その一 我が「ライダー」鑑賞歴

 筆者は初代メカゴジラと同い年、即ち第二期ウルトラ、二代目ゴジラ、そして第一期ライダーが終焉を迎える直前の生まれであり、当然ながら、それらの当時の記憶は全く無い。
 「仮面ライダー」との最初の出会いは四歳か五歳頃、幼稚園児の頃に見ていた「1号2号」の再放送だと思う。尤も、「見ていた」という記憶だけで、内容は殆ど憶えていない。
 世代という言い方をすれば、筆者は第二期ライダー世代、即ち「スカイ」「スーパー1」世代人である。幼稚園の年長組から小二にかけて、丁度番組の対象年齢であったし、事実番組は見ていたのだが、これもどういうわけか印象が薄い。岩手放送テレビでの放映曜日、時間帯すら憶えていない。同時期の「ザ☆ウルトラマン」「ウルトラマン80」は割りと鮮明に憶えているのに。
 「ZX」は友人が購読していた雑誌で存在だけは知っていた。テレビスペシャルは未見である。
 そして問題は中二の秋。「宇宙船」の立ち読みで知った新番組「BLACK」。当時の筆者は何故か東映特撮を憎んでいて、戦隊もメタルヒーローも見ないがウルトラの再放送は見る、という生活をしていた。「BLACK」は懐かしい「仮面ライダー」の新作だから一つ見てみるか、ということで見始めて、見事夢中になってしまった。生まれて初めて本格的にのめり込んだテレビドラマ、と言ってよい。続けて「RX」も見たが、その終了の時点でも当時の筆者はまだクライシス皇帝の声とショッカー、ネオショッカー大首領の声が同じ人であることを知らない、気付いていない。それほど、第一期、第二期のことは知らなかったのである。
 高二の夏頃だったか、宮城県の東日本放送で「1号2号」再放送開始。そしてその後、「スカイ」「スーパー1」「V3」「アマゾン」「X」と続く。実にこの再放送連発で以て筆者は初めて第一期、第二期ライダーをきちんと視聴することができた。しかしやはり筆者とは相性が悪いのか、これらもさほど強烈な印象は残らず、寧ろその前に見た「BLACK」本放送の方が印象は強い。第一期、第二期の中で好きなのは「アマゾン」程度である。
 高卒直前に「真」発売、これには大変な衝撃を受ける。まさに「0号」である、真。一ケ月後、就職直後にビデオソフト購入。
 同年、「BLACK」テレビシリーズのビデオ発売。これも毎月買って、揃えてしまった。そしてまだ入手できたので、劇場版のビデオ二本も買った。しかし「RX」は買っていない。
 「ZO」「J」は共に劇場で見た。「ZO」は事前にサントラを聴き込み過ぎてしまい、頭の中で膨らませていた想像と実際の作品が違い過ぎて気に入らず。後でLDで再鑑賞した時には気に入る。この時の失敗以来、映画の鑑賞前にサントラを入手しても、実際の作品の鑑賞後まで聴かないようにしている。「J」は劇場での鑑賞時に一発で気に入る。「巨大化」について世間では悪評もあるようだが、筆者はこの映画は平成ゴジラに比肩し得る素晴らしい巨大特撮映画として高く評価している。
 そして去年、「BLACK」十周年の年に待望のテレビシリーズLD発売。それらに合わせて「帝國」の建設を開始した。
 以上が筆者の「ライダー」鑑賞歴である。筆者は必ずしもライダーシリーズ愛好家というわけではない。筆者にとっての「仮面ライダー」の原点は「BLACK」で、「『BLACK』は『旧1号』のリメイク」というよりも「『旧1号』は元祖『BLACK』」と考えてしまう。敢えていえば吉川ライダーの愛好家である。

(平成十年八月十六日)

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