世界観

 

アストラルプレーン

 肉体を持たない、アストラル体と呼ばれる存在が住む空間。
 もしくは、マテリアルプレーンに属するものの魂がある場所とも言われる。
 一つのマテリアルプレーンには、対となるアストラルプレーンが重なる様に存在するが、その逆は必ずしもそうではない。

ア・ゾニア

 高位の神や悪魔など、自らの活動領域に制限を持たない存在を指す言葉。
 主に、アストラルプレーンに存在する肉体を持たない生命体がこれに属する(但し、マテリアルプレーンに住む存在の精神である場合のアストラル体を除く)。

暗黒結界ニグレド

 イ・プラセェルの外周全てを覆い尽くす黒色の壁状結界。
 それが何時から存在するものなのか、そして、何の為にそこにあるのか、イ・プラセェルに住む人間でそれを知る者は皆無である。
 但し、「ニグレド」によりイ・プラセェルが外部に存在する世界と遮断されている事は定説となっており、それはこの世界と「ニグレド」の境界面において見る事のできる余りに唐突に二分された物体(対岸の見えない川、空中に浮かんでいるかの如き木の枝等)が実証している。
 近年、「ニグレド」を研究する人間の中には、閉塞空間であるイ・プラセェルに漂う行き場のない負のエネルギーこそが、「ニグレド」を暗黒色としている理由ではないか、と唱える人間も存在する。

イ・プラセェル

 「至福の島」の意味を持つ世界。
 「ニグレド」と呼ばれる暗黒色の結果により、ほぼ真円である世界の360度全てを覆われた「陸の孤島」であり、結界の外部、内部を問わず相互の干渉を阻まれている。
 フィニステール王国
 マグ・メル共和国
 メグ・メル真共和国
 エヴナ・アブラク聖神国
と、大きく4国に分類され、中世ヨーロッパに近い雰囲気を持つが、生息する動植物、風習等に特異性を覗かせる。
 また大きな特徴として「魔法」という力が目に見えるものとして存在しており、人々の生活から国の自衛力として幅広い範囲で使用方法が確立している。
 暦は地球内世界とほぼ同一の一年が367日、一日が24時間とされているが、季節の概念がなく、地域によって多少異なるものの大陸の殆どは一年を通して日本で云う晩夏の状態を保つ。
 昼夜は太陽と月により管理されているものの、地球の様に自転運動がそれに関係するのではなく、12時間周期の皆既日食が昼と夜とを作り出しており、夜間には月自体の発する光によって月虹「アポクリファ」を見る事が出来る。

エヴナ・アブラク聖神国

 フィニステール王国に次ぐ歴史と国土を誇る宗教国家。
 宗教国家の形を取るものの、信仰の自由が全面的に認められており、それらにありがちな信仰心を逆手にとった国民弾圧は見受けられない。
 国王は代々、巫女の修行を終えた女性が務めている。イハドゥルカ掃討の為にガリィを召喚する。

エーテル

 この世に存在する物質には、それがそれとして存在する為の力があると考えられ、その力をエーテル(もしくは、アイテール)と呼ぶ。
 古代ギリシャの自然哲学においては、地水火風の4大元素に次ぐ5番目の物質であり、空気よりも精妙な霊気体として天界に充満していると考えられた。
 ラテン語で澄んだ大気を意味する。

エルツヴァーユ

 エルツヴァーユとは「風に約束された地」の意味を持ち、「ア・ゾニア」と呼ばれる活動領域に制限を受けない存在を、一時的に活動領域の制限された存在「ゾニア」へと変質させる一種の結界であり、「ア・ゾニア」に属する神をも封じ込める事が可能と考えられている為、別名「封~領域」とも呼ばれる。
 エルツヴァーユ内部にはペンタグラムの形に配置された5本の柱が存在し、それぞれ地水火風の4大元素とエーテルを表しており、それらが風状の歪曲空間を発生させる事で内外部の相互干渉を遮断している。
 単体でのそれは非常に不安定なものだが、エーテルを司る柱の魔力媒体に、ある種の力を持つ生命体を使用すると、その存在を強固な物にする事が可能である。
 封~物の捕縛の為に幾重にも渡るプロテクトが存在し、最終防衛手段として、封~物と同等の能力を持つ存在を擬似的に作り上げ、相殺する機能を持つ。

グリモワール

 別名グリモア。
 呪文、魔除け、護符、召喚方法等といった魔術知識の記された物品の総称であり、必ずしも書物の形をとる訳ではない。
 但し、偽書も多く、本物であった場合にも解読に困難を極める事が多々有る。

月虹アポクリファ

 イ・プラセェルにおいて夜間、月光により初めて認識できる色彩の淡い白色の虹(それ自体は「隠れたるもの、「奥義」の意味を持つ)。
 先史文明における高位呪文「ロスト・レガシィ(失われた遺産)」のパワーソースに用いられていたとされ、現在では自然崇拝者達のシンボルとなっている。

召喚

 魔法儀式により他の世界、プレーン、もしくは同じ世界の別の場所にいる生命体を呼び出す事。
 地水火風の精霊を呼び出す精霊召喚魔法が有名であり、術者はサモナーと呼ばれる。

召喚計画

 イハドゥルカの脅威により危機的状況下にあるイ・プラセェルの各国が、彼女を倒して「世界の平和」を手に入れる為、力ある他世界の人間を大規模に召喚した計画(その選出基準は「イハドゥルカに対抗し得る力を持つ者」という一点に絞られた)。
 但し、一時的とはいえイハドゥルカをエルツヴァーユに閉じ込めた安心感からか、召喚計画そのものを己の権力基盤の確立に利用する者を生み出すという皮肉な弊害をも引き起こしてしまう。

水棲軟体生物チャカリコ

 イ・プラセェルに生息する水棲軟体動物(主に池や、川に棲む)。
 長さ10cm程度の筒状の胴体をしており、川の底にへばり付いている。
 透明度の高い水の中では、プリズムの如く光を偏光・反射する事から、観賞用動物としての需要が高い。
 プリズムの役目をする胴体は傷つき易い為、先端部の触手に針を引っかけて釣り上げる方法が一般的。
 アルはこれを釣る事を趣味とする。

聖化結界アルベド

 一定の区域を強制的に聖別する事により、神(或いは神に相当する何か)を降臨させる空間を作り出す目的に使用される結界。
 結界表面部は白色をしており、「ニグレド」とはコインの表裏と同じ関係を持つ。

聡明王

 現フィニステール王国の王位にある人物の尊称。
 優れた魔導師を多く輩出するフィニステール王国だが、王自らも魔導の力に富み、若き頃その力を国民の為に使った事からこの呼び名が付いたという。

ゾニア

 存在する上で活動領域に制限を受ける各種生命体を指す。
 人間を含む、マテリアルプレーンにおいて精神の器である肉体を持つ生命体のほとんどがこれに属する。

D−SPACE

 イ・プラセェルにおいて、ある種の力を持った存在同士の衝突の際に、聖化結界アルベド、及び暗黒結界ニグレドが自衛の為、その存在を中心とした一定範囲に生み出すある種の結界(その発生の有無はアルベド自身の危険判断に任せられる)。
 そのもの自体は半球状をしており、外部からは黒い半球体が存在する様にしか見えない。
 あらゆる攻性事象の外部波及を防ぐ能力を持っているが、内部に色彩がある事から光線等、外部からの干渉は可能と考えられる。
 D−SPACE内部の風景は結界内にいる存在の記憶が投影されているに過ぎず、その為か内部の存在を上回る力を持つものの干渉があった場合、投影風景は即座に変化する(但し、何れの場合もD−SPACEが形成された場所との空間座標値に差異はない)。
 因みに「D」は「DUNJIA」の略称。

フィニステール王国

 アルが属し、ダンザイバーとエリルを召喚した国であり、現在のイ・プラセェルにおいて最も古い歴史を持つと同時に、最大の領土を誇る。
 専制君主制を敷いているが、「聡明王」と呼ばれる王の元、国民は豊かな暮らしを保証されている。
 魔導師として優れた人間を数多く輩出している国でも有る(とは言え、召喚を一任されたアルを差し置いて、ダンザイバーを召喚、ユリィを封~強化媒体にする様な輩も存在する)。

封~強化媒体

 封~領域の安定・強化に使用される生命体を指す。
 エーテルを司る柱にある紺色の繭状物体「アカシャ」内部に閉じ込められた生命体は、自らの持つエーテルを吸収され、エルツヴァーユの「物体を存在せしめる力」を増大する為の供給源となる。
 イハドゥルカを閉じ込めた封~領域には、ダンザイバーのパートナーであるユリィが媒体として利用された。

マグ・メル共和国

 慧矢とライを召喚したイ・プラセェルにある国の一つ。
 およそ500年前に建国され、当時は共和制を敷いていたものの、野心ある一人の男によってそれは形骸化し、実質的には専制君主制と何ら変わりはない。
 50年前に一部の改革派が独立し、現在でも国境紛争を続けている。
 イ・プラセェルにおいて3番目の広さの国土を持つ。

メグ・メル真共和国

 50年前、マグ・メル共和国より独立したイ・プラセェルにおいて一番歴史の浅い国家であり、翠を召喚した。
 独立前の反省点から完全共和制を唱えており、真共和国の「真」の文字はマグ・メル共和国に対し、多分にアイロニーを含んでいると言える。
 マグ・メル共和国からの独立という事もある、他の3国に比べて国土は最も小さい。

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