里よりも一足遅れの初夏
  若葉の中
  ヘタに隠れそうに緑の柿
  赤いヘビイチゴ
  タンポポ ドクダミの花
  今年もミョウガの勢い

  里に降りた人々は
  今流行りの家を建て
  次第に色づく柿を
  見に訪れることもない

  やがて柿は熟れ
  葉の落ちた枯れ枝に
  カラス瓜が揺れ
  小雪のちらつく冬が来る

  自分はぼんやりと
  それを見つめ
  過ぎてゆく時間に
  流されているばかりだ

  それでも今は
  深みを増した山々の緑に
  鍬をふるった畑の
  やわらかな野菜に
  生の営みを確かめて
  明日と言う日を探してみよう

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