耳たぶ

運転する あなたを見た
目の前には 耳たぶが
ふとつまんだ あらが(抗)えなくて
驚いた目で 睨まれた

あなたはもう 怒らない
悲しい目で 見つめるだけ
私の方から 言い出した
別れの意味が 分からずに

遠くで交わす 視線の中
すれ違いざま 言葉ひとつ
愛を感じて 過ごした日々
確かめたくて 触れたくて


 初めての夜 二人だけの
 眠りかけた あなたの横顔
 耳たぶつまんで また睨まれた

でもそれから 苦しみの日々
壊れてゆく プライドさえ
私だけの ものではない
あなたをもう 愛しては・・

あなたが言う 秘密だと
でもいつか 気づかせたい
そんな気持ちに なるのが怖い
私はもう 罪人なの


 静かな寝息 疲れた顔
 眠りかけた あなたにつぶやく
 もう逢わないわ もう愛さない


あなたは何か 言おうとして
私の腕を 引き寄せた
ごめんなさい でももうダメ
自分自身を 許せないから

もう逢わない キスしない
耳たぶももう つままない
あなたの前で もう泣かない
泣くのはただ ひとりきりで                戻る