ぼくがきみを、きみがぼくを好きになる台詞 writer:h.k

 

  3作目でーす。

  今回はキザな台詞=どこかで聞いたことがあるって? そんな感じです=で迫ってみましょう。

ぼくがきみを、きみがぼくを好きになる台詞

  灼熱の夏だった。公園の温度計は摂氏32度をさしている。ぼくは額から流れる汗をぬぐった。
 風にかすかに揺れる噴水の飛沫に光がはねかえり虹が浮かんでいる。

  ぼくは隣に座っている彼女に告白した。好きだと言うのは初めてだった。

 彼女の髪が肩先で風に踊った。ぼくは右手に力を入れた。
 「きみがぼくを好きになると、きみはぼくの中で永遠に主演女優でいられる」
 彼女は、目を細め、台詞の意味をさぐった。
 「それって……」
 ぼくはうなずいた。
 「わたしが好き、っていうことね」
 「ああ……」
 「じゃ、わたしもあなたがわたしを好きになると、わたしの中であたなは永遠に主演男優でいられる、ってお返しするわ……って言うと思うでしょう。残念でした。わたし、あなたの中でずっと脇役でいいの」
 彼女は「ずっと」の言葉にことさら力をこめた。

 そう、ぼくは見事にふられたのだった。悲しいなあ。