2.2 自身と他者について

私たち地球人は、自分と他者を分けることや自分と周りの環境が違って見えることに、何の疑いも抱かずにこれまで人生を重ねてきました。

当たり前という言葉すら浮かばなかったと思います。

ところが私たちが想念観察を知り、基礎的な知識に触れながら体験を重ねる内に、自分や他人という区別や優劣・善悪といった概念はこの三次元世界特有の理解であって、潜在サイドの人間の本質の世界では、深く高い意識レベルほど区別がなくなっていると知らされ、また、実際に区別がなくなった境地を体験させられる仲間も増えてきて、顕在サイドの現実認識とのギャップの大きさに困惑してしまいました。

私たちは、進化を志向する人間として当然理解しているべきことが、何も分かっていませんでした。

そこで初めて、自身の価値観を根本的に見直す必要性に気づきました。

自身と他者は、当然ながらその対象でした。

自身とは、あなたと(あなた)であり、他者とはあなたの周りの人間達・動物達や環境です。

 

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あなたの住む世界では、厳密に同じものは二つありません。

双子やクローンと言えども、大量生産品と言えども、また、CDから何度も流れるメロディーといえども、厳密に同一ではありません。

ところが、想念観察の視点からは「分かれて見える」ことは「分かれていないもの」を暗示しています。

「分かれて見えるもの」からたどって、「分かれていないもの」に行き着かなくては、真に理解できない概念があります。

それが意識です。

(あなた)は、そのままでは意識のみですから、自身が何者なのか、また、どんな多様さを秘めているか確認できません。

「大いなる意識」の理念として人間の意識体は、自身と他者のほか、プラスマイナス・都合不都合・善悪・優劣・損得・苦楽・勝ち負け・美醜・高低・明暗・大小・上下・表裏・強弱・硬軟…など、数え切れない二極相反との出会いの中で、その「違い」が一つの共通世界から分かれてきたことを身をもって突き止めるまで、意識の創造性や可能性の多様さを体験します。そのための三次元世界です。

 

(あなた)が多様さの体験をしようと、意識を顕在サイドに維持固定するには、「対象化」というメカニズムで、あなた自身と他者の違いを一瞬も途切れず比較し識別している必要があります。

一瞬一瞬の比較と識別の連続によって、(あなた)はあなたでいることができます。

地球人のテレビのシステムにもこれと同じ原理が使われています。

あなたの肉体はテレビのボディ、脳機能(エゴ体)は受信・受像機器です。

電源が入ると、テレビはアンテナを介して番組を信号として受信し、プログラムされた記憶素子と反応し、番組に翻訳して画面に表現します。

しかしテレビの画面が連続して見えるのは、受信した信号に一瞬一瞬反応して連続の画面に翻訳する機能が備わっているためです。

一瞬一瞬の高速な反応の連続が、点滅しない画面を生み出しています。

(あなた)は視聴者として、画面に映るニュースやドラマを楽しみ学習しますが、(あなた)がテレビを見ていられるのも、脳機能が翻訳する想念と表現のドラマを、一瞬一瞬の比較・識別を通して途切れなく対象化しているからに他なりません。

このプロセスがなくては、(あなた)のあなたはただの肉塊になってしまいます。

 

(あなた)の比較・識別が明確でなくなると、自身の有り様も他者との違いもありのままに対象化できません。それは強い同化から始まります。

強い同化の(あなた)は、ほとんどこうして錯覚の上に錯覚を積み上げます。

自我という概念自体も、(あなた)が他者との違いを知るために対象化したものであり、元々(あなた)サイドに自我というものさしはありません。

つまり、三次元世界の全てのものは比較で成り立っており、それらはいつも必ず違って見えなくてはなりません。

「自身と他者は同じになり得ない」これが宇宙の原理原則です。

 

自身も他者も、元々は意識体の目覚めのために用意された対等な比較教材です。

身勝手な二極相反にまみえて振り回されるための比較対象ではありません。

ところが、それは頭では分かっていても、体に染みついた「二極のどちらかに片寄る習慣」を、(あなた)はなかなか離しません。

従って(あなた)はやがて、自身の生活に想念観察を持ち込んだ故の難しさとジレンマに直面するでしょう。

しかしいずれ、「違いから意識の多様さを学んでいる」実感が訪れます。

そこで初めて、(あなた)は対象化の意義を知るでしょう。

ですから、あなたの立場では、昨今はやりの「万物との一体感」を得ようとして無理に背伸びなどしなくてもいいのですよ。

自身や他者は、わざわざ別れて見えるように存在しているのですから、顕在サイドで一体感を得ようとすることは、磁石の+と+を近づけるようなものです。

むしろ、あなたは徹底してあらゆる違いを追求する一方、(あなた)はその一部始終を「根源のものさし」に照らして見守っていれば、一体感がどんなものか分かるでしょう。

あなたには「分離そのもの」としか見えない人たちが、どんなに(あなた)の目覚めに貢献しているかについて考察して下さい。

 

エゴ体は宿命として、どうしても違いを比べて差別化する方向へ走りたがります。

これだけエゴ体として転生を重ねてきたのですから、あなたや黒幕の(あなた)を責めても仕方がありません。

ですから、あなたにはそのまま自由に反応させて、それを(あなた)ができる限り生かし切ること、これが自然の流れに沿った在り方です。

(あなた)の比較の実感について考察して下さい。            

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