いまさんのデジスコ作り奮戦記 2005年2月12日 望遠鏡とデジカメ 大きな月の写真を綺麗に撮ってみたい・・・と何年か前に思ったことがある。 天体望遠鏡を引っ張り出してデジカメを接眼レンズに押し付けてみたが、液晶画面が真っ黒になったり真っ白になったり狙いが定まらず、ましてピントを合わすどころではなかった。 先ずは望遠鏡とカメラを繋ぐ装置が無ければどうしょうもないと分かり、どういう装置を作れば良いか考えている内に時間は過ぎて行ってしまった。 ところが去年、500mmの望遠レンズを買って鳥を撮っている友達のサイトを見ていたら「デジスコ」という物の存在を初めて知った。 ネットで調べてみると実はこれ、望遠鏡にデジカメを繋いで鳥を撮る新兵器であることが分かった。 デジスコ検討開始
何十万円もする超望遠レンズを買うよりも安くて手軽な「デジスコ」がどんなものか試してみたくなり、先月、先ずは野鳥観察に使うビクセンのGEOMA ED 52Sという「フィールドスコープ」なるものを購入し、手持ちの使わなくなって埃を被っていたデジカメの内の2台でテストすることにした。
ケラレ現象 一体ケラレ現象はどうして起こるのか不思議に思って、実際に接眼レンズを覗きながら考えた。 目を接眼レンズに密着させると目の瞳孔の動きで像が前後左右に移動してひどく見にくいが、適当な距離に離すと視界が一番広く像が安定して見えてくる。 そして目をもっと離してゆくに連れて周囲の黒枠が広がって像の見える視界が狭くなって行くのだ。 つまりケラレが大きいということはカメラの位置が遠すぎるということになる。 ならばカメラのレンズの短い機種ならば画面いっぱいに写すことが出来るはず。 レンズの長いQV-2800UXやDSC-F707では無理なのだ。 そこで、もう一台、レンズが約1cmと小さくて長さが15mm弱と短いSANYOのDSC-MZ1で試してみようと、とりあえず望遠鏡にカメラを押し付けてみた。 すると画像はほぼ液晶画画面全面に映し出され、ケラレは四隅に多少ある程度、これならなんとか使えそうなことが分かった。 デジカメは決まったが課題が一杯 そこで先ずはカメラと望遠鏡を繋ぐアタッチメントを自作してカメラの三脚取り付けネジに固定する方法を取ることにした。 でも問題が色々ある。 一つは取り付けリング用のフィルターネジが付いて無いことだ。 その上液晶画面が小さくてピント合わせが難しいし、液晶画面を見ているとすぐ電池が無くなってしまう。 更なる問題はカメラのレンズと望遠鏡の光軸を上手く合わすことが出来るかどうかだが、良く見るとこのカメラのレンズはレンズの胴鏡の中心には無く、やや上側にずれている。 もう一つ困ることは、望遠鏡だから手持ちは出来ないのでレリーズを使わねばならないが、デジカメのシャッターボタンにはレリーズ用のネジは無い。 テーパーネジのレリーズをどう取り付けるかも考えねばならない。
それ等の問題の解決法は作りながら考えることにした。 思い知った時間とコスト カメラ用のアタッチメントを作るためにカメラ各部の寸法を測ることにした。カメラの幅、高さ、奥行き、レンズの中心位地、胴鏡の中心と径、三脚ネジの位置、シャッターボタンの位置等々、手持ちのノギスで測定し、早速図面に引きだした。 そしてカメラのレンズの中心と望遠鏡のアダプタの中心を合わせて取り付け図を作成。これを3mm厚のアルミで作成すべく図面を引くのにまる一日を費やした。
だが工具が無くて自作は出来ない。 個人相手で1個でも引き受けてくれる加工業者をネットで見つけ、喜び勇んで図面をメールして見積りを依頼した。 ところがなんと、見積もりを見て驚いた。 軽く5万円をオーバーしたのだ。 機械加工の知識が無いばっかりに、こんなにコストが掛かるとは思ってもいなかった。 こんなにコストが掛かるのかなあ・・・と、又々ネットで機械加工のことを調べているうちに、なるほどちょっとした面取り加工でも加工機械で何分も時間が掛かるのだということを思い出してきた。 切断したり丸みをつけたり穴を開けたりネジを切ったりする度に加工機が変わり、段取り替えとセットの時間、そして実際の加工時間が掛かるのだから、積算すると結構な時間と労力を要することがうなずける。 ふと、昔仕事をしていた当時、製品コストを下げるのに四苦八苦したことを思い出し、そういえばそうだったなあ・・と当時の苦い記憶が蘇ってきた。
というわけで、気軽に見積り依頼をして業者の方に手間を取らせてしまったのに、ほんとに申し訳ないとは思いつつ丁重に発注を見送らせて欲しいと返事せざるを得なかった。 カメラアタッチメントの設計と製作 気を取り直してアタッチメントの再検討に入った。 たまたま引き出物が入っていた木箱があったのでそれを利用しようと考えた。カメラと望遠鏡の光軸の位地合わせは先の図面で出来ていたので、材料をアルミから木材に変更するだけで良い。 強度を考えると5mmくらいの板を使ったこの木箱はうってつけ。
早速カメラを取り付けて電源を入れてみると、なんと胴鏡が上手く穴に入らず板にぶつかってしまった。 線引きを間違えたか、穴空けがずれてしまったらしい。さっそく穴を削ったりやすりを掛けたりして修正し、ようやく胴鏡が上手く出るようになった。 再び望遠鏡を付けてカメラのスイッチを入れてみる。 と、液晶画面に現われた像は片側がケラレていた。 光軸がずれているのだ。 キチッと計ったはずなのに・・・とガックリしたが、カメラの当たる側面と下面にいろいろ厚さの異なるスペーサーを挟んでみて、画像が真ん中に来るように修正した。 レリーズ取り付けネジ さーて、次はレリーズだ。 昔使っていたレリーズがあるのを思い出したが、これをどうやって取り付けたら良いかも難問だ。
たまたまタオル掛けの棒を壁に取り付けるT字形の金具の取り付け部分に3mm程度のネジ穴があるものがガラクタの中にみつけたので、この片側を切り取って、3mmのタップを切ってレリーズ取り付け部分に接着した。 レリーズを嵌めてみると、一部のネジ山がかみ合って瞬間的には止まるのだが、レリーズを押すとその僅かな反発力で外れてしまって使えない。 箱の板にレリーズ自体でタップを切ることも考えたが、木材ではすぐにネジ山はなまってしまうに違いない。
照準器 何とか簡単な照準器が出来ないか、と考えた末採用したのは只の棒。 画面に映っている映像に合わせてL字形棒が対象物に一直線になるように、カメラアタッチメントの上部に貼り付けただけの簡単なものである。 まあこれでも何とか使えそうな気がする。 難しい電池対策! SANYOのDSC-MZ1に使用する電池は単三形のニッケル水素電池二本。 だがこの電池、普通の撮影なら液晶画面を非表示にしてファインダーを覗くだけで撮れるのだが、望遠鏡を取り付けたらそうは行かない。液晶画面を見ながら撮影するしか無いのだがそれにはあまりに非力である。 ズームや連写を多用したら瞬く間に電池を消耗してしまう。 なんとか予備の電源が確保出来ないだろうかといろいろ考えたが名案は無かった。 ACアダプタジャックはあるのだが、ここにプラグを着けた電池ボックスを作って繋いでテストしてみたのだが、これでは全く動作しなかった。 当面予備の電池を一杯持って行き、頻繁に交換するしか無さそうである。 ピント合わせも難しい! このカメラに付いている1.8型液晶画面ではピントが合っているのかどうか見分けるのは極めて困難である。 液晶画面を天眼鏡で眺めるのも面倒だし、 フィールドでは周囲の明るさで画面は更に見にくくなるのは目に見えている。 外部光はフードを作って防ぐことは容易だが、老眼では小さな画面は最初から見えないものとして運を天にまかせるしかなさそうだ。 フィールドテストは・・・
でも未だ出来たてのほやほや、フィールドテストは未だやっていない。 さーて、どうなることやら・・。
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