うのは、本当ならばおかしいはず。
だって、男らしくて仕事もできる人なんて普通だものな。
女性だけが、女性らしさを捨てなければならないのはおかしい。
もしくは捨てなければやっていけないという思い込みも、きっとダメ。
大人になってできる本当の友達についていろいろ思った。
ちっともストーリーに触れてないな。あらま。
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アマンダ
アンドリュー・クラヴァン/角川文庫(2007.01.07)
バカは死ななきゃ治らないと言うが、まさしく、だ。
いったん死ねと、よく言われるわけだが、いったん死ぬと
バカが治っているのでたいそう具合がいいようだ。
自分の愛しい娘のためなら、自分の体にいくばくかの
価値すら認めない母親の愛情。
最近はもう見かけないような二人だから、心から応援してしまう。
そんな風に愛されているアマンダの命を縮めることを拒んだ
ルーニーは、きっとすぐにもスーザンと会えるんだろうな、
などと乙女なことを思いたくなる。
そうでも思わないと辛すぎるじゃない。
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わが名はオズヌ
今野敏/小学館(2007.01.07)
完全ノーマークだったこの作品だけれども、オズヌには
「パラレル」にてお会いしているのだった。
こんな登場の仕方だったのだなぁ、と納得。
敏ちゃんは、子供たちに「大人が汚かったら、
君らが正しい大人になればいい」といい続けている。
そして大人たちには
「いい加減正しくて恥ずかしくない大人になれ」といい続けている。
いい続けることを諦めないエネルギーはどこから沸いてくるのだろう。
敏ちゃんが居てくれる限り、もう少し日本人をやってもいいような
気がしてくる。強い気持ちが伝わってくる。
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緋色の迷宮
トマス・H・クック/文春文庫(2007.01.05)
原題には「迷宮」なんて言葉はどこにもないんだけれど
まさしく迷宮へ足を腑見れた、としか言いようがない。
家族を「家族だから」という理由だけで盲信するのは愚かだと思う。
けれど、それ以外に理由が必要なのか?とも思う。
またしても答えのない問いに行き着く。
娘の生存と自分の人生を同時にあきらめてしまった父により
青年の命は奪われる。それは、父が娘を知りたかったのではなく、
理由をつけて諦め切りたかったということだろう。
すべてを飲み込んで、それでも動かずに同じ場所で同じように
他人の家族写真を焼き続ける"わたし"。
何かに逆らっているのではなく、流されているように見える。
行き続けるってそんな風なのかもな、と思わされた。
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追憶のかけら
貫井徳郎/実業之日本社(2007.01.02)
金持ちの考えていることは、わからん。
成金だったらちょっとは想像できるんだけどね、
長く続いてる金持ちってのはね、違う生き物だと思うよ。
わたしの知り合いに一人だけ本気で金持ちの人がいたけれど、
彼女はびっくりするほどステキな人だった。
きっと希に発生する例外だったんだろうな。
広大なんだか狭量なんだかどっちつかずの世界感。
貫井徳郎ワールドにメロメロ。
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真夜中のマーチ
奥田英朗/集英社文庫(2006.12.08)
決めたよ。
わたしもキリバス共和国に行く。
待ってろ、ミタゾウ。
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天を映す早瀬
S・J・ローザン/創元推理文庫(2006.12.05)
うっすらマニアの香りがする、このシリーズ。
欠かさず読んでいる人もいると思うのだけど、どうか。
このシリーズは、アメリカに住む中国人のリディアと、
生粋のアメリカ人でありながら子供の頃は余所の国にばかりいた
ビルとが主人公。
シリーズを通して、一人称を交互にとっている。
今回の語り部はリディア。
中国人街において尊敬を一身に集めるガオおじいさんからの依頼とあって
家族総出でリディアを応援するが、依頼内容は「お遣い」程度。
ま、そのままお遣いで終わる訳など無いのだが。
事件は起きるが、そっちのけ。
個人的にはリディアとビルの歯がゆい関係に
ギリギリ歯ぎしりが止まらないこのシリーズ。
今回も幕切れにギリギリポイントが用意されており、
このまま次を読まずに死ねるか(c)内藤陳なのだ。
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熾火
東直己/ハルキ文庫(2006.12.01)
東直己祭りとしてかため読みして正解。
これは続けて読まないと、内容忘れちゃってるとキツイ。
頭をひと振りするだけでスッキリ忘れちゃうわたしには
かため読みしかあり得ないなぁ。
カシワギを巡る一連の事件の中で、彼女の不気味さが
最も前面に押し出されている。
いつもの軽口も全く登場する余地のない、重さ一辺倒の
ストーリーはすごい。
あんまりの重たさに辛くて先に進むのがいイヤだと思ってしまった。
ポイッと放り出して逃げたくなった。
のだけれど、最後の最後に『これが愛というものの形だよ』とでも
言いだしかねない場面が用意されている。
何もこんな目に遭うまで待たなくたっていいのに、
としか言いようがないが、だからこそ、とも言える。
まさしく大人の物語なのだった。
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駆けてきた少女
東直己/ハヤカワ文庫(2006.11.30)
不気味。理解しようだなんて思っても、無理。
ただし、これはわたしの善悪判断に置いてだ。
『常人の理解を超えた人間とも思えない生き物』達の事と言えば
判りやすいのかも知れないけれど、そもそも『常人』の
定義はどうなってんの? から始めないといけない。
余りにも混沌としている世界にいて、道徳や善悪について
整然と「これが正しい」と言い切れない気がする。
昔むかしから、ダメな事はダメで悪いことは悪いんだけど。
なんだかどうしたらいいのか判らなくなってる。
これは進化ですか?退化ですか?
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後ろ傷
東直己/双葉社(2006.11.28)
便利屋シリーズから派生した、と思っていいのか。
松井省吾くんシリーズになってゆくのか。
便利屋もすっかりおいちゃんになって、体の自由がきかなく
なってきたのか。そんなのは淋しいと思うけど、
若い男子の活躍ってのはイイもんだ。
もう、若い。本当に若い。おばちゃんなんて
何時何処で何が理由で取り落としたのかなんて
キレイさっぱり忘れたよぉーと思うイロイロなモノを
沢山持ってる。しょっちゅう取り出して見せびらかす。
罪だね、若さって。
学歴に縛られている自分を見て見ぬ振りで、学歴なんて
気にしたことがないなんて事を自分に信じ込ませようとしてみたり。
汚らしい世界を存分に見て、それでも正しくあろうとした人の死を見て、
彼は大人に変貌するんだろうな。
その結果として、グロ大を辞めるのか受け入れるのか。
妙に気になるのだ。
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殺人症候群
貫井徳郎/双葉文庫(2006.11.17)
このまま「格好いい男達」として、続いていくかに思えた
このシリーズは、ここで終わる。
決してこの続きは書かれないように思う。
それくらい各が決然と終わるのだ。
倉持の理不尽に埋め尽くされた過去。
一番ウマの合わない筈の武藤が最初にその事を知る。
こんな苦しすぎる過去、知りたくなかっただろう。
そして出来ることなら忘れたいとすら思うだろう。
ダメなんだろうか。響子のしている事は、あんな最期が相応しいほど
おぞましいことなのだろうか。
渉の選択は彼女を再び更なる地獄へ突き落としただけなのじゃないだろうか。
環は倉持の気持ちなど一切省みなかったのだろうか。
わたしは倉持に逃げ続けて欲しかったのだろうか。
そして続けて欲しかったんだろうか。
武藤はいつか結論を見るのだろうか。
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誘拐症候群
貫井徳朗/双葉文庫(2006.11.15)
症候群シリーズ第2弾。
名付けて小口誘拐。小口ってのがズキュンと来る。
ところが武藤の巻き込まれた誘拐は大口なのだ。
何かがおかしいじゃないか。
ネット状に繰り広げられている赤の他人が心配になる程の
プライベート情報の垂れ流し。
ここに小口誘拐の鍵があるが、大口の方はどうだ。
見事、暗黒。
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失踪症候群
貫井徳朗/双葉文庫(2006.11.14)
これを見習って(見習う、でいいかは疑問だが)
上手に失踪する人々が発生していないんだろうか。
うまく相手方を見つけるシステムがあれば、
非常に快適な失踪ライフを送れるように思われる。
現状が本当に苦しいとすれば、かなり魅力的だ。
環とその手足となるメンバー達の黙々とした動きが気持ちいい。
リーダーである環の情報処理能力を信じていなければ、
決してこのような動きにはならないと思う。
美しくて乾いたチームワーク。
そんな中、原田の娘が入院したと聞いて、
環が三日と開けずに見舞っていたのがなんとなく不思議で
少し不自然に感じたくらい。
もしや、裏に何かあったのか? と勘ぐるわたしがおかしいのか。
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バッド・ニュース
ドナルド・E・ウェストレイク/ハヤカワ文庫(2006.11.10)
ドードマンダーさん36周年だという。すごいね。
さすがのわたしも最初から読んではいない。ちょっと安心。
初っぱなからめがね屋に閉じこめられて、どーすんのよーと
ハラハラさせてくれるドードマンダー。
こんなピンチを切り抜けられるんだもの、もうちょっと
いろいろ成功してもよさそうなものだ。
今回は、人知れず完全犯罪を達成したのだ。おめでとー。
なんだかんだといつもの仲間を引き込んで、
そこら中仲間だらけでどうなるのかと思ったら、
案の定のラスト。
真骨頂なり。
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裁判長!ここは懲役4年でどうすか
北尾トロ/文春文庫(2006.11.07)
気になるなら見るべきかも、と思った。
どんなに小さく思われがちな事件でも、
当事者となれば、人生まるごとに近い何かが
変わってしまうのだと思う。
その痛みや苦しみは、確実に長引く。
そのことを実感できない毎日だから、
被害者に対する嫌がらせが止まないのかも知れない、
とも思った。言い訳かな。
どうしようもなくて、パツンパツンだと思っていても、
ふと横を見ると全く違う道に気付く事だってある。
それすら見えなくなった時に、人は向こう側へ落ちるんだろう。
きっかけなんて、ほんの小さな事だと思う。
そんな事を思いながら読み終えた。
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雪の華
伊藤たかみ/ハルキ文庫(2006.10.31)
優はその名の通り、やさしい男の子だと思う。
霧島と優はとても違っていて、だからこそ埋め合うのだろうか。
こういう関係って、なんとなく男同士の友情の理由としては、
あまり見かけないような気がする。
どちらかと言うと、恋人の繋がり方のように思えてしまう。
受け止めきれない悲しみを、それぞれに必要な時間をかけて
飼い慣らして行ったおハナシ。
それぞれ必要な時間は違うのだよね。
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動物園の鳥
坂木司/創元推理文庫(2006.10.25)
誰と誰が大人で、どこが子供なのか。
あれこれ入り組んでいて、
そりゃもう大変な事になっているのだけれど、
とにかくあちこち成長して優しくなって大層良い事だ、
と思うのだった。
檻というのは、閉じこめているのと守っているのと
両方の効果があるのだ、とある。
坂木は鳥井を守っているようで頼っている。
すがりついているのだという。
そうなのかも知れない。やたらと子供を欲しがる事は
このことと通じている気がする。
若い娘の差し出す「こんにちわセット」をきっぱりと断る
栄三郎さんが格好いい。
滝本の言うように、年寄りがみんな栄三郎さんみたいだったら、
きっと日本はまだまだ大丈夫な気がする。
望みは薄いな。
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安楽椅子探偵アーチー
松尾由美/創元推理文庫(2006.10.20)
子供が主人公のものはイヤだイヤだと言いながら、
結構な数をウッカリ読んでしまっている。
そして、そこに登場する、街ではとんと見かけない賢い子に
嬉しくなってしまう。
結局わたしも動物と子供には弱いのか。ありきたりだなぁ。
さて、アーチーだ。
安楽椅子探偵モノというジャンルはある。あるけど、探偵は
概ね(というか絶対的に)椅子に座った人間だ。
椅子だものね。そうだものね。さすが松尾由美だ。
ここまであからさまに突飛なくせに、「あるかも」と思うわたしが
バカなのではなく、筆の力というものだと信じたい。
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水無川
小杉健治/集英社文庫(2006.10.16)
あるとあらゆる「現代の」というか「人間の」病巣を
全部盛りにしてもらっちゃって消化し切れない。
味付けが悪いというのではない。こちらの消化能力の問題だろう。
いつもいつもいつも思うこと。
「人権派の弁護人」って、何だろう。
本当に人権を思うのならば、加害者だけでなく
被害者の人権も同等に扱うのが当たり前だと思う。
いったいなぜ、他人の地獄のような苦しみを思うさま利用して
自分の名声だか権力だか何だかを手に入れようなんて思うんだろう。
彼らの精神構造に比べたら、加害者の方がまだしも身近だと思ったりする。
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手紙
東野圭吾/文春文庫(2006.10.13)
これを読んで涙を流したのは、一度目だけだった。
何度読んでも泣いてしまう文章も存在する。
何が違うのか考えてみた。
すぐさま自分に置き換えられるかどうか、なのだと思った。
「手紙」の初読では、辛いだろうなぁとか、悔しいだろうなぁ
というような、ちょっと甘い感情が先走ってしまいがちだった。
それで、つい涙が流れてしまう。
2度目以降はもう少し冷静になれた。
幸運なことに同じ痛みの持ち合わせが無いので、
俯瞰することができたのだ。
犯罪者の家族を差別する理由は、納得させられるものだった。
そうあるべき、ということではなく、だけれど。
寺尾がいつか子供を持った後でも友情は続くか。
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硝子の殺人者
今野敏/ハルキ文庫(2006.10.11)
相変わらずのプチ敏ちゃん祭りを続行中。
の、割には安積シリーズのどのあたりに位置するのやら
判らないままに読み進めているが気にするな。
敏ちゃんの警察モノは、現実だったら手の届かないでっかい悪を
小説の中で見事ふんづかまえて見せるぜ、というのではない。
権力を持っている者は悪いことをするだろう、
キレイで可愛らしい女の子は被害者だろう、というような
色眼鏡で見ていないかい、君たち? と問われているように思う。
そんなステレオタイプで恥ずかしくないかい? とかね。
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シンデレラ・ティース
坂木司/光文社(2006.10.09)
サキという女の子が大人になる物語であり、
正しいことをしようという大人達の物語でもあり、
友情の物語でもあり、恋の物語でもある。
雑多な人種が訪れる場所としては、いわゆる「店」を
思い浮かべがちだけれど歯科医院というのもなかなかに
スリリングな場所だと思った。
同じ医院でも、内科や外科よりも「客」気分で
「来てやってる」感のただよい易い場所であることは確か。
そんな場所だからこそ、小さな不思議が効くのだ。
こんな世の中だったらいいのに、と夢みたいに思う。
どこかにあるのかもしれない場所。
どこかにいるかもしれない人。
と、他人に頼らず、自分がそんな人になれば、
周りも変わっていくんだろうな、きっと。
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神々の遺品
今野敏/双葉文庫(2006.10.06)
読み順が逆になってしまったけれど、
これがオーパースシリーズの最初の作品。
ちょっとかわいいお嬢ちゃんのお友達探しと思える
滑り出しなのだけれど、アメリカの大統領やら日本の首相やら
CIAやら何やらヤイノヤイノと大層なことになって行く。
広げに広げた大風呂敷を、ピシーッと見事に収めてくれる。
それも、とても正しい人たちによって、とても正しい方向に、だ。
物語は収まっても、神は数字なのかは謎のままだ。
このまま敏ちゃんの口車に乗っかって、全部信じておこうか。
正直であり続けるのもいいもんだよなぁと思わせてくれる、
クーンツな感想を抱かせてくれる敏ちゃんが大好きさ。
もう絶滅したって噂の「強くて正しい大人」と思える人だ。
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ボトルネック
米澤穂信/新潮社(2006.10.01)
パラレルワールドをスリップして、別の自分に
会ったり自分にだけは会えなかったり・・・という
おハナシ自体は聞いたことがあるけれど、
ここまで「自分」を全否定される展開は初めて。
自分の何気ない一言があっちの世界での
決定打になっていたなんてこっちに来なければ
気が付かないでいたことだ。
だからこそ、こっちの世界にいる自分には、
誰よりも自分に全く賛成されない
あっちの自分象が浮き上がってしまう。
リョウがこれから変わるのか、それとも変わらないのか。
明るくて前向きであることばかりが正しいとは思わない。
まったく思わないが、楽しむべきだとは思う。
人はすべからく楽しむべきだと思うんだ。
リョウだって何か楽しんで欲しいものだ。
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ニシノユキヒコの恋と冒険
川上弘美/新潮文庫(2006.09.21)
単行での発売時と同じ装丁でとても嬉しい。
あの装丁は大好きですごく欲しかったのだけれど、
当時ちょうど賞を取ったばかりだった川上弘美作品を
購入することに、天の邪鬼的な感情が働いていたため
文庫での購入と相成った。
いつもいつもほんの少し地上から離れた
低い低い空をふわふわと飛んでいるような
ニシノユキヒコという男と彼を巡る物語。
少しだけ地上から浮いているから、ひとっところに留まることが
できない。心も体も。
こんな人、近くにいたら大変だ。
うっかりひっかかったらタイヘンだものね。
困った男に、ものの見事に困らされながらも、
まっすぐな女性たちの姿は美しい。
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彼女はたぶん魔法を使う
樋口有介/創元推理文庫(2006.09.19)
これ、16年前の作品だってさ。驚いたよ。
何が驚いたって、新刊で読んでる自分に驚いた。
そしてスッキリ忘れ去っていることにも驚いた。
世の中は驚きに満ちているのね。
これだけ年数が経っても古くないのは流石。
草平さんは最初から草平さんで、小学生の自分の娘にすら
「相談に足る相手ではない」と判断を下されている始末。
こんな草平さんシリーズが次々文庫として甦ってくれるのは
嬉しい限り。
せいぜい忘れないように追っかけ続けることにしよう。
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沈黙のメッセージ
ハーラン・コーベン/ハヤカワ文庫(2006.09.13)
例のトム・クルーズ氏の「ザ・エージェント」の原型ではないかと
勝手に思っているこの作品。
とにかくストーリーテラーのマイロンがステキなんだ。
でも、お友達のウィンはかなりの優男(見た目だけ)なのに
きっちり気が狂っているらしい。
他人に「彼は気が狂っているんだね?」と聞かれて
「はい。そうです。」ってハッキリ答えるマイロン。
お友達なんだけどね。大好きな人なんだけどね。
事件はもう2年近く前に起こっていて、その時には
どうしようもなかった様々な事が、ここへきて動き出した。
かなり歪んではいるけれど、父親の愛情によって、だ。
とても生きにくい毎日を私たちは生きている。
何を決めるにしろ、選ぶにしろ誰かのせいにできたら楽だ。
それでも、誰かへのあてつけの為に自分を貶めたり汚したり
するのだけは止めた方がいい。キャシーみたく後悔したって
戻らないものは、戻らない。
過去は忘れることは出来ても、消すことは出来ないんだから。
自分がやったことは、どうしても自分に返ってくるんだから。
たとえそれが誰かへのあてつけだったとしても、だ。
身につまされるじゃないか。
ところで、自分の息子に「マイロン」って名付けるのは
どれ程の大罪なのだろう? わかりまへん。
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砂漠で溺れるわけにはいかない
ドン・ウィンズロウ/創元推理文庫(2006.09.07)
一作目から13年と半年かかっての、シリーズ最終作だと
東江さんが言っているので本当だろう。
「そりゃ忘れるよ」と思う。忘れるだろ、そりゃぁさ。
自らの忘れ易さを嘆くべきなのかも知れないけれど、いいだろう。
最終作まで命を繋いだだけでも幸せってもんだ。
とてもおバカさんなことに、どのあたりでニールがカレンと
知り合ったのかもすっかり失念。情けないこと山のごとし(間違い)。
どう考えてもニールはカレンの尻に敷かれて生きていくのだろうけれど、
どこかにそっと短編かなにかでその後の二人とグレアム父さんのことを
書いていてくれないだろうかと期待もある。
相変わらず東江さんの翻訳がすばらしいな、とつくづく思った。
ナッティのギャグを日本語にするのに、どれ程の時間を費やしたろう。
ここまで言葉を楽しめる翻訳ものは本当に少ない。東江さまさまだ。
東江さんとそのお弟子さん達には、これからもどしどし活躍していただきたい。
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パラレル
今野敏/中公文庫(2006.08.15)
最高だなぁ、敏ちゃん。
わたしも含めて大人達がふがいないのは承知の通り。
半人前のガキが大人の前で平気で制服でタバコを吸って、さらに投げ捨てたりする。
それでも奴らの”キレ”が恐ろしくて何も言えない。もう奴らは成長しすぎている。
もっと小さいうちに「ダメな事はダメだ」と教えておかなかったのだものな。
子供に向かって”可愛いわねぇ”なんて言って、ダメな事を許す大人が悪いと思う。
可愛いかろうが、ブサイクだろうが、ダメな事はダメなんだよ。
しっかりしろよ大人、と思う。
後になって言うこときかないからって殺すんだったら、ちゃんと躾けておこうな。
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ST為朝伝説殺人ファイル
今野敏/講談社ノベルズ(2006.08.09)
STの色シリーズを読破出来ているのか判然としないまま、
伝説シリーズへ突入。心許ないな。
今回の事件は、STが登場するまでもない
ありがちな原因と結果ではあった。
それでもキャップやメンバーや菊川に会いたいのがファンというもの。
敏ちゃんのサービスに酔いしれようぞ。
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コールドゲーム
荻原浩/新潮文庫(2006.08.01)
本当の事を言えば、相手を傷つけてもいいと思う。
目には目を、というのは野蛮だと思うが、
他にどうしようも無いのじゃないかとも思う。
自分は自分でしかなくて、他人とは違う。
誰もが同じということは無い。
違っていいじゃないか。何がそんなに不安なんだ?
制服に反発する価値すらない、ベタな奴らの「自分探し」。
ずっと探しとけ。
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東京バンドワゴン
小路幸也/集英社(2006.07.30)
小路作品では「ホームタウン」に続いて
ナイスおばぁちゃんが登場。
憧れのおばぁちゃんがまた一人増えた。
ストーリーテラーのおばぁちゃん、その夫、子供、孫、孫の配偶者、
ひ孫の4世代がお互いを尊重して暮らしている家が
現実の世界で存在しているのかわからないけれど、是非あって欲しい。
わたしがこの手の家族ものが大好きなのは何故なのだろう、と自問してみる。
日常の小さな不思議をそのままにせず、子供は子供なりに、
大人は大人なりに調べられるところは調べるという家訓を守る人々と、
きっとわたしは暮らしたいんだろう。
そして我南人みたいなじぃちゃんが欲しいんだろうと思う。
「ここに居ていいよ」と大声で言って欲しいのかも知れない。
困った甘ちゃんだね、こりゃどうも。
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ポップ1280
ジム・トンプスン/扶桑社ミステリー(2006.07.20)
とりあえず本編とは無関係なんだけれど、映画「グリフターズ」の
原作がトンプスンだったのだと。だからあんなラストだったんだと、
今回知って激しく納得した。そんな発表はいらないな、多分。
周囲の人々にはうすらバカだと思われている保安官のニックだが、
なかなかどうしてずる賢いじゃないか。
うまく女性達をあしらっているように見えるのに、
実はあしらわれていたりしているのもご愛嬌だ。
そんなこんなで利口なんだかおバカなんだかさっぱり解らないまま
物語は進む。
かなり寄り道をしてしまったせいか、ラストに至るまで
ニックの内側で進んでいる狂気に鈍感なままだった。
まるでニックの近所に住んでいる誰かに同化してしまったように、
彼の狂気に気付かなかった。
現実でもこんな風に狂気は進行するのだとしたら・・・。
通勤電車に乗り合わせている人のうち何人くらいがこんな風に狂気へと
進んでいるのだろう。恐ろしいが、ひどくリアルに想像できる。
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スローモーション
佐藤多佳子/ピュアフル文庫(2006.07.14)
初期の作品はたいてすばらしいと決まっているが、
この人に関してはその後の作品の方が圧倒的に好きだ。
多分ターゲット年齢を意識しすぎて何かのバランスが崩れたの
ではないか、と思うのだ。気のせいかも知れないが。
高校生の話す言葉としてかなり不自然な千佐(主人公)。
その違和感を抱えたまま読み進んだためか、ストーリーと別の部分ばかり
気になってしまい、どうも主軸がズレてしまう。
これは個人的な問題なのかもしれないけれど、気を取られ過ぎて
おニイの心の中をゆっくり見ようという気にすらならない。
お父さんとお母さんのことも気になるのにな。
及川のことだって気になるのに・・・言葉がなぁ・・・。
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人形の記憶
マーティン・J・スミス/新潮文庫(2006.07.12)
テレサ、という女性がどれ程冷静で強く生にしがみつき続けるかを
様々な形で試しているのだろうか。
彼女はどこまでも公正であろうとする。
自分が心から消したいと願った為に消えたであろう記憶ですら、
呼び戻そうとする。
どう考えても思い出さない方が幸せでいられるのに。
こういう風に常に激しく戦いながら生きている人は
思いの外沢山存在すると思う。
こんな風にそっと見えないところで歯を食いしばっている人達が、
少しだけ安らぐ場所をいつか見つけられますように、と願う。
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ハートブレイク・レストラン
松尾由美/光文社(2006.07.06)
心の淋しい人にだけが会えるらしいハルおばあちゃんが、
日常に起こる余りにも小さな謎を解いてくれる。
ハルおばあちゃんの話し方、店員さんたちが丸ごと受け入れている様子、
どれをとっても「ありそう」で面白い。
何を見てもただ素通りしてしまいがちな現代は、
きっと誰も彼もが自分の事だけを思っているのだろう。
誰かを見て、何かを見て、その不思議に気付かないような
つまらない人間にだけはなりたくないもんだと思う。
しかしそれは、同時に見たくないモノも見てしまうということで、
気を付けないといつもイライラしていることにもなってしまう。
この辺のバランスを上手に取ることが出来れば、
わたしもハルおばあちゃんに会える気がする。
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ススキノ、ハーフボイルド
東直己/双葉文庫(2006.07.05)
珍しくというか知らないだけでいつもなのかも、なのだけれど
ススキノ探偵がほぼ失敗という結果を受け入れざるを得ないストーリー。
あれ?ネタバレになっちゃうのかしら?
いろいろ複雑になっていて、わたしの小さなお脳では
数回に渡る復習が必要かと思われるので、詳細は省くが取りあえず。
本格的な変態(男女問わず)というのは、間違いなく世の中に存在していて、
どんなに忌み嫌ってもやっぱり存在し続けているってことだ。
今回の救いは、本人が希望してショーに出ているという所だけかも知れない。
ポップな感じに仕上げているけど、どうしようもなくどんよりとした
おハナシで救いが無いぞ。ちぃとも。
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ジェニファーへの手紙
ジェイムズ・パタースン/ヴィレッジブックス(2006.06.08)
「スザンヌの日記」に次ぐ、どうしようもなく愛しい物語。
この人の引き出しはどんだけ多いんだ! と改めて実感する。
配偶者以外の誰かを何十年も愛し続ける物語が
こんなにも美しいと思えるのは、サムの人柄なのか。
それとも夫であるチャールズに出来る限りのことを全て
やり尽くしたからなのか。
そんじょそこらの○辺○一とは比較にならない。
誰も比較しないとは思うけれど。
サムの物語と孫娘であるジェニファーの物語の
両方を聞かせてもらえる読者はとても幸せだと思う。
なぜならこの二人は、本気で愛する人に出会った人たちだから。
誰にでも訪れる幸運ではない。その事を幸運と思えないある人のことを
思い出して、そんな風に傷ついてしまった心をもったいないなと思ったりした。
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仔羊の巣
坂木司/創元推理文庫(2006.06.27)
ものすごくステキな女性に知らぬ間にモテていた坂木だが、
残念な結果になりそう。たぶんこのままだと吉成に持ってかれるな。
もっと焦ろうよ、坂木。
誰かに切実に必要とされていると実感できる人が、
いったいどれくらい居るのだろう。
大抵の人はそう実感したくていつももがいているのではないか、
とすら思う。勿論わたしも。
どんなに言葉を尽くして
「どんな人だって必要だから産まれて来たのよ」なんて
言ったところで、実感できなきゃ空々しいだけだ。
産まれて来たことにすら意味を求める悲しい生き物だよな、
わたし達って。
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死の教訓
ジェフリー・ディーバー/講談社文庫(2006.06.22)
ま、当然事件は起こるのだけれど、最近のディーバー作品のように
謎めいているわけではない。動機も犯人も意外と普通。
わたしに思いつけと言っても無理だけどね。
それより人物が余りにもリアルだった。
語り部となるビル・コード。彼はある事件で街を逃げ出した刑事。
田舎町では都会からやってきたスゴイ奴扱いを甘んじて受け入れている。
娘の病気を受け入れられない妻と、言動が明らかに異常である長男と、
学習障害を持つ娘を持つ。
もう弱い所だらけだ。で、どれもどうにも出来ていない。
息子にいたっては、言動異常に全く気付いておらず自慢にすら思っている始末。
余りにリアルで「憎めない奴」的なシンパシーを持てないところが、
いいんだか悪いんだか。
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消し屋A
ヒキタクニオ/文春文庫(2006.06.15)
ずっと気になっていたが、単行に手を出す勇気が無かった。
弱虫と呼んでもらって結構さ。
ものすごく普通に日常を送る消し屋。
こんなのんびりでいいのだろうか?
どうやってこんな呑気な消し屋にコンタクトを取れば
いいのだろうか。
いや、別に消したい人が居るわけではないけれど気になる。
強くて美しいおかまの蘭子と暮らし自らをホモと言い切る消し屋。
今回は消さない消し屋の日常をとっぷり見せてもらったから、
是非ともきっちり消すところも見せて欲しいものだと思ってしまう。
とてもじゃないけどまともな人間の願いじゃないよな、これ。
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愛が噛みつく悪い星
東山彰良/カッパノベルズ(2006.06.08)
もうお馴染みの現代のような近未来のような
ありそうだけど無いと言ってと願いたくなるような
リアルなどこかの街が舞台。
クライム・ノベルだと帯にはあるが、わたしには
恥ずかしい程ストレートな<友情>のおハナシに読めた。
ある友人と「この人がわたしの親友です、って誰かに紹介した時が
友情の終わりの時だよな」と確かめ合っているわたしだ。
そんな直球はかなり恥ずかしい。
が、なんだかいいなぁとも思ってしまう。
元いじめられっ子と現在進行形のいじめられっ子の
おかしな友情もいいし、ちゃちゃを入れる悪友達の言葉もいい。
そう、いじめは無くならないんだ。
残念だけど、そんなバカは相手にしないよ、という強い意志と
自分だけの世界をきっちり持たない限り続くんだと思う。
元いじめられっ子の柴尾が仲間(いじめてたのになぁ)達の
かなり冷静な分析を披露する時に
「孤独だから揺るぎないんだ」と言う。
なんだか勇気づけられる言葉だと思う。
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噂
荻原浩/新潮文庫(2006.06.06)
口コミの力について、本気で商品を売ろうとしている人々は
決してバカにしてはいけないよ、というテーゼなのか。
街を徘徊する若者達。
まともとは思えないが、実はまともな大人を求めている。
残念だけれどわたしにその余力はなく、誰かにお任せだ。
ここで反省する気などない。
「自分の人生をどう生きるも自分次第だ」ってこと、
ヤツらは知ってる。
わかってて、不在の誰かのせいにしている。
それはラクだろうけれど、楽しみと喜びはあるのか?
なんだかそんな説教じみたことをいろいろ思うのだった。
お金があることだけが大切じゃない。
楽しいことはお金で買えない。
あるだけのお金を有効に使うことを楽しむこともできる。
それを大人がわかってないから、新しい世代はお金にだけ執着するのか。
正しいことを正しく行うというのは、カッコイイことなのに。
それはとても誇らしいことであるのに。
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海に消えた神々
今野敏/双葉文庫(2006.06.01)
海に沈んだ遺跡を巡る事件を調査する
やる気のなーい探偵の物語。
物語と同様に現実でも沖縄の海底遺跡は、
あからさまに人の手が加わっているとしか思えないのに
「波に削られた」なんて偉いらしい人が偉そうに言っているのを
いつか映像で観た記憶がある。
まぁ、どうせわたしの記憶だから怪しいものだけれど。
知性というものについて考えてしまう。
教養のある知性的な人、は尊敬されるべき人とされている。
それはどうだろう。
スマートという言葉の定義についても再考の必要があるかも知れない。
どんな小説でも現実に輪をかけて悪いヤツと相場が決まっている政治家だが、
この物語ではまともな事を言い、まともな行動をしている。
人は職業ではなく品格によって良いことや悪いことを行う生き物だと
思った。
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青空の卵
坂木司/創元推理文庫(2006.05.30)
待ちに待っていた「引きこもり探偵シリーズ」の文庫化。
「切れない糸」で惚れたのだから、さっさと読むんだった。
なんだろう、どう言えばいいのだろう。
とにかくあたたかい、んだ。
作家と同じ名前のストーリーテラー坂木司と
彼の大切な友人である鳥井真一。
二人の友情を遙かにオーバーした互いを思いやり信じる様子が
あたたかいし、羨ましいし、カッコいいし。
自分に何があればこんな相手を手に入れられるんだろう、なんて
姑息なことを思ってしまう。
鳥井ほどの傷をかかえていないだけで、わたしの鳥井は既に
少し遠くにいるような気がする。それで十分じゃないかな。
友人に見つめられて恥ずかしくない人物でいたいから、努力する。
そんな言葉を衒い無く言える坂木は、その友情に値するんだろう。
滝本もいいなぁ、あるがままで。彼のあるがままさ、尊敬に値する。
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サーチエンジン・システムクラッシュ
宮沢章夫/文春文庫(2006.05.18)
宮沢さんのお芝居はまだ観たことがない。
いつか観ようと思っているのだけれど。
エッセイばかり読んできたけれど、彼の思考の方向性が
そのまま小説になっていると思った。
たぶん脚本もそうなるのだろう、とも。
ちっとも特別じゃない入り口から入ったのに、
ちょっとだけ違う方向に進むだけで出口が奇妙になっている。
そんな印象を持った。
まさしく以前に本人が語っていた「雪だるまを上からこそ描くべき」
な感覚だと思う。
上から描かれたものを読みとる能力を備えたいものだと思う。
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陽気なギャングの日常と襲撃
伊坂幸太郎/祥伝社(2006.05.11)
日常も彼らは彼ららしくいる。確かに日常ってのも気になる。
特に成瀬がお仕事をしている場面なんて面白い。
前回の横取られ事件を自らギャグにしているのも、
とても雪子っぽくて嬉しい。
今回はちょっと大立ち回りをしすぎて
顔を売っちゃったのじゃないか、と心配している。
なんだか心配症のお母さんな気分だよ。
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夏季限定トロピカルパフェ事件
米澤穂信/創元推理文庫(2006.05.08)
謎がたくさんあったり、おいしそうでしょうがない
スイーツ(この言葉、いまいち好きではないな)が
出てきたり、ここぞという時に堂島くんが出てきたり
するけれど、それより何より、だ。
なぜ小鳩くんと小山内さんがこんなことに!!
わたしが歳をとりすぎたのか、もともとガサツな人間なのか
わからなけれど、結末の必要性がわからない。
依存するけれども共感しない、という関係が
息苦しくなってしまうだろうことは解るけれど。
そこに一種の愛情がからむと、その感情を持ってしまった
どちらかが一方的に苦しくなってしまうだろうと思う。
んー、続きはあるのか気になる。
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二重標的
今野敏/ハルキ文庫(2006.05.06)
えぇと、シリーズがどうなっているやら
かなり混乱している敏ちゃんだけれど、
どれを読んでも良しとしよう。
安積シリーズのどこかに位置しているらしい。
自分でも気が付いていない安積くんの人を引きつける
”何か”。
残念なことに元妻や娘にはそれが通じないらしい。
ハイウェイパトロールの速水に至るまで、
細部にわたって人物が魅力的であるのがいい。
心根の腐ったヤツが登場しないってのが心地よさに
繋がっているのだろうか。
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終末のフール
伊坂幸太郎/集英社(2006.04.27)
週末じゃないのよ、終末なのよ。
そう、あの「スワン・ソング」な世界なの。
苗場さんが「自分に恥ずかしくないのか?」と尋ねる。
わたしは自分会議を行っても「恥ずかしくないかもー」なんて
甘い決議になりかねないので、スーパーバイザーとして
今は亡き祖母を動員する。
彼女に恥ずかしくないか、と一人親族会議をしつつ
日々を乗り切っている。
わたしの道徳や選択は、祖母のそれに沿っていると
今のところ思える。
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神様からひと言
荻原浩/光文社文庫(2006.04.24)
さすが、と言うべきなのだろう。
始まりの少しの間、わたしは主人公と一緒に
つまらない会議に退屈する。
そのまま一気にわたしは涼平に同化する。
あの生意気で可愛げのない青年に。
自信家というのでもない、身の丈に合わない
”でっかいこと”を言うわけでもないけれど、
なんだか鼻につく男だ。
わたしなら嫌いだけれど、若い頃の自分に似ている気がする。
つくづく若いってカッコ悪いものだよなぁ。
後半では涼平がみるみる大人になっていく。
このまま様々なことを吸収し続けたなら、
とんでもなくイイ男になるだろう。
色んな物事の上っ面だけでなく、少し踏み込んで
かかわっていくことで、人は成長するのだろう。
わたしもまだ間に合うのだろうか、と自問。
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天国の扉
沢木冬吾/角川書店(2006.04.04)
なんとなく重苦しくてまとまりに欠けるので、
ちょっと後回し・・・
後日掲載
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イノセント
ハーラン・コーベン/ランダムハウス講談社(2006.03.29)
ちょっと同タイプを続けざまに読み過ぎか。
多少食傷気味。
ハーラン・コーベンに関しては
ノンシリーズではなく、シリーズものに手を出した方が
いい時期に来ているのかもしれない。
今回は夫に過去があり、それは物語のはじめから明かにされている。
その彼を心から愛している妻。
そう、やっぱり彼女にも大きな秘密がある。
ハーラン・コーベンのお馴染み、だ。
やっぱり女は秘密を守れる生き物だと思う。
今回は自分のためだけじゃなく、友人の幸せのために
命すら賭す女が登場する。
女に友情はあるのか、なんて言ってる人もいるけれど
男とか女とかじゃないと思うんだよ、友情って。
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反自殺クラブ-池袋ウェストゲートパークX
石田衣良/文藝春秋(2006.03.24)
相変わらず面白いけど、どうだろう。
少しマコトが有名になりすぎた気がする。
コラムニストでもあるので当然なのかも知れないが、
あの街でトラブルに巻き込まれるガキどもは、
街に住んでいないのじゃないか、とも思うわけだ。
それ程ウワサが流れるものなのかがちょっと気になるけれど、
そういうモノなのかも知れない。
「死に至る玩具」をわたしは「ホワイトバンド」に
読み代えたのだけれど、それってあまりにも穿ち過ぎな
意見だろうか。世を拗ね過ぎ、だろうか。
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空中ブランコ
奥田英朗/文藝春秋(2006.03.20)
もう無理。伊良部に夢中。
前作に比べると患者の症状は明らかに難しい風になっている。
それでもちっともお構いなしの伊良部くん、ナイス。
いつも彼の脇に控えている”無駄に美人でスタイル抜群”の
看護婦、マユミちゃんもいい。
読書の趣味もすばらしく良い。
伊良部と付き合うのはそれは大変だろうと思うのは
浅薄というべきだろう。
彼と彼女はとてつもなく正直なんだ。
計算やかけひきなんてしない。ただ、そこに正直に立っている。
とても簡単そうに見えて、なかなか出来ないことを
二人して実践している。
会ってみたいけど、自分のヨゴレが目立つだろうな。
ここを訪れる患者たちは、そんな自分に対峙して、
自分にすら閉じていた心を結局この二人に開くことになる。
なんかスゴイぞ。
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イン・ザ・プール
奥田英朗/文春文庫(2006.03.17)
先に映画を観てしまったけど、久しぶりに
「どっちが先でもいいやー」な出来事だった。
伊良部という抗いがたい魅力を持つ男を演じた
愛しい松尾ちゃん。ピッタリ!以外の言葉を持たない。
神経症は簡単な病気ではない。それは重々わかっている。
が、だ。
伊良部にかかると真面目に思い悩むのがばかばかしく
なってしまうのだ。
そして気が付くと、自分がどうしてこうなっちゃたのか
自覚して、自前で治癒してしまう。
どう贔屓目にみても伊良部は治していない。
伊良部は小学生の面もちで
新しいお友達が来るのを待っているだけだ。
そんなストレートな感情を目の当たりにすると
いわゆる”大人的”なものなどどうでも良くなるのかもしれない。
試してみたいけど、なかなか出来ない生き方だと思う。
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さよなら妖精
米澤穂信/東京創元社ミステリフロンティア(2006.03.15)
何度か読み返すべき物語だと思う。
今、こうしてわたしがのんびりとくだらない毎日を
送っている間にも戦争は続いている。
遠い国ではあるけれど、戦っている人々がいる。
どうしても戦いたいというのだろうか。
こんなに愛しい沢山のアーヤの命と引き替えにでも。
誰もが満足することなんて世の中に存在しない。
でも、ゆずり合おうよ。ほんの少しずつ。
明日が来るって信じたいじゃない。
せめて”たぶん明日も大丈夫”ってくらい、
あまねく世界に広めたいじゃない。
わたしたちの知性はたったそれだけの課題すら
解決できない程度のものなのか。
お気の毒さま。
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包帯クラブ
天童荒太/ちくまプリマー新書(2006.03.02)
この物語を世界中の人が
たった一度ずつでいいから
読んでくれたなら
きっと世界は違った顔になる。
そう信じられる。
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誘拐ラプソディ
荻原浩/双葉文庫(2006.02.28)
実際に会ったことはまだ無いのだけれど
世の中には小心者の子悪党というのが存在するらしい。
大きな悪事なんてとてもじゃ手を染められないのだけれど、
こつこつ働くこともできない。
だから小さな悪事を働くが、もともと怠け者なのか
詰めが甘いらしく、すぐにとっ捕まる。
自分が被害に遭わない、という条件付きではあるが、
多少微笑ましいとすら思う。
邪気たっぷりの子供(伝助)をついウッカリ誘拐した子悪党が、
彼のためになんだかとってもまともな大人になっていく。
なぜだか心温まってしまう不思議な誘拐ラプソディ。
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ハードボイルド・エッグ
荻原浩/双葉文庫(2006.02.25)
マーロウを愛する探偵。
おでんを煮込むJ。
そしてダイナマイトボディの綾。
またわたしの憧れのおばぁが増えた。
潔く生きたい。
いつもいつもそう願っている。
現実はぐずぐず。
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I LOVE YOU
アンソロジー/祥伝社(2006.02.07)
伊坂幸太郎の「透明ポーラーベア」を狙って購入。
当然のごとく、当たり。
「いくらそれまでに楽しかったことが一杯あっても
別れる時には役に立たないんですかね?」と尋ねる
優樹の言葉にわたしは深く頷く。
そして最近お気に入りとなった本多孝好が良い。
何が悪いのか、どこをやり直せばいいのか、
そもそもやり直したいのか、全て判らない。
でも確実に取り戻せないところにいて、
少し悲しいのに、戻りたいかもわからない。
この不安定な虚脱な空気が浸み入る。
何度もナンドも何処だろう?何時だろう?って
探り続ける気持ちがうっかり甦って心が痛くなってしまった。
この人やっぱ好きだなぁ。
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黒の貴婦人
西澤保彦/幻冬舎文庫(2006.02.06)
久しぶりに西澤作品を読んだのだけれど、
あとがきにて本人も反省している通り
このシリーズの出版社があちこち飛び散っていて
かなり読みのがしているのが残念でならない。
で、タカチ。相変わらずの美しさ。
願っても願っても手に入れられないものの一つは美貌。
その美貌を羨んだりしないで、素直に受け入れているところが
ウサコの美しさ。
彼らのようにしょっちゅう謎めいた事件が
身の回りで起こったらたまらないけれど、
もし起こったら、わたしは誰に知らせるだろう。
わくわく想像大会に参加してくれる人が多ければ多いほど
楽しい人生だと思える。
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まどろむベイビーキッス
小川勝己/(2006.01.26)
ほん少しの出来事で、自分も落ちて行ってしまいそうな
ひどく身近な闇が見える。
自分の居場所がないという感覚に
一度囚われてしまうと、身動きがとれなくなってしまう。
逃げ出せなくなってしまう。
罠にかかった後、自分でその罠をきつく締めてしまうような
ものだろうか。
どこにいればいいんだろう・・と思っても
一生懸命さがしても、居場所を見つけられない。
「ここに居ていいの?」という気持ちは、
どうしても歪んだ形で周囲に伝わってしまい、
周囲からは逆に「ここがイヤなのね?」という感情を
返されてしまう。
もっと堂々と開き治っていたらいいんだろうけれど、
いつかの時点で身についてしまった心の痛みが邪魔をする。
いつもわたしが感じて止まない思い。
とても上手に飼い慣らさないと何時の日にかプツンッと
コチラ側との糸が切れてしまうのじゃないか。
それがとても怖い。
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クドリャフカの順番
米澤穂信/(2006.01.19)
ちょっとした文句を言いつつ古典部シリーズ第3作目。
短いスパンで起こった
それぞれの出来事を盛り込んでストーリーに仕上げていて
ものすごく面白い。
どんなメッセージも「本人に直接言えば?」と言うのは簡単。
でも、親しい人にこそ言いにくい事があったりする。
お互い意地になってしまったりするから。
その辺の機微、けっこう大切だったりするのではないだろうか。
わたしの性質である”距離感のつかめなさ”がここらへんで
発動されていつも迷子になってしまうのだけれど。
自分が欲しいものを他の人が持っていて、
しかもそのことに無頓着だったとしたら妬みや嫉みじゃないと言い置いて
その持っているものを欲しいと思っているという事実は
なかなかに伝え難い事だと思う。
そして、他人が欲しいものが自分欲しいものじゃないのは
当たり前ではあるけれど”ままならない”なぁと、思う。
こんな風な気持ちを高校生の時に持っておくと、
その先、きっと考えることの出来る大人になれるんじゃないだろうか。
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妻という名の見知らぬ女
アンドリュー・クラヴァン/角川文庫(2006.01.18)
出ない出ないと待っていたのに、見逃していた。不覚なり。
出だしから不穏な感じでどんどん引き込まれる。
あまりにも妻を愛しすぎている男のことなんて、
信じられるもんか!と、最近の自らの荒れた生活を反映した
思いを抱きつつ読み進めていたものの・・・そう来るか。
過去は消えない、消せない。
きっと過去にはいろいろ失敗もあるし、言いたくない事もある。
それを”なかったこと”にしないであったことを踏まえて
その後の言動にきちんと活かさなければイケナイと思うのだけれど、
いったいそれは出来ているのか解らない。
きっと過去があったからマリーは”本当に”キャルと
子供達を愛せるのだと思う。
悪いことばかりじゃないよ、忘れたい過去だって。
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神様がくれた指
佐藤多佳子/新潮文庫(2006.01.13)
やっぱりこの人はすごくいい。
登場人物の誰も彼もが愛しい。
是非ともご近所付き合いしたい。(断られるだろうけど)
マッキーにはなぜか邪気が無いように思う。
職業柄、そんなハズはないのだけれど、そう感じてしまう。
こんなに相反した人格をあまりにもサラリと描き出す力量に
本当になんというか、敬服する。
咲の強さを美しいと思う。
女の子は守ってあげなくちゃ、なんて寝ぼけた事を
行っている男子は、良く読んでおくといいと思う。
人は男子女子にかかわらず、とても弱くてとても強い。
信じている人がいれば強い。そうでなければ弱い。
きっと、ただそれだけの違いなのではないだろうか。
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月への梯子
樋口有介/文芸春秋(2006.01.04)
何かを知っていることが偉い訳ではない。
と、いつも思うように心がけてはいる。
いくら何かを知っていたとしても、
上手に使えないなら、知らない方がずっといいのかも知れない。
いつもわたしはその大事なことを忘れてしまう。
ボクさんのお母さんに叱られてしまうだろう。
彼女がどれ程心を砕いてボクさんを教育したのかを思うと
心臓がぎゅーっとなる。とても辛い気持ちになる。
街で障害のある人とその親を見る度に思ってしまう。
”残して逝く”事への恐れをいつもよりもっとずっと
強く思った。
著者は、もしかしたら残されたボクさんの
苦しみを見たくなくて、大好きなお父さんとお母さんの
ところへ連れて行ってあげることにしたのかも知れないな、
なんて甘っちょろいことも思った。
わたしは優しくて苦しいボクさんを見ているのは
辛い。
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愚者のエンドロール
米澤穂信/角川文庫(2006.01.03)
「氷菓」に続く古典部シリーズ第2作目。
面白いんだけどね、文句ないんだけどね。
とりあえず、1作目読んでないとおもしろがり度数が
かなり下がってしまう感は否めないと思う。
ホータローの自由なお姉さんに関するおもしろ味も
伝わり難いのではないか、と余計なお世話をするわたし。
なに?この心配性?
年のせいじゃないから、新年早々だけど。
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