三年目

             細い坂道一人行く
             鴉(からす)が僕を迎えてる
             そんなに嫌な鳥じゃない
             人と似すぎることの他

             鴉啼いても驚かぬ
             不吉な声は親切心
             心構えを教えてる
             優しい声と聞けばよい

             眼下(した)に広がる海は凪
             息を飲むほど美しい
             「魅せられるには及ばない」
             僕を無視する冷たさで

             兄ちゃんの背を追いかけて
             追い越すだけが生きる道
             その道標(みちしるべ)見失い
             行き場わからず宙ぶらりん

             迷ったままで三年目
             いつか気づけば一つ上
             兄ちゃんいつか笑ってた
             「お前らしさがいちばん」と

             噛んだ唇血が滲む
             視線移した坂の上
             目に飛び込んだ赫や赫
             無数の赫の鮮やかさ

             虚を突く赫の場違いさ
             線香置いて目をこする
             よくよく見ればその赫は
             夕陽を返す墓石(はか)の群

             兄ちゃん何を言いたいか
             戸惑う僕も赫く染め
             ここからどこへ行けという
             鴉が笑う夕間暮れ

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