やめられない

一日がやっと終わり
久しぶりの冬枯れの公園で
まっ裸の木の枝を見上げ
その緻密な小枝の美しさにため息をついた

やめたはずの煙草の煙を
肺から空へと吐き出せば
速すぎる雲の流れに 行方も知れない

ぐらぐらと押し寄せるめまいと
足をすくわれそうな虚脱感に
あの時を思い出し 固く目を閉じた

ずっと忘れてない 結局逃れられない
あんたじゃなきゃだめだ
他の誰とだって あぁはならない

ここもやがて春になり
緑の葉が小枝を隠し
低い雲も青空に払われる

でももう僕には春なんてない
あんたに抱きすくめられ
あんたの唇に全身が麻痺したあとは

薄く目を開け また深く吸い込む

やめる気なんてもともとないのさ
忘れた頃の煙草がいいんだ
僕にあんたをまた刻みつける
僕をあんたへ連れて行く

この場所と 喉を刺すほの甘い辛さが
願いへ 重たく誘惑するから


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