過保護

子供は母にせかされ
いやいや食べる

傷もなく虫もなく
味もない野菜を

苦くもなく 甘くもなく
歯ごたえもない葉っぱを
口に入れても感動がない

まぶしい陽の光や
雨の冷たさや
虫の恐怖も知らない
ハウス育ちの野菜と
ほんとの空腹や
収穫の喜びや
人も野菜も

同じ生き物だということに
気づかない子供に
お似合いの食卓

体で感じたことのない

貧しい心は
夢見ることができない

人の気持ちも見えない
痛さも寒さも怖さもすべて
想像力の上に
ビニールが被さっている

きっとこの国は
ビニールハウスの中に
植わっているんだろう


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