経絡療法

 経絡療法とは、昔々の中国で集大成された(らしい)療法です。以前にやや流行していましたので、書店や図書館に行けばそれらしい書物をいくらでも目にすることが出来ます。


 経絡療法とは、約二千年ほどの昔に中国で著された「黄帝内経」等の書物を根拠とした療法です。とても古い古典でありますし、とても哲学的で難解な書物でありまして、中国でも多くの異なった解釈がなされ、当然、日本でも統一がとれている様には見えません。


 そこで、「かねこ整体流」経絡療法というものを簡単に記すこととしました。

 ます、中国哲学を語る上で避けて通れないのが「氣」であります。森羅万象、生きとし生けるものどころか、生きていないものまで含めて、「氣」の概念がその根底に横たわっているらしいのであります。


 生き物の場合は、ある特徴を持って「氣」が流れている状態が生きている証らしいのです。「氣」が止まったり、特徴を失えば、即ち、死んだということになります(たとえ心臓が動いていても)。


 ある特徴、というものを理解するために、またまた中国哲学上重要な概念、「陰陽」理論が出てまいります。全ての存在は、陰と陽に分かれる。従いまして、身体の「氣」というものも、「陰経」と「陽経」があることになります。
 「陰」と「陽」は、刻々と変化します(昼と夜の様に)。そこで、その変化の段階を「陰氣」の盛んな「太陰」、やや変化した「少陰」、変化が進み陽になろうとしている「けつ陰」と名付けました。同様に、「陽氣」の盛んな「陽明」、やや変化した「少陽」、変化が進み陰になろうとしている「太陽」と名付けました。


 こうして、氣の通路である経絡に「太陰」「少陰」「けつ陰」「陽明」「少陽」「太陽」の6経が出来たわけであります。


 ところが、この6経を更に2つに分けて12経としたものが、標準として用いられている十二正経です。そして、各経絡には何故か臓器名が附されております。また、関連性の高い経絡同士を「表裏」という名の基に、上記6経とは異なった分類もしております。更に、理解に苦しむのが、これも中国哲学の重要な概念なのですが、「五行」という概念によっても経絡を分類しているのであります。


結果として、私たちが目にするのは、


 陰陽による分類

      陰経               陽経
   太陰経(肺経・脾経)    陽明経(大腸経・胃経)
   少陰経(心経・腎経)    少陽経(三焦経・胆経)
  けつ陰経(心包経・肝経)   太陽経(小腸経・膀胱系)


 表裏と五行による分類

  五行    裏       表
   木   けつ陰肝経  少陽胆経
   火   少陰心経    太陽小腸経
   土   太陰脾経    陽明胃経
   金   太陰肺経    陽明大腸経
   水    少陰腎経   太陽膀胱経
   火? けつ陰心包経  少陽三焦経
  (五行と、六対十二種の分類なので、はみ出すのが当然です)  


といったものなのです。そして、経絡の氣の流れる順序がまた、身体を見ると納得できるのですが、分類としては首を傾げるものなのであります。


 従いまして、おそらく経絡療法とは、昔々に「氣」が見える達人がいて、その人が「氣の医学」を凡人にも理解できる様に纏めたものなのでしょう。纏めるにあたって用いたのが、当時の科学哲学領域の専門用語、即ち、太極、陰陽、五行、表裏、臓器名、だったのだと思います。


 経絡療法は遙か昔の医学であって、今では骨董的価値しかなく、根拠もなく、迷信である。などと言われながらも、現代まで受け継がれて来た理由がここにありそうです。


 自然治癒力の源になる力も、当然、生命力、即ち「氣」でしょうから、「氣の医学」によって自然治癒力は高められるものと思われます。その方法を、上記の様な「こじつけ」とも取れる基本概念で基礎付け、その上に様々な経絡療法を体系化して行ったと想像できます。


 医学も含めた科学一般が発達した現代では、基本概念その他が「根拠がなく、迷信」に見えるのは当然でしょう。それなりの効果が出るのは、
最初に技術があり、それを当時の言葉で説明したからに過ぎないからでしょう。


 経絡療法では、効く人と効かない人の差が大きい様です。しかしながら、これは現代の医療についても同様なことが言えると思います。ただ、血液検査もレントゲンもない時代に発達した療法ですから、経絡療法では手に負えないが、現代医療では治るのが当たり前、というものが多数あるのは当然と言えます。その結果、経絡療法は効くも八卦、効かぬも八卦という様な印象を受けるのだと思います。


 経絡療法は、遙か古代に集大成された医学なので、現代では病気や怪我を治す医療ではなく、健康増進法と言った方が良いでしょう。
 人間、健康ならば病気に罹り難く、病気や怪我の治癒も早いことは、日常的に経験できることであります。迷信だ、などと思わず、一度体験してみては如何でしょうか。


 かなり簡単に概念的に記してみました。とても一度には書き切れませんし、それだけで大部な書物になってしまいますからね。

 最後に、経絡療法などの自然治癒力を用いた療術法では、好転反応が出ることも留意しておいて下さい。


 治癒には次の二つの反応を必要とします。


@治癒に必要な身体の行動制限。例えば、足を挫いたら痛みを出して、痛めた足を使わない様にする。風邪を引いたら、怠くなって、節々が痛くなって、めまいがして、寝込む様にする。更に、寒気を出して、身体を温めることも要求しますね。 行動制限は、必要に応じて生じます。病気の軽重によって症状の度合いが違うことからも窺えます。


A治癒に必要な反応。発熱や発汗、食欲不振や腹下しなどですが、詳しく述べると現代医療と矛盾したりするので、ここでは控えます。


 この反応が、好転反応とかと云われているものです。治癒が活発化すれば、好転反応も激しくなります。経絡療法も、良いことだけではないのです。ご注意下さい。