さあ、いよいよ換装です。
まずは、キャブレター部から順繰りに部品をひたすら外します。
実はピストンを見るために、インマニをはずすまでの作業は、以前のショットだったりします。

まずキャブ周りから外しましょう。
で、キャブレターを外し、ファンシュラウドを外していきます。
シュラウドは、車内側のサービスホールも開けて外します。

シリンダヘッドが見えましたね。

車内側はこんな感じ。
ここまでが、以前の作業でした。
で、いよいよ換装作業に入ります。
まずはエキマニまで外しますが、分割式のシュラウドが曲者で、シュラウドを宙ぶらりんにしたまま、
エキマニを外さないとシュラウドを引っ張り出せません。こりゃ面倒くさい。
しかし、そのアタリは妥協してサクサクと作業を進めます。なお、エキマニとマフラーの間を切り離すのと、ヒーターダクトの切り離しもお忘れなく。
そこまで行ったら、いよいよシリンダヘッドの取り外しです。
まずプラグを緩めておき、ヘッドボルトを一度締め方向に回してから緩めます。
これは、固着したボルト外しに使う手なのですが、一度にボルトを伸び方向に回すと、引っ張り力に耐えられなくなり、
折れたりします。そこで一度圧縮方向に回すことで、ボルトの食いつきを剥がすことができるのです。ボルトの山には、長さ方向かならず余裕寸法がありますから。

シリンダヘッド外れました。
次に、シリンダーを外しに掛かります。まずは#1ピストン側から取ります。理由は、#2側、ファンがあって、
何をするにも#1側があいていた方が、作業が楽になるからです。
しかし、このナットがなかなか嫌な位置にあったり、普通のレンチが入らないから困り者です。
一番使いやすかったのが、KTCのストレートめがねです。これ、頭が薄いし、オフセット角が無いので、非常にいいです。
ナットを全部外したら、シリンダを抜きます。ガスケットが固着していますので、コンコンとプラハンでフィンを折らないように
注意しながら衝撃を与えれば、大概外れると思います。

まず#1ご開帳。綺麗なピストンです。
さて、そして抜いた#2側ですが、予想通りガリガリです。
まずピストンリングが一部欠け、シリンダ側にも金属の溶着物がついています。

#2は悲惨!
なお、現車のシリンダー&ピストンはSTDサイズで、この状態でもシリンダはボーリングすれば、0.5mmオーバーサイズの予備として
十分使えるレベルですね。

ここが焼きついています。

本当に#2ピストンは悲惨ですね。

コンロッドとご対面〜ん。
クランクケースには、ガスケットの泣きわかれが残っていますので、リムーバを塗布してすくスクレイパーで掻き出します。
その間、部品取りから調達して整備したピストンに、リングを挿入。このピストンリングプライヤー、
安くて使いやすくて最高ですな!
ピストンリングを嵌めたら、コンロッドにピストンを取り付けます。
ピストンピンがスッと入れば難しい作業ではないのですが、使い込んだピンだと硬い場合があります。
その場合には冶具を使いますが、なかなか作業はシビアになります。
なお、サークリップですが、片側はあらかじめ取り付けておくと作業が楽です。
というより、#2の左側は、ファンシュラウドが邪魔で、後からサークリップをつけるのは困難です。

サークリップをわすれずに。
次にピストンリングコンプレッサを嵌め、シリンダを挿入。
私はいつものプロショップさんの特製冶具を使いました。これ、パンチングメタルでリングの合口
確認もすぐ出来ますし、使い勝手も良いので作業は非常に簡単でした。

冶具を装着。

シリンダをそぉっと被せます。

#1も無事装着完了。
シリンダまで取り付いたら、クランクケースとシリンダを止めるナットを仮止めし、セルを回して芯出しをします。
セルによる芯出し後、エキマニも取り付け、再度芯出しをします。
ナットを本締め、シリンダヘッド取り付け、再びエキマニを装着、ファンシュラウドも取り付ければ、後は
インマニ、キャブレターの装着で元通りとなります。

キャブまで付きました。
さあ、始動です。
念のため微混合にし、エンジンスタート。
無事掛かりました!
まだ新品リングが馴染んでいないため、シャカシャカいいますが焼きついたコンコン音は当然ありません。
しばらくアイドリングで放置し、ちょっと走り出してみました。
うーん、まだ回転は重いけど、圧縮が強くなったためか、低速はトルクが増したように思います。

まずは試走。
冷静になると、なんだかバチバチ言っています。ガレージに戻ると、”こんなもんが落ちていますよ”と
指摘されました。ソレが下の画像です。
あーりゃ、これエキマニとマフラーのガスケットですね。バネはヒーターダクトの押さえです。
さっさと改修して、完成。

元とおりです。
ということで、エンジンOH修理が完了です。
しかし、シリンダヘッドにある事実が発覚したのは、エンジンを組み立ててからのことなのでした。