「さよなら」って言うのは writer:h.k

 

  恋人同士が別れがたい時に使う最高の台詞は、これです! みなさん、使ってみてください。効果絶大!? さて=彼もしくは彼女=はどんな反応を示すでしょうか)
  なおこの台詞に関しては、元ネタ(ハードボイルドの有名な台詞です)ありますし、h.kも以前に小説に使っています。

「さよなら」って言うのは


  地下鉄の改札口を出て、階段を上り、地上に出ようという時だった。
  出入り口から街の灯が見えてくると、乾いた突風がぼくらの胸元をかすめた。黒くて長い彼女の髪が一瞬乱れて、ぼくの目前で舞った。
 
少しの間、甘く切ない匂いが身の回りに漂った。ぼくはその匂いが愛おしくて、夜の帷の中に封じ込めたかった。地上に出ると、ぼくらには別れがまっていたからだ。ぼくはいつまでも彼女と一緒にいたかった。

  舗道に出てから、ぼくは彼女にこう言った。

「さよなら、って言ってしまうとわずかな間、死ぬことになるんだ」
  すると彼女は立ち止まって、ぼくを見た。
「『さよなら』がわずかな間、死ぬっていうことなら、『こんにちは』、って言うのはしばらく生きることかもしれないということよね」と。
  ぼくはうなずいた。

「じゃあ、今からはこんにちは」彼女は明るくそう言おうと、腕を絡ませてきた。

  ぼくらはしばらくは生きることにした。