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マジックは魔法を演出する!その心構え


このページでは、マジックを演出する人、すなわちマジシャンに必要な心構えについて、お話していきたいと思います。
マジックはエンターテイメントですから、いくらタネを知っていたとしても、いくら技法が上達して完璧に演技ができるようになっても、それをいかに観客に効果的に見せて、楽しませることができるのか、が大きなポイントになってきます。

日本では「○×の三カ条」とかいうものがいろいろありますが、マジックにも似たものがあります。「サーストンの三原則」というのを聞いたことがあるでしょうか?マジックを解説する本にもよく紹介されていますので、知っている方もいると思いますが、このページは初心者の方を対象としていますので、ご存じない方も多いことでしょう。

「サーストンの三原則」
1.あらかじめ演じる現象を話さない
2.同じマジックを2度繰り返さない
3.タネあかしをしない


では、これらについて、具体的にお話していきましょう。

1.あらかじめ演じる現象を話さない
これから行うマジックが、どういう不思議を演出するのか、あらかじめ話さないようにしましょう。「今日は切っても元通りになるお札の手品をしまーす♪」といわれて見るよりも、目の前でお札を切ってしまったのにそれが元通りになったらビックリするじゃないですか。
つまり、あらかじめ話してしまうとインパクトが無くなってしまうんです。
例外的に、結果を説明してから行うマジックもあります。しかし、この場合には予想を超えるどんでん返しが用意されている演出が必要です。

2.同じマジックを2度繰り返さない
これ、実はなかなか難しいんです。実際にマジックを誰かに見せたことがある人ならば「え!?もう一度やって!」といわれたことがあると思います。いや、言われないことの方が少ないぐらいです(^^;
これは、上記の「1.」とも重複します。一度見せたマジックは、もう意外性がありません。しかも、マジックの手順が分かっていますから、タネが分かってしまう危険性もグッと高まります。もちろん、巧妙な仕掛けのおかげでバレないものもあるでしょうが「不思議を楽しむ」という目的からは大きく逸れてしまいます。つまり、2回目はタネを見破るつもりで見ることが目的になってしまうんです。
前田知洋氏が得意とする「アンビシャス・カード」は、何度でもカードが上に上がってきますよね。これは、この原則の例外的なマジックです。カードを中程に入れたのに上に上がる、という現象を、何度も見せるわけです。繰り返すことで不思議が倍増しますよね。ホント、これは例外なんです。

さて、では実際に「もう一度やって!」というリクエストがあったときはどのようにして断ればいいのでしょうか?
「マジックの先生との約束だから...」と、まじめに断るのも手です。「今度また新しいやつを仕入れておくから、また見てね」と言えば、悪い気はしないかもしれません。
「今日の分のハンド・パワーがもう足りなくて...」と、笑いを取りに行くのも自身のキャラを考えて使えるようならばいかがでしょうか?
みなさんいろいろと工夫されているようですが、決定打は無いんですよね。
演技の最初に「このマジックは危険です。1回しかやらないので良く見ていてくださいね♪」と、釘を刺してしまうこともできます。このスタイルはプロマジシャンのマギー審司氏が得意そうです(^^;

3.タネあかしをしない
これは説明の必要もありませんね。
もし相手にタネを教えた場合、ほとんどの場合に「なんだ、そんなことか」という半ば騙された感が先にたち、不思議の興奮も冷め切ってしまいます。マジックはクイズではありませんし、ましてタネ当てゲームでもありません。
タネあかしをしてしまうと、そのマジックはマジック(魔法)ではなくなってしまいます。そして、タネを知ったことでマジックを知ったようになってしまうのも困りものです。タネはマジックの隠し味です。しかし、この隠し味がなければ、マジック自体が存在し得ないのです。「タネを知ること」と「マジックを演じること」は全く違うものなのです。隠し味だけでは料理にならないように。
また、通常マジックのタネは、考案者が長い時間をかけて試行錯誤をして生み出されたものです。古典として語り継がれている、マジック入門の本などによく紹介されているものは百歩譲って例外的にタネあかしをしたとしても、マジックの考案者への感謝と配慮を忘れず、タネの秘密保持にご協力いただきたいと思います。
最近では、テレビでもマジックのタネあかしが行われていることもありますが、皆さんはマネをしないようにしてください。タネをひとつ明かすことは、レパートリーをひとつ失うことにもなるのですから...

さて、では実際に「タネを教えて!」とリクエストがあったときはどのようにして断ればいいのでしょうか?よく言われるものがいくつかあります。
「マジックのタネは秘密厳守が原則なんです。人に漏らしちゃいけないんです」
と、まじめに断るのもひとつの手です。でも、ここで一言追加します。
「あなたは絶対に秘密は守れますか?あなたは口堅い方ですか??」
相手は何かしらの返答をするでしょう。ここで「はい、固いですよ」といったら、
「私も固いんです」
と言います。そう、口が堅いから教えられないんだ、ということを暗に示すわけです。ちょっと意地悪にも聞こえますが、タネを明かすことができない以上、相手にもあきらめてもらわないといけませんからね。

ところで、手品の「タネ」は、その発音が同じからなのか「種あかし」という風に使われることもありますね。どちらが先にあった言葉なのかは分かりません(すみません、勉強不足です...)が、『マジックという花を咲かせ、果実を実らせるには、種は絶対に必要なもの』なーんてキザなことを言ってみたりして(^^;


さて、このページも公開からだいぶ時間が経ち、マジックに興味を持つ方も増え、ネット上やTVなどでもいろいろとネタバレ(種あかし)がされるようになりました。
実際、マジックを観る機会があり、その手品(タネ)を知っていたとしましょう。あなたならこのときどうしますか?
「あ、その手品知ってるよ!○×になるんだよね!」
なんて場をシラケさせるようなことはしてないですよね(^^; ここは、ウソも方便です。見事に騙されたリアクションを取ってあげるのが礼儀というものだと思います。

Part.1 まず、各部の名称を覚えましょう

Part.2 カードを用意しましょう

Part.3 参考にしたい文献

Part.4 実践:カードの扱い方

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