【97年7月7日】

取締役(経営者)に必要な条件(アンケートへの回答)


1997年7月7日

------- 良い機会と考え、大変僭越であり、失礼に当たるかもしれませんが、私が日頃考えていることを率直にそのまま 書かせていただきます。
(こういう機会に遠慮するのは、むしろ良くないことだと思っておりますため。)

1.取締役(経営者)として、最も必要な要件
◎(1)公正な立場で、歪みのない判断ができること。
(2)論理的思考ができ、それを必要に応じて係数的評価に置き換えることができること
(3)視野が広く、国際的で先見性があり、バランス感覚に優れていること
(4)迅速に行動(情報収集・判断・指示)できること

2.その理由(◎印について)(当社に関してというより、一般的に)
(1)昨今の日本の金融機関の不祥事(特に経営が関与しているケース)では、個人としてのまともな判断を、「会社」という組織が歪めてしまっているケースばかりである。どういう判断をすべきかは根本に立ちかえって考えれば全く明らかなのだが、それができないところに日本の経営者の問題点がある。
(2)「そうは言っても、簡単には直らない。自分がその立場だったら同じ判断をしていたかもしれない。」という意見が多くの「会社人間」から上がっているのもわからないではないが、そんなことを言っていては、日本の企業は変わらない。経営者自らが考え方を改め、企業・社会を変えて行かねばならない。国際社会で日本の企業が競争力を持ちつづけるためには、日本の企業は変わらねばならない。

3.取締役(経営者)として、最も相応しくない人物
(1)自分で考え、判断することを恐れる(orしない)人
(2)過去にとらわれすぎる人
(3)変化を恐れる人
(4)視野の狭い人

4.現在の経営の意思決定体制、業務執行体制、取締役の業務分担体制等に関する意見
(やや幅広く、思いついた事をすべて書きます。)
(1)各部門・各個人の Expertise が会社として蓄積され、生かされる仕組みになっていない。
(2)人事評価において、年功序列の重視がまだあまり改善されていない。
(3)意思決定に時間がかかる。
(従来の階層組織のフラット化が進みつつあるが、まだまだ不十分である。分社化を進めるべき。)
(4)機械化が著しく遅れている。
(また、意思決定を早期化するためには、コミュニケーション手段としての機械化・ネットワーク化は不可欠。1人1台端末を進めているが、ペースが遅すぎる。金融機関のように、物を生産せずして付加価値を売る業種は、情報化なくしては成功はあり得ない。)
(5)各部店・組織への権限の委譲が十分に成されていない。
(6)全体として、マーケットの原理(「競争社会の原理」)が保険業界としても、社内的にも働いていない。
(もっとも、これは日本経済(メーカーはさておき、特に金融機関)全体に言えることではある。いずれにせよ、これは日本版ビッグバンと、それに伴う人材の流動化によって否応無しに変わることだとは思うが。)
(6)資本の最有効利用が成されていない。
(⇒株主重視、ROE重視の必要性)

【小職の役職・所属部門等】
役職 駐在員(81年入社)
部門 海外(米国:企画・経理担当)

note: torishim.txt


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