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1973年 アメリカ 監督/フランクリン・J・シャフナー 脚本/ドルトン・トランボ 原作/アンリ・シャリエール 音楽/ジェリー・ゴールドスミス CAST/スティーヴ・マックイーン(パピヨン) ダスティン・ホフマン(ドガ) |
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ひとことなんとも凄まじいまでの執念がテーマの話だがこれは実話が原作であることは広く知られている。本人はアンリ・シャリエールと言う人物で、上記最後の大海原への脱出が成功し見事脱獄を成功させた後自伝を発表しベストセラーを記録している。(今は残念ながら邦訳版は絶版中)ここでのパピヨンは単に刑務所から逃れるためだけの脱獄とは思えない執念を感じさせる。まさに完全なる自由(FREEDOM)を求めているのだとも思われる。そんな事があってか主人公は拷問とも思える独房生活や労働を驚異的な忍耐力で耐え抜く。一方盟友ドガは原作ではあまり重要な意味は無いらしいのだがここではパピヨンの唯一心を許す友として登場する。ドガはパピヨンとは思考があまりに異なっている。ドガは己で逃げおおすより残った妻の減刑の嘆願を最後まで信じている。悪魔島に送られてからは脱獄よりも島での静かな生活を選びもする。そんな意味では話を見ている我々に近い存在とも言える。ある意味私達はこのドガと言う男を通じてパピヨンを観ている気もする。 ![]() 永遠のアクションスタートして名高いスティーヴ・マックインだがこのパピヨンで見せた演技は他の作品と比べても凄まじいものと思う。特に独房に入れられ終いに光を閉ざされる生活を強いられ段々と気が触れる寸前までいく様は絶品であった。とりわけ独房中への果実の差し入れがドガの行いであることを吐いてしまう寸前で、彼からの手紙のメモを飲み下してしまうシーンの表情などゾッとさせるものがある。ここでのマックインはもはやアクションスターなどではない。 ところで映画の冒頭でギアナに送られる前の全裸の囚人達に「お前たちは祖国に見捨てられたのだ!」と威圧的にスピーチを飛ばす髭面の爺さんが登場するのだが、実はこの爺さんが脚本を書いたドルトン・トランボ本人なのである。トランボはハリウッドの実力派作家だったのだが、ハリウッドを吹き荒れた赤狩りで追放された過去を持つ。しかしへこたれないトランボは偽名で仕事を受け続ける。そんな中で彼はその偽名のまま「ジョニーは戦場へ行った」でアカデミー脚本賞をも得てしまう。この辺の執念はまさにパピヨンそのものに相通ずるものがある。そんなトランボの口から飛び出る「お前達は見捨てられたのだ」のセリフは何とも言えない重みがないか?この映画はそんな執念の男トランボそのもののようにも思えてしまう。 |
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