01.02.05

「カティーサーク号」

  平成11年2月5日

  

                       

「 カティーサーク号」(01/02/05 DSC-F505Kにて撮影)

 学生の頃 からほとんどトレーニングもせずに重い荷物を背負って好きだった山登りスキーに毎年のように出かけていたのだが、それが祟たったのか歳とともにギックリゴシにやられることが多 くなっていた。

 それでも1週間もすれば何とか回復していたのだが、昭和53年 ・39才の時、突然襲ったギックリゴシはそれまでとは全く違っていた。

 

、1週間経っても腰から頭の天辺へ突き刺さるような激しい痛みに身動きも出来ぬような重症になってしまった のだ!

 

 当時住んでいた家の近くの整形外科 医院までどうやって行ったのか覚えていない。ともかくやっとの思いで出かけて撮ってもらったレントゲン写真は今でも脳裏に焼き付いている。 

 脊椎の一箇所の隙間がほとんど無くなってくっついていたのだ。

 これが典型的な椎間板ヘルニアだと言われ、一ヶ月くらいの痛み止めの注射と牽引治療 を強いられたが、その後腰にコルセットを付けて自力で歩けるようにはなったのだが、右足が麻痺して感覚は戻ってこなかった。

  
 「こんな状態では、もう山登りもスキーも出来ない!」と絶望のどん底に突き落とされ たような気になったのだが、ふと気を取り直し、家の中でできる趣味を探さなければ・・・と、帆船模型のキットを買ってみることにした。  

 

  買ったのは全長1mの「カティーサーク号」。 

 

 小さな木片や部品の山を呆然と眺めながら、ほんとにやり遂げられるかどうか ?・・と心配だったが、ともかく製作に取り掛かったのだった。

 細かい作業の連続で、休みの日はこの製作に没頭していたが、翌54年の2月19日にようやく これが完成した! 

 

 前年の3月からほぼ1年間かけて出来上がった帆船を眺めつつ、「自分にもこんなに根気のいることが出来るんだ!」と嬉しさがこみ上げ てきて思わず涙が出てきてしまったのを今でも覚えている。

   
 連日のように整形外科医院に治療に通う中で、「運動をしなければ駄目 だよ!」と先生は口癖のように言う。 

 腰が痛いのに無理なことを言う!・・とうらめしくさえ思ったが、ともかくぶら下がり健康機を買って懸垂をしたり、腕立て伏せや腹筋・背筋運動を 毎日30分、腰が痛まぬかビクビクしながら続けたのだった。

    
 いつもなら最寄の駅から10分の道のりを足を引きずるように30分近くもかかってみじめな思いで通勤する状態が一年半近く続いたが、そのころから足に多少の感覚が戻っているのに気がついた。

 

 そして二年目が経過したころには、ぎこちなさはあるもののほとんど足を引きずらずに歩けるほど に回復したのだ! 

 ほんとに長い時間だった!

      

 今でも、 整形外科医院の先生の言われたとおりにしたお陰だと、感謝の気持で一杯だ。

 

 そして、このカティーサーク号を見る度に、「為せば成る!・・・」という 勇気も湧いてくる!

 

 でも、二度と帆船を作ることは無いだろうけど!(^o^)。

 

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