● 県歯発表
・ 福岡県歯科医師会における弁護士依頼事案について
佐藤 公彦 (福岡県歯科医師会 医療管理部)
| 「医療事故、医事紛争が増加している」というメディアの報道がある一方、説明しても理解してもらえない、自分の主張のみを言い張り問題解決が出来ない「いわゆる医療クレーマー」が多くなっていると感じます。そのため、対応に困惑している歯科医師が多いのではないでしょうか。演者は昭和45年以来、福岡県歯科医師会医療管理部に報告された総数1408事例中、歯科医師会会員や私たち医療管理部では解決できず弁護士に紛争解決を依頼した件数174事例について検討を加えたので報告いたします。 今回は弁護士に依頼した事例数と内容の推移、紛争発生から解決までの過程、解決方法、賠償支払い額、解決期間などを報告し、私たちが抱えている問題点を提供し、皆さんと共に考えていきたいと思います。 |
・ 専門的口腔ケアが口腔機能に与える効果について 特に、舌の立体認知能について
久保 哲郎 (小倉歯科医師会 地域保健)
| 河岸等(九歯大総合科学)は、口腔に含んだテストピースの形状を判断させる方法で、舌の立体認知能について調査研究し、加齢によって舌の立体認知能が低下することを明らかにしてきた。今回、小倉歯科医師会、九歯大総合科学、福岡県歯科衛生士会北支部が連携して、在宅型老人ホームに入居している一般高齢者を対象にして、専門的口腔ケアが口腔機能、特に舌の立体認知能に与える効果について総合的に調査した。 調査方法は、3ヵ月間、月に2回口腔機能向上を目的とした「お口の健康教室」を開催し、「お口の健康教室」開始前と終了後における口腔機能効果について比較検討した。 舌の立体認知能検査は6種類のテストピースを用いて行い、被験者14名(平均年齢78.9歳)のうち6名は、開始前6種類全てを正答し、3ヵ月後もそれが維持されていた。開始前に幾つか誤って回答した被験者9名については、3ヵ月後は7名については正答数が上昇し、2名は低下した。舌の立体認知能以外の機能については変化がみられなかった。 |
・ さらなる医科歯科連携に向けて 〜済生会長崎病院との連携〜
貝通丸 剛 (貝通丸歯科 長崎市)
| 当院は、数年前より近隣の済生会長崎病院と協力歯科医の提携を行い、積極的に連携を図っている。以前は入院患者の歯科疾患に対する訪問歯科診療が中心であったが、最近では医科歯科連携による共同療養(治療)、すなわち全身疾患を口腔領域からもアプローチする治療を試みている。具体的には、糖尿病と歯周病が相互に悪影響を及ぼす関係であることから、糖尿病患者の歯周病治療による連携。睡眠時無呼吸症候群の患者に対するスリープスプリント療法の共同療養指導。末期がん患者に対するガン緩和ケアのひとつとしての口腔ケアなどである。 今年8月の脳外科の新設に伴い急性期病院の指定となったことから、今後、脳卒中患者の急性期における摂食嚥下リハビリや、手術前口腔ケア等の介入に向けて準備を進めている。 また、済生会の関連施設である特養「なでしこ荘」の施設協力歯科医として、入所者歯科検診や口腔機能向上委員会の設置、口腔機能維持管理加算に必須の「口腔ケアマネジメント計画」の策定など、入所者の口腔機能管理にかかわっている。 |
・ 伊東歯科口腔病院における地域連携医とのクリティカルパスの共有
中村 純子 (伊東歯科口腔病院 熊本市)
| 当院は、これまでの19床に開放型病床5床を加え24床とし、伊東歯科口腔病院となった。それに伴い、他院との診療連携を充実させる為、共同診療時にクリティカルパスを利用し、情報提供を行なっている。 これにより、入院中の患者の経過を紹介医が把握することができる。退院後、紹介医に戻った際に継続した治療を行うことが可能となる。また、患者との信頼関係も一層深まると思われる。 今回、紹介件数が多かった顎変形症(SSRO)のクリティカルパスに焦点を当て、有効に活用されているかを対象患者、関係するスタッフおよび地域連携医にアンケート調査を行った。 その結果、患者・スタッフおよび地域連携医よりクリティカルパスの有用性について高い評価を得たので概要について報告する。 |
・ 医院力に繋がる人材育成の実際
松下 哲也 他 (松下歯科医院 八代市)
| 歯科医院経営の安定には、理念の明確化と共に、外部要因の分析と内部要因の改善・改革が不可欠です。しかし、外部要因は、コントロールできません。内部要因を考えて、方針を決め、自分たちが変化することで対応していく以外にありません 一般のサービス業においては、「顧客満足」がテーマになっています。「顧客満足」を達成するためには、そのサービスを提供する従業員が満足していることが先です。医院力の源は、従業員の能力と意欲と行動です。 「従業員満足」は、「ハーズバーグの動機付け・衛生理論」では、達成感・達成したことの承認・仕事そのもの・責任感・昇進・成長といった内面的なものから生じると言われています。 徳治会では、従業員が成長して、それを実感できる教育環境・教育システムを構築してきました。 具体的には、毎週の勉強会、毎月のパートナー会議、半年毎のチャレンジ面接などで、目標管理とパートナーの能力開発と向上を行なっています。その内容を紹介し、評価法を考えてみたいと思います。 |
・ 当院におけるカウンセリングシステム
乙村 小百合 (吉永歯科医院 宇城市)
| 目的: 歯科医院に来院される患者の希望,要望は様々である.そして,患者自身が抱える身体的,精神的な不安も様々である.その両方を聴き出し,それを把握し診療内容に活かすことが求められる.また当院の情報を発信し,患者の理解を得,信頼を得るためにもカウンセリングは重要である.今回当院のカウンセリングによる効果を自費率で検証する. 方法: 当院では,コミュニケーション能力のある担当者がカウンセリングを行っているが,カウンセリングを行った患者の信頼度をカウンセリング実施前と実施後の自費率と,信頼を得た患者の紹介で来院した患者が自費診療に移行したかどうかの分析を行った. 結果: カウンセリング実施前の自費率は37.8%であったが,実施後の自費率は48.9%となった.また,総件数に占める自費件数の割合はカウンセリング実施前3.1%であったが,実施後は8%であった.そのうち,紹介により来院した患者の自費移行率は56パーセントであった. 考察及び結論: 自費治療は患者の価値観,経済的背景,そして我々に対する信用があってこそ成り立つ.当院で行ったカウンセリングは患者満足と信頼を得たことで自費率アップにつながったといえる.今後も個対個の関係を大切にし,カウンセリング能力を高めることで医院力アップにつなげていく. |
・ 歯科医院経営の健全な発展を目指して
隈部 幸一 (税理士法人「絆」代表)
| 私は税理士として、日々多くの歯科医院の先生方とお付き合いをする中で、経営者としての先生方に是非ともご理解していただきたいことがいくつかございます。 そのうちの一つは“自費治療における値引の経営への影響”です。今ひとつは“損益分岐点売上高と資金繰分岐点売上高”の違いです。 <まず自費治療における値引の、経営特に利益への影響に関して> たとえば30%値引した場合、利益金額は少なくとも70%ダウンします。又50%値引した場合には、値引する前の2倍の数の治療を行なってはじめて元の利益を維持できます。 <次に損益分岐点と資金繰分岐点の違いについて> 損益分岐点は利益が出るか赤字になるかという売上高のことです。売上高が損益分岐点を超えれば黒字それ以下だと赤字、のポイントです。これは特に個人立歯科医院の場合次のようなことに注意を要します。 個人立歯科医院の損益分岐点に反映されていない主な支出として借入元金の返済、生活費〈衣・食・住、生命保険、学費、将来への積立など〉があります。このような支出まで含めてキャッシュがスムーズに回るために必要な売上高、それが資金繰分岐点売上高です。見方を変えると、先生方の歯科医院の経営とご自身の家庭生活の今と将来を維持するために必要な売上高のことです。 一方、損益分岐点売上高とはそれ以上になると税金がかかりだし、それ以下だと税金がかからない売上高のことだともいえます。どちらがより重要な数値なのか、もちろん資金繰分岐点売上高です。 では、それを知り、さらにより資金繰をスムーズにするためにはどのような改善策があるのか・・。このようなことを今回の講演でお伝えしたいと思っています。 |
・ 患者ニーズと医療の質
永山 正人 (永山ファミリー歯科クリニック院長 ・ 日本歯科医療管理学会副会長)
| 現在の歯科医院経営は、需給問題の影響等から厳しい状態が続いています。特に、歯科医師の増加に加え、人口の減少はさらなる悪化を招き、歯科疾患の減少とも相俟って将来に不安を持っている歯科医師は多いことと思います。 しかし、厚生労働省の「保健福祉動向調査(平成11年)」に見られるように、「口腔内に問題や悩みを持っている人」が約70%もいながら、「一年間で歯科診療を受けたことがある人」は約35%であり、約35%の人が市販している薬等を利用するか、我慢するかで、受診していない実態が浮彫にされています。もちろんこの結果は単純に処理される内容ではないことは承知しておりますが、何らかの理由で受診していない潜在患者さんが相当数いることは間違いないことと思います。したがって、現在来院している患者さんがより快適に受診でき、さらには潜在している患者さんが顕在化する環境を整える事によって患者数が増加すれば、現在の経営環境は明らかに変わってくるはずです。 この目的を達成するためには、国や歯科医師会等の組織が行われなければならないこと、そして現場である我々一人ひとりの開業医が行わなければならないことがあるはずです。それは、患者ニーズに対応した歯科医療提供であり、国民が今一番求めている医療安全を含めた医療の質だと思います。この度の大会では、その具体的な内容についてお話をさせていただきたいと思っています。 |
・ 良好な歯科医療コミュニケーションから良質な歯科医療が生まれる
福本 厚子 (歯科衛生士ステーション ディ・エイチ・エス 代表 ・ 熊本県歯科衛生士会会長)
| 歯科医療で求められる「コミュニケーション力」とはどんなものでしょうか?一般的な接遇技術も大事ですが、歯科医療現場では、それ以上の高度なコミュニケーション能力が求められています。では、何故コミュニケーション能力が必要なのでしょうか? 医療従事者は、患者の不安や疾病に対する考え方を知ることで、患者のことをより正しく理解することができ、より間違いの無い処置をすることができます。また患者としても、疾病だけでなく、自分自身の生活や生き方を受け入れ、自分の価値観を尊重してくれることで、安心して積極的に治療に協力することができます。このことは、医療事故未然防止にも貢献するのではないかと期待されています。 接遇応対だけで、全ての問題が解決するわけではありませんが、ベースをしっかりしてコミュニケーションスキルが向上できると、メリットが生まれる可能性が増してきます。より良い関係づくりが、質の高い歯科医療の前提となることが期待できます。 では患者の心を捉えるコミュニケーションとは、どのようなコミュニケーションをとればよいのでしょうか。相手の考えや価値観をありのままに認めるところから「患者の心を捉えるコミュニケーション」がスタートします。大事なことは、『聞く』ではなく『聴く』です。『観る』ではなく『看る』なのです。単に相手の話に耳を傾けるだけではありません。相手の表情や言葉の裏側にある意味などの、非言語的なメッセージなどを読み取りながら、また相づちや質問などを適度に織り交ぜながら「対話」を少しずつ深めていくのです。そうしたコミュニケーションが、患者さんの心に届き、信頼関係を築いていくのです。今回は、患者の心を捉える「対話」に必要な「聴く技術」とはどのようなことかをお話させていただきたいと思います。 |
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