【96年12月12日(木)】

AONが Alexander and Alexanderを買収
(Bloomberg/NYTimes/WSJ)


米国大手保険ブローカーAON(Chicagoが本拠地)が Alexander and Alexander(New York が本拠地)を $1.23BILで買収し、米国最大のブローカーが生まれることとなった。
この取引により、94年6月に $200MIL を Alexander and Alexander の Preferred share に投資したAIGは $100MILを越える売却益を得る。
大規模化したAONは規模のメリットを享受する一方、国際化をさらに進めることになる。
(AONの海外拠点は70ヶ所から80ヶ所に増える)。

AONの Patrick Ryan 会長は、back-office と corporate-function、branch-office の統合で $100MILの save が可能と見ている。
また Merrill Lynch の Cohen 氏は「AONにとって良い取引だ。対価も妥当。イギリスのoperationが旨味。」と言及している。

Alexander and Alexander は内部部門の肥大化と、訴訟費用で苦しんでいた。新マネジメント(Mr.Zarb)のもとで合併相手を探していたがうまく行かず、株価は下落を続けていた。近年のソフトマーケットで収入の伸び悩みに苦しんでいた。

なお、95年の収入に基づく世界のブローカーの順位は次のとおり。

    1位  AON+A&A              $3.33 Bill 
    2位  Marsh and McLennan   $3.02 Bill
    3位  Sedgewick Group      $1.28 Bill
    4位  Willis Corroon       $1.11 Bill
    5位  Johnson & Higgins    $1.08 Bill

−−−コメント−−−

保険業界・再保険業界だけでなく、ブローカーも合併・淘汰の時代を迎えている。
米国の小規模ブローカーではオーナー引退の際に後継者がおらず、買収の対象となるケースがあるが、 買収・合併は大規模ブローカーでも起こっている。ブローカーも効率化・グローバル化の時代と言える。

日本で98年から損保料率を自由化することにMOFが Goサインを出した(12月11日日経新聞等報道)中で、日本でもダイレクトマーケティングが急速に進むことが予想される。
そうなると、顧客に対する付加価値を米国程持たない日本の代理店の淘汰は急速に進むだろう。

なお、大きな売却益を得たAIGは、苦しんでいる A&A に出資し、しっかりと preferred stock で(たぶん相当高い)配当を得た上、今回、売却益まで得た。大したものだ。


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