【97年2月13日(木)】

自動車電話により事故率4倍(Canadaの調査)
(New York Times 97.2.13)


Tront 大学の教授の Report。
2人の学者(同大の薬学の統計学教授)が最近 report を発表した。
"The New England Journal of Medicine"(FEB13公表)。

自動車電話使用中の事故率は4倍になる。
これは、血中のアルコール濃度が 0.10 %程度まで上昇した状態と同じだ。

New York 州の酒酔い運転の基準(違反となる)が 0.06 %だというから、これより危険だということ。

事故の増加の度合いは、会話の内容にもよる。
すなわち、 serious な(気をとられる)電話は危険ということだ。

この report の調査方法が賢い。
自動車電話を持っていて事故に遭ったドライバー 699人にコンタクトし、その人の事故に遭う1週間前の 26,798 通話の記録を詳細に分析し、まとめたのだ。

自動車電話には、ハンドルに組み込まれるなどでハンズフリーになっている機種もあるが、それでも通話中の危険度は変わらなかったという。
(電話をしているという肉体的なものでなく、考えごとをしながら(他のことに気をとられながら)運転しているということ自体が危険度を増加させていることを考えると、納得できる話。)

この調査方法は統計学者たちの間でも話題になっている。
また、分析の結果についても、納得感があるという意見が多い。
米国のセルラーフォン協会は結果には納得しつつも、「運転中の自動車電話を禁止する法律には反対だ。」と述べている。

米国では(日本でもそうだが)、運転中の自動車電話は特に法律によって禁止されている訳ではない。
一方、ブラジル・イスラエル・スイス等、いくつかの国では禁じられている。

米国の普及台数は現在 3千5百万台。2000年までには 8千万台以上になると予測されている。
現在、交通事故を起こした人の 39%が自動車電話で連絡をとっているという。
既にそこまで普及している。

−−−コメント−−−

自分が運転しているときのことを振り返ってみても、何か考えごとをしているときは かなり注意が散漫になるのはよくわかる。

人は考えごとをしたりするとき、中空を見たり、目をつぶったりする。また、不幸にして人生半ばにして目が不自由になった人は他の感覚がとても鋭くなるとも言われている。人間が同時に使うことのできる感覚には一定の限度があるのだろう。

したがって、運転中にあまり真剣なことを考えたり、電話をしたりするのは止めた方が良い。
自分で事故を起こさないにしても、他の車が急に迫ってきたときなどに、瞬時によけることができなくなる可能性がある。

自動車電話の利便性は計り知れない。問題は利便性と安全性のバランスをどこでとるかだ。

さて、保険料率にどう反映するかだ。

ただ携帯電話・PHS・自動車電話を持っているだけで料率を上げるというのは難しいだろう。それに、携帯電話とPHSの場合には自動車との関連性はうすくなる。加えて、もともと、PHSは走行中の自動車からはほとんど通話できないはずだ。

料率への反映は無理ということなのだろうか?


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