チロチロと蛇の舌のように
赫い炎を見せ始めた心
あさましく うとましく
消そうとすればするほど
激しく燃え上がる紅蓮の炎
胸をえぐるような自責の念に
ギリギリと歯がみして耐える
無表情の嘘吐き大人
何故 人になど生まれたのだろう
いっそ毒蛇にでもなれたら
すぐさまお前に死をやるものを
何も知らない無垢のお前は
屈託のないその笑顔を
疑問と苦悶の表情へと歪め
白い首に絡みつき 鎌首もたげた蛇の目に
「なぜ」と声なく問うだろう
優しく肌這う白い蛇は
お前の命尽きるまでの僅かな間
初めて深いため息をつく
悲しく 切なく 身悶えしながら
やっと真実の言葉を吐く
「もう誰にも渡さない
 お前は私だけのもの」

今日もまた 嫉妬が心に鱗をつくる
お前を見る目を蛇にする
気取られてはいけない 行き先闇の
報われない想いをあざ笑う
もうひとつの己の声に耳を塞いで
平静を装い微笑み浮かべる
心にびっしり鱗が生える
明日も私は蛇になる
お前を欲して蛇になる
灼けつくような想いのたけを
けれど どうにもできないで
そばに寄れないこの足と
お前に触れられぬこの手なら
いっそ綺麗に切り捨てて
躯も心も蛇になる
叶わぬ夢にのたうちまわる
小さな毒の蛇になる


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