遊佐刺し子
新しい技法や文様 (06.07.18(火)山形新聞)
衣服を長持ちさせたいと先人が考え て生み出したのが、重ねた綿布に 一針ずつ刺し
縫いを行う「刺し子」だ。女 性たちが丹念に針を運び、布地に幾何 学的な文様を表す。
もともとは素朴な 着衣の繕いだったのが、女性たちの創 意と感性で幾つもの文様が
編みださ れ、手から手へと受け継がれて、県内 をはじめ日本海側を中心に全国に
分布 する。

本県の庄内地方で作られる庄内刺し 子は、津軽のこぎん刺し、南部(青森 県東南部
から岩手県中部)の菱(ひし) 刺しと合わせ、日本三大刺し子と呼ば れる。その庄内
刺し子の古里″とさ れるのが遊佐町。「遊佐刺し子」は、 冬に山からまきを降ろす
そりや農具な どを載せたそりを引くときに着る「構 曳(そりひ)き法被」の、そりにつな いだ
帯やひもが掛かる肩当てと前当て に付けられている。 「遊佐に刺し子の技術が入って
きた のは江戸時代。大阪から瀬戸内海を経 て日本海側の各地に寄港する北前船で
運ばれてきたと思われる」と語るのは、 同町内外の重石愛好家で組織する「パ ッチワーク
キルトクラブ ピースフる ・ハート」の代表・土門玲子さん(60) や遊佐刺し子保存会
メンバーの池田ち ゑさん(58)。「淡路島(兵庫県)にも 遊佐刺し子と同じような文様の
刺し子が ある」と話す。
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遊佐刺し子に携 わる 土門玲子さ ん(左)と 池田 ちゑさん |
遊佐刺し子の文様は、庄内柿の花模様 を描く「柿の花刺し」、米の文字を「米刺し」、
そろばんの玉をイメージした「そろばん刺し」、 菱の実型の刃を持つ鉄製武器に由来する
「菱刺 し」など、二十ほどの基本形がある。 型紙を使わずに糸の目数で文様を刺し表す
のが遊佐刺し子本来の姿だが、 一九七八(昭和五十三)年ごろに方眼紙 に図案を描いて
から作るという誰にで も分かりやすい方法が考えられ、同町 内や平田地域(酒田市)など
に普及し た。
「刺し子はとにかく根気のいる作業。 昔の人は偉かったと思うな」と感心 する土門さんは、
型紙を使わない古来の 刺し子技法を受け継ぐ、おそらく唯一の人。 「伝統文化は、その
時代に生きた人が、時 代に合わせてつくるもの」と、遊佐刺し子と小 さな布切れを縫い
合わせるパッチワークを融 倉させて一つの作品にする新しい表現スタイ ルに取り
組んでいる。
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土門玲子さんが制作した遊佐刺し子と パッチワークの融合作品。 十二の小さな構曳き法被が並び、 松刺し(上段左)、菱刺し(上段右)、 そろばん刺し(中段の左から2番目)、 蝶刺し(下段の左から2番目) などの文様を伝える
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