『給餌』

10月1日

戦後最大級の台風が関東に上陸した日、世間では交通機関が麻痺してえらい騒ぎだった。

太子達は外界の状況など関係なくのんびりと暮らしていた様だった。

私は社内関係者の通夜に出かけていた為、帰宅がいつもより遅くなってしまった。

家に帰って嫁様から聞いたの話では、夕方になってハクが「ピッピピッピ」と鳴くので指を向けると、「ガァッガァッ」と口を開けて

腹減ったと餌を要求したらしい。

昨日から差し餌は夜の1回に変えたのだけど、ハツに比べ遅生まれのハクは自力で餌を食べるのが上手では無いみたいだ。

可哀相になった嫁さんは、急遽、差し餌を作りハクに給餌して与えた。

登極以来、あまり口を開けて餌をねだる事のなかったハクは3回目までは口を開けたらしい。

寝させる前の夜餌の時もハクは口を開けて騒いだらしいが、1口で満足したらしい。

反面ハツは差し餌を本当に嫌がるようになったらしい。

とにかく、作った差し餌小さじ2杯分の半分を太子達に与えてお終いにしたとの事。

最近のハクはこちらの狙い通り、ベタベタの甘えん坊になりつつあるみたいだ。

ハツは、と言うと、人間が好きになれないのかハクが楽しそうにしていると籠から出てきて寄って来る。

ハツは人間より文鳥のハクの方が好きらしい。いずれ巣引きする時にこれが、良い方に向いてくれればと楽天家の飼主は思うのだった。