【96年12月5日(木)】
CitibankのPC-Banking



【97年12月11日追加】
CitiBank の PC-Banking の Next Step(インターネット接続開始)へ
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【はじめに】

橋本首相の一声で銀行・証券と保険会社の乗り入れが急速に始まることになった。
これはおもしろいことになった!! まずは敵(?)を知ることからだ。

−−−という訳で、今日は、米国の大手 Retail Bank である Citibankの PC-Banking の状況を1個人顧客という側面からまとめておこう。
先日、Peat Marwick の人と話をしていて、「日本から調査のために出張してくる銀行関係者のほとんどが、PC-Banking か電子マネーを調査対象にしている。」と言っていたことも僕の興味を引いた。

なお、僕は Citibank 内部のことは全くわからないので、あくまでも、1顧客としての使い勝手の観点であるが、僕にとっては、はっきり言って、「こんなに便利なものはない!!」という一言に尽きる。
(日本でも急速に PC-Banking サービスが進んでいるが、ここまでにはなっていないのではないか。(住友銀行なども有料のようであるし。。。))
ただし、Credit Card と小切手がアメリカほど多用されない日本、また持ち株会社組織でなく、証券売買とのリンクがない日本だと、ここまでの利便性を感じないと思うのも事実だ。)

【内容】

CitibankのPC-Bankingサービスは、内容的には従来の Telephone Banking(こちらも急速に伸びている)の機能を踏襲したものであるが、Telephone Banking に比べて、
・PCのMonitorを見ながらゆっくりと操作できる。
・データを自分のPCに取り込める。
・取引の記録が残る
等の点で大変便利である。

銀行の側から見ても内部事務(データ入力や書類整備等)がない分、相当の効率化が図られているはずである。
(PC-Bankingを使う顧客が増えれば増えるほど効率化が図れるという訳だ。)
他の銀行でもChase(Chemicalと合併)が PC-Bankingをやっているが、Citibankの方が評判が良い。

【具体的には】

1.以下の口座がすべてPC-BANKINGでつながっていて、極めて便利である。
(1)checking account(checkingであっても1%程度の金利は付いている)
(2)MMA
(銀行の扱う中期国債ファンドのようなもの(即日換金可のやや金利の高い商品(当然CDより金利は低く、2.5%程度))
(3)CD(譲渡性定期預金。現在の金利は1年もので5%程度)
(4)Citibank Credit Card
(American Airlineとの提携。金額1ドルが1マイルとして換算され、3万ドルでアメリカ国内のAmerican Airエコノミークラス往復航空券がもらえる。個人的にはこれをたいへん良く利用している。)
(5)Brokerage(株式、債券、option)

これらは Citibank 自身のサービスではなく、持株会社(Citicorp)傘下のBrokerage Firm(Citicorp Investment)のサービスであるが、あたかも同一の会社のサービスであるかのように、シームレスにつながっている。
(ただし、証券投資のメニューに移るときには、「FDIC(預金保険機構)の対象外なので元本保証はない」というメッセージがしつこく出てくる。いかにも消費者保護の徹底している国らしい。)

2. PC-Banking は、全く無料である。
(アクセスのための電話も1-800(フリーダイヤル)であるし、口座間の送金等にも手数料はかからない。株式の購入には手数料がかかる(ただし後述のとおり、10%引き))

3.MENUの代表的なものは次のとおり。
(1)残高照会(各種預金残高・満期日、Credit Card残高、保有株式時価等)
(2)個別取引内容照会
・小切手については、Check No.ごとに引落の有無がわかる。
・Credit Cardについては、請求された金額と日付、請求者がわかる。
・株式等については、取引金額や数量がわかる。
(3)マーケット情報照会(個別銘柄の株価(最高・最低・終値・出来高)、預金金利等)
(参考)PC-Bankingとは異なるが、株価照会は、以下のWeb-siteでも可能(他にもいろいろあるが、Internetではこれが便利。グラフも出てわかりやすいのでオススメ。)
http://www.stockmaster.com
(4)口座間の振り替え
・MMAからCheckingへの送金やMMAからCredit Cardへの送金(注)等が行える。
(注)余談だがアメリカでは日本と異なり、Credit Cardの支払は原則として口座自動引落ではなく、送られて来る請求明細に対して小切手を送ることによって行う。
この段階で請求誤りがあればその部分を削除して支払う事になる(dispute)。disputeの部分はcard会社が調査してreportが来る。請求が正しかった場合にはfee($5)程度を取られることもある。
当方の言い分が正しかった場合にはその請求は削除され、当然feeも請求されない。
なお、PC-Bankingを使っていて、なおかつCitibankのCredit Cardを持っている場合には(ここが大切)、銀行口座(checkingもしくはMMA)から Credit Cardへの支払をオンラインで行うことができる。

・資金振り替えは期日を指定して行うこともできる。
(たとえば12月5日に、12月25日付けの振り替えを指示する、等。もちろん振替実施前であれば変更や取消も行える。)

・1件ごとの振り替えだけでなく、定期的な振り替え(たとえば毎月1日にMMAからcheckingへ$5000を振り替える、等)も可能

(5)第三者への小切手作成・発送
・通常、個人は小切手を手書きし、郵送または手渡すが、PC-Bankingでは住所や相手の名前を登録しておき、金額と日付を都度指示すれば Citibank のコンピュータセンターで機械作成の上、自動的にその住所へ発送してくれる。
切手代(現在、封書は国内32¢)もかからない。

・ただし、僕は個人的にはこのサービスはあまり使っていない。

(6)株式等の購入
・銘柄をTicker(4文字以内のアルファベット略称:たとえば、最近IPOしたHealthcare Financial(ちなみに、今日500株投資してみた)であれば HCFP、ZIP-Driveで有名なIOMEGAであればIOM。NYSE(NY証券取引所)でもNASDAQ(店頭株)でも通常に使われている。)で指定し、数量を指示して指し値か成り行きか、当日限りか継続的かも決めて発注する。

・Citicorp Investmentに電話で取引依頼をするより、手数料が10%安くなる。
(僕のような貧乏人にとってはありがたい!)

・option 取引も可能であるが、僕はまだ始めていない。
(もう少し勉強したら始めたい。)

4.ソフトウエアはMAC用とWINDOWS用(3.1,95共用)のどちらもある。
(もちろんこれも無料で送ってもらえる。)。

−−−コメント−−−

銀行は、顧客とのインターフェイスの部分で機械化が急速に進み、店舗数は減少している。マンハッタンでも、従来の店舗(古く、天井の高いビルである場合が多い)が Cafe Barになったりしている。
銀行の支店が残る場合であっても、窓口の銀行員(Teller)が減って、ATMが増やされたり、店舗の一角に Telephone Booth( Telephone Banking用だ!!)がいくつもできたりしている。

全体的にATMは増加している模様(ATMでもPC-Bankingと同様のサービスをしている)

PC-Banking は Retail銀行の効率化に確実に役立っている。また、口座を同一の銀行にまとめる利便性が大きくなるため、顧客の囲いこみにも有効に機能しているはずだ。

Online Bankingの詳細調査については、12月15日のレポート参照


【96年12月15日(日)】Online-Bankingの追加調査(詳細)

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