【97年2月24日(月)】

Chubb が 生保 Unit と不動産 Unit を売却
(New York Times 97.2.24)


昨年秋から Chubbが生保Unitと不動産Unit(一部)を売りに出していたが、Dealの相手先がまとまり、近々(数日のうちに)Announceされる見通し。
売り値の合計額は 27億ドル。

生保部門の売り先: Jefferson-Pilot Corp.(Greensboro, North Carolina)
売却価格 8.5-9億ドル。
(同社は総資産 165億ドルで米国30位。1995年に2社の買収を行って拡大基調。商品としては Life と Annuity を重視。)

不動産部門の売り先: Patriott-American Corp. (Dallas, Texas)
売却価格 10億ドル(含むDebt)

Chubb は損保で米国 12位。生保で 67位。
昨秋に売却を表明して以来、5−6社が買い手として名乗りをあげ、Bidになっていた。

Chubb の 生保 Unit、不動産 Unit の ROE は 5%程度で、ヨーロッパ・アジア・ラテンアメリカで拡大する P&C Unit の 12%には遠く及ばなかった。
これに対する投資家の Pressure が強かったのも売却の一つの理由。

一般的に損保は Hurricaneなどの影響で収益の変動は大きい(Volatile)一方で、生保は安定的。
(すなわち、両ビジネスはかなり異質ということ。)

そういう中で、保険業界でも、買収による規模の利益の追及とともに、得意分野への集中(Single-Focus)への動きが強まっている。

chubb.txt
Note: Chubb1.htm, Chubb2.htm

−−−コメント−−−

生損保では Synergyはないというのが記事の趣旨
(業界の「専門家」によるとのコメント)

一方で、現場(Agent Level)では生損保併売(Cross-Selling)が行われているのも事実。しかし、Cross-Selling をどこまで成功していると見るかは人によって様々である。

生損保の収益変動が異質だというのは事実だが、だからといって片方に特化すべきということにはつながらないのではないか。

日本において生損保がお互いに相手の領域に進出しているのは、
・新事業分野に進出することにより、従来の人員を一部吸収し、自由化に伴って必要 となる内部コストの削減に寄与する。
・両ビジネスを行うことによるリスクの分散。
という戦略に沿ったものだと思う。

両ビジネス各々の特性を見極め、可能な部分では Synergy を見出しながら展開して行く、というのが日本の損保の日本における当面の戦略だろう。

しかしながら、このところ米国に於いては "Single-Focus" への指向が強まっているというのは紛れもない事実だ。


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