【記事のポイント】(もちろん、これは日本の記事だ)
大蔵省は、ソルベンシーマージン比率により、経営が悪化した生命保険・損害保険会社を早期に再建・処理するための早期是正措置を98年度にも導入する。
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大蔵省の案は、米国を参考にしているだけあって、RBCと非常に似ている。
表にして整理すると次のとおり。
Tier | 米国(RBC) | 日本(ソルベンシーマージン) |
---|---|---|
200%以下 | ・保険会社は保険庁に業務改善命令の提出が必要となる。 | ・経営改善計画の提出 |
150%以下 | ・保険会社は保険庁に業務改善命令の提出が必要となる。 ・保険庁は改善命令を下すことができる。 | ・配当抑制、資産増加の制限など業務改善命令 |
100%以下 | ・保険会社は保険庁に業務改善命令の提出が必要となる。 ・保険庁は保険会社を再建もしくは清算することができる。 | ・必要に応じ業務停止命令、当局の管理下におかれる。 |
70%以下 | ・保険庁は保険会社を再建もしくは清算しなければならない。 | ・当局の判断で清算などを行う。 |
(注)200%、150%、100%、70%の各基準は、米国では、各々以下のように呼ばれている。
200% Company Action Level (CAL)
150% Regulatory Action Level (RAL)
100% Authorized Control Level (ACL)
70% Mandatory Control Level (MCL)
・早期是正措置は日本でも自由化とセットで、安全ネットなどと同時に検討されて来た。
・日本は米国と異なり、保険会社の会社数は多くない。したがって、「とりあえず行政が手間をかけず、機械的な数字のみで第一次の経営チェックを行う。」というニーズは米国ほど大きなものではなかったと考えられるが、自由化を進める上では必須の措置だ。
・単一の指標のみで判断するのは危険ではあるが、数字であるが故の客観性はあると言える。
・現時点では、算出結果が開示されているか否かが異なる。
(日本は開示されていないが、米国では各州保険法に基づく Annual Statment(保険庁で閲覧・コピー可能)で開示されている。)
・米国でも導入時(生保は93年度から、損保は94年度から導入。)には次第に厳しくして来た(RBCの基準となるPHS(自己資本)所要額が、1年目(94年度)、2年目(95年度)は最終形に比べて抑えられていた。)が、日本の導入も同様の経過措置が設けられるのかもしれない。
・新聞報道では「行政が保険会社に開示を促す」とあるが、開示の仕方、それを一般消費者(企業・個人)がどう使うかがポイントだ。