天法院 慧矢

 

緋花飾(あけかざり)

 符を敷設する事で空中に五芒星を生み出すと、右手に携えた降妖杵が光となって各符へと分散する。
 後、宇宙の法則そのものといわれる大日如来の印相である智拳印、法界定印を結ぶと各符が梵字のア・バ・ラ・カ・キャ(地、水、火、風、空の意)に具象化し、光の奔流となって相手に突き進む。
 この光を受けた相手は、一時的ながら宇宙における自らの存在法則に外部干渉を受ける事で精神面、肉体面に大きなダメージを与えられる。
 尚、発動の際に慧矢が詠唱する「黒龍」とは、五行説から生まれた水氣を司る龍神を指しており、その韻を口にする事によって彼は射水からの五行属性「水」を強化し、呪術キャパシティを高めている。

印相

 本来は密教の仏像が手で表しているもので、これを結ぶ事により対応した仏や菩薩の力が得られるとされる。サンスクリット語の「ムドラー」の和訳であり、簡略して印と呼ばれる場合が多い。

陰陽師

 陰陽道の力を用いる者の略称。
 その超人的な呪術により、奈良・平安の時代には皇族、貴族、果ては時の天皇をも動かす存在として畏怖されてきた。代表的な陰陽師に阿倍晴明、芦屋道満がいる。

陰陽道

 古代中国の陰陽五行説に基いてこの世の森羅万象の理を読み解き、未来事象の予知、吉凶禍福の判断等を行い、それに対する呪術的処方を行う日本固有の魔術大系・思想の事である。
 現代に残る節分、雛祭りの風習や相撲の四股踏み等も陰陽道がその源流となっている。

陰矢禍(かげやじり)

 冥界の住人である「冥衆(めいしゅう)」を使役する技。
 芦屋道満が使役したとされる式神「三十六禽(36種の猛禽類)」の一つである鴉に酷似した外見を持つ。
 符へと使役された存在は黒炎に包まれており、非常に獰猛である。

繭乃鼓(かみつづみ)

 相手の体に呪符を貼りつけ、式鬼へと変化する為、呪符と接した相手の体表部は使役と共に式鬼に食いちぎられる。

九字

 横5本、縦4本の棒線によって構成される呪術図形である、魔を退ける効果を持つ。
 別名ドーマンと呼ばれ、これに対し五芒星の印をセーマンと呼ぶ(その語源はそれぞれ希代の陰陽師である阿部晴明と芦屋道満にある)。

降妖杵

 慧矢が用いる金剛杵の一種。
 現在、金剛杵は密教の代表的法具とされているが、本来はヴァジュラと呼ばれるインドの武器である。
 魔や妖のものを退けるのではなく、滅ぼすといった攻撃属性を多分に含む降妖杵は元々の存在目的に近い性質を持っていると言える。

五行相剋

 この世に存在する全ての万物・万象を成り立たせている木・火・土・金・水、5つの形態を対立関係により表した言葉。
 五行同士の循環頭は木→土→水→火→金→木となっており、これを理論体系化した物を五行相剋説と呼ぶ。
 中国の戦国時代に存在した思想家により纏められたとされる。

五行相生

 五行相剋とは異なり、五行同士の循環図を対立なく順次連鎖していく関係として表す言葉。
 木→火→土→金→水→木という循環になっており、これを理論体系化した物を五行相生説と呼ぶ。
 前漢時代の中国の儒教家により作られたと言われる。

式鬼

 式、もしくは式神とも呼ばれ、陰陽師は紙などに鬼神を使役し想いのままに操る事ができたという。
 代表的なものに阿部晴明が使役する十二神将、芦屋道満が使役する三十六禽が挙げられる。

嬬石 緋水佳(つまいし ひみか)

 慧矢にとって姉的存在であり、彼と同じく天法院の血を引く女性。
 25歳の時に天法院の使命の元、魔刃シャハル封滅の為にライと交戦し、死を得ないまでも生を奪われた存在となる(その際、彼女の魂はライの持つ魔刃シャハルに囚われ、身体は天法院の屋敷に安置される事となった)。
 現在の生死は不明。

嬬石 緋水佳・パーソナルデータ

年齢 29歳(肉体年齢25歳)

誕生日  5月 1日

出身 日本

身長・体重 168p・52s

BWH 85 61 76

血液型 A型

趣味 詩吟

好きな食べ物 慧矢の煎じた茶

好きなもの 慧矢・・・、雛人形

嫌いなもの 芯の弱い人間

天法院一族

 代々続く陰陽師の血筋を持つ一族。
 日本暗部の平定を請け負い、「異形」と呼ばれるものとの戦いを主としている。
 平時は日本有数の能楽の一門としての顔を持つ。

天法院 慧矢(てんぽういん けいや)

 陰陽道の血筋、天法院一族の次期当主。
 平時は能役者としての顔を持ち、両の面で次期当主としての期待を担っているが、極度の上昇志向の強さから血の束縛を良しとしない。
 また、自らを低く見られる事を非常に嫌う。
 唯一、心を開ける存在に「緋水佳」と呼ばれる女性がいたが、ある事件により彼女を失い、その原因となった「逆五芒の男」を探している。
 翠とは面識があるが、良い印象を持たれていない。
 基本的にスーツを着用している際は、常に右手をポケットに入れており、緋花飾を発動させる時のみ両手を用いる。
 ポケットに手を入れるという行動は、心理学において他者に対し心を開こうとしない証明と定義され、片手のみポケットに入れているという事実は、彼の不安定な心を顕著に表している(ポケットに入れていない左手はある特定の存在に対しての渇望と思われる)。
 尚、陰陽五行説における慧矢の属性は以下の通り。
五行…水
五神…玄武
五色…黒
五徳…智
陰陽…陰中の陰

天法院 慧矢・パーソナルデータ

コピー 闇を纏いし男

年齢 24歳

誕生日  2月 5日

出身 日本

身長・体重 178p・60s

BWH 87 78 80

血液型 AB型

趣味 煎茶

好きな食べ物 玉露

好きなもの 緋水佳、雛人形

嫌いなもの ライ、鳩、酒

天法院式格闘法

 その性質上、様々な状況下での戦いが想定される天法院一族自らが生み出した徒手空拳の格闘術であり、天法院一族の血を引く者はこれの習得を義務とされている。
 常人の活殺は勿論の事、異形の者との戦闘に用いる事が可能という前提に開発が行われた。

天法院式格闘法 参蹴法(さんしゅうほう)

 左足による連続蹴りを行う天法院式格闘法の技の一つ。
 対人戦の場合、そのインパクトポイントは人体の急所である仏滅(左脇腹)、夕霞(左側頭部)、天頭(脳天)にあたる。

天法院式格闘法 裏神楽(うらかぐら)

 相手の背面をとった状態で跳躍、中空で首を極めながら前方回転の勢いを利用して相手を投げ飛ばす技。
 元々は相手の正面から行う「(表)神楽」から派生したものであり、神楽を舞う様な流麗な動きからその名が取られたという。

「天法院掃魔奇譚 外伝」

第一夜「想」
     VS斎月 セツナ

第二夜「侠」
     VSガリィ・'バニッシュ'グレッグマン

第三夜「迷」
     VSアルティ・アル・ラーゼル

第四夜「義」
     VS完全懲悪ダンザイバー

第五夜「仇」
     VSエリル・プローズ

第六夜「縁」
     VS姫野 翠

第七夜「影」
     VS天法院 慧矢(人形)

第八夜「虚」
     VS幽祢

第九夜「願」
     VSラインドウェル・レインリクス

最終夜「結」
     VSイハドゥルカ

人形

 仮初めの命を宿らせた存在を指す。
 もしくは紙や木に人の姿を模した呪具であり、その使い方は目的の相手の魂を吹き込んだ上で破損させて呪詛する、体に触れさせる事で穢れや悪霊を移して川に捨てる等、多岐にわたる。
 後者の使い方の場合のそれは、「ヒトのヒナ型」としての意味を持ち、今の世にも続く雛人形の原形とも言われている。

鎮座柵(ましずめかご)

 地面を這う様に光状の五芒星を打ち出し、これに接触した相手を捕縛。
 相手の周囲の地面5ヶ所に独鈷杵状の光を相剋の順に打ち込むと、地脈より直上させた対立循環エネルギーでダメージを与える事が、相生の順に打ち込むと地脈を通して相手の氣を自らに取り込む事が出来る。
 慧矢が技の際に発する五龍とは、五行説の象徴とされる5匹の龍神を意味する。

瑞石榴(みずざくろ)

 任意の空間を歪曲させ、そこから独鈷杵状の光を相手に打ち込む技。
 独鈷杵とは金剛杵の一種であり、両端が一つの突起状になった法具を指す。

黒│櫻(みめよいざくら)

 左手の府により一定区域に闇を張り、相手に対して死角から打撃を叩き込む。
 発生した闇は相手の視覚を奪うのは勿論、自らの気配をも完全に断つ事が出来る為、捕縛された以上この技を避ける術はない。

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