浮遊夢

いつか夢の間に入り込んできた
男の首すじのたおやかさ
閉じたまつげの憂いは
モノクロの映像に色を与えた

そこにあったのか
そこに帰ればいいのか

夢の中で急ごうとするが
体は浮遊したままで
たどり着けない

幾たびも夢を見て
男の放っている光の
原点に向かおうとするが
その源は
遠く 深く
知るほどに彼方へ逃げる

・・・幼き頃の
涙にくれた独り寝
若過ぎて

求めても縋っても
かなわぬ恋

夢の中で私達は過去を遡る
男を知ろうとして
我を振り返る

ある日 目が覚めると
男は光と供に消えていた

しかし私達は
また夢に戻る

あの心地よい切なさ
あでやかな悲しみ
負でありながら

赤く燃えさかる感情に
身を置くために

Leslie