『別居』

1月5日

飼主の計画では新姫が嫁いで来た時に、それぞれ別々の籠で所帯を持たせ、その日が来るまで太子達は同じ籠で同居させるつもりだった。

日頃から、喧嘩の多い太子達だが、最近ではかなりエスカレートしてきて、その内、血を見る事まで発展するかも知れないと思えてきた。

最近、ぐぜりが上達してきたハクは、ほぼオスである事に間違いない。男としての自覚が目覚めたから喧嘩が多くなっただろう。

しかし、仲が良い時もある。まったく同時に脚で頭を掻いたり(これは見事なほど息が合っている)、お互いに羽を繕ってやったりしている。

また放鳥時には、連るんで飛び廻ったり、人の体に乗って遊んだりしている。

そんな事とは別にある困った事が発生した。

それは奇異な行動を時々行う事だった。実に諍いの多い太子達だが、ある時ハクがホッピングダンスを始めると釣られてハツも踊りだす。

そして、遂にハツがハクの上に乗っかるのだった。「おまえら、仲がいいのか?悪いのか?」の疑問もあるけどが、その前に

「男同士でその行為は止めてくれ〜」と言いたくなってしまう。そのような理由で、昨日、新居用として購入してきた新しい籠にハツを移動した。

この時期に籠を購入したのは、秋産まれの桜文鳥のメスをそろそろ購入しようと思ったからだ。

王朝の源流となる為には、力強い生命力が必要だ。その為、丈夫だと言われる秋産まれの一番仔が必要なのだった。

昨年の夏は猛暑であり、文鳥の雛が産まれるのは例年より遅かったみたいだ。しかし、我が家の太子達は、暑さに関係なく

9月初旬には産まれている。一体どんな親からどんな環境で産まれたのか?、もしかして兄弟なのか?、しかし深く追求する気は毛頭無い。

1月中旬にやっと雌雄の区別が出来る位の文鳥は、10月中旬に産まれた一番仔であろうと考えられる。

新しい籠はその丈夫な姫様が環境に慣れるまでの仮住まいとして使い、その後、相性を見て独立所帯を持たせ様と考えていた。

それにオスを先に住まわせていると、文鳥の持つ縄張り本能からいたいけな姫様をいじめる可能性があると思っていたからこそ、

太子達は姫様が来るまで別居させないつもりだった。この様に飼主は色々と気を遣って考えていたのだが、

実際には計画通りに行かなかった。

別居させた後の太子達はというと、以前からの籠で暮らすハクは、うるさいのがいなくなったといった感じでのんびりとしている。

寝させようと籠をラックにセットすると、さっと飛んで来て籠に入る。しかし、ハツは戸惑いが有る様で、前の籠が自分の棲家だと思っている。

これは仕方が無い事だろう。捕まえて籠に入れカバーを掛けると、バタバタと籠の中を飛び廻っている。まだ、勝手が掴めないのだと思う。

お気に入りのブランコも移していない。これは元籠の備品なのだ。今週末、姫探しの時に新しい物をハツに買ってやらなければならない。

ただ、ハツに面白い変化が現れた。以前は、餌箱の中にもぐり込んで餌を食べていたのが、それを止めて普通に餌を食べているのだ。

ゴルゴ13ではあるまいし、他の文鳥に背中を向けるのが嫌なのだろうか。姫様との同居が始まれば、また餌箱にもぐり込むのだろうか?

興味深い事だと思える。別居させた事により餌の取替えなどの手間は倍になったが、このことはたいした事ではない。

しかし、豆苗の交換が三つになった事が煩わしい。インコの世話は嫁様の管轄だが、嫁様は豆苗をあげることが面倒なので

青菜としてキャベツや人参などを嫁さんが与える。するとインコは豆苗の方がうまいのか放鳥時に文鳥の豆苗を食べようとする。

その行為に対して文鳥が怒る。これは精神衛生上宜しくないので、インコの青菜も飼主の管轄になってしまった。