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三翠志登茂会誌「志と茂」第2号(平成3年11月5日)より

会員ひろば

地球環境破壊に想う
−知識は増えてもわれら庶民何をしてよかいわからない−

[三重] 菊岡武男(土九回卒)


▽地球が危い

 地球環境破壊のことは連日われわれの耳目にふれていると言っても過言ではない。地球  
環境の危機は目前に迫っていると脅かされている。地球環境問題は、地球温暖化、オゾン  
層破壊、酸性雨、熱帯雨林の破壊、野生生物種の減少など広範囲に及んでいると言われる。
またこれらは互に深い係りがあり、多くの国に共通して発生する現象で、地球規模で影響  
し合うと言われている。                                                            

 しかも厄介なことには、環境問題の根本的な原因の一つとして、発展途上国における貧  
困と社会的不平等があると言われていることである。後述する国連環境開発会議の事務局  
レポートは「生計のために資源に依存している人々のことを考えない資源の保護と生産に  
焦点を当てた環境政策は貧困に拍車をかける、さらに「生産の基礎となる資源の長期的展  
望を考慮せずに物の生産拡大にのみ焦点を当てた開発政策は、いずれ生産性低下の問題に  
直面するであろう」と述べている。                                                  

 このような地球環境破壊、発展途上国に見られる貧困と環境破壊の悪循環メカニズムは  
一九七二年国連人間環境会議(ストックホルム会議)により発足した国連環境計画(UN    
EP)に基づく諸活動により逐次解明された。そして地球環境の破壊を加速したのは人間の  
歴史約四百万年の極くごく短いせいぜい過去三十年問の現象であって、この短期間に人間  
は萬物の生息環境を破壊の危機に陥らしめたことも明らかになったようである。          


▽地球環境破壊の元凶

 さて、われわれの日常生活を振り返ってみよう。それは贅沢な消費生活を扇動する経済  
体系に巧妙に組み込まれて身動きできない環境に取り巻かれている。われわれは目先のよ  
り便利でさらに快適な生活に眩惑されて、冷暖房等家電機器を増改設し、車社会への志向  
を強め、市場原理優先の使い捨て社会生活へ傾斜し、ライフスタイルは愈々飽くことを知  
らぬ快適希求へ向い突き進むばかりである。                                          

 かくして、われわれは日常ゴミ公害の問題にも加担しているのである。ゴミ処理対策に  
窮して家庭排出ゴミ有料化に踏み切った為、排出ゴミが二十四%も減少したと喜ぶ某市あ  
れば、同じ措置をして山林原野への不法投棄に手を焼く某町がある。またゴミ収集機関が  
ゴミ減量化・再資源化を狙って打出した規制のきびしいゴミ搬出方法をめぐり、住民から  
「家庭のプライバシーの侵害だ。」、「ゴミファシズムだ。」と騒がれている某地域もあ  
り、プライバシー保護は地球環境保護より優越した存在らしい。                        

 こうしたゴミ問題を煎じ詰めると、地球環境破壊に行き着くと専門家は警鐘を乱打して  
いるから、地球環境破壊の元凶は浅薄奢侈な消費社会、大量生産大量破棄生活、言うなれ  
ば裕福な国の浪費に埋没しているわれわれ自身なのであろう。                          


▽地球サミットは、われら庶民に何を教えてくれるか

 地球環境危機を叫び、豊富なデータを駆使してその原因・対策を論じている専門図書あ  
るいは啓蒙用図書をはじめ、これらに関する社説やシンポジューム等を見聞しても、地球  
を救うためのわれら庶民に対する具体的提言に接したことはない。日く「無駄にしない生  
活を、一人ひとりがゴミ減らしを、リサイクルの意識高揚を、ライフスタイルを変えよう、
身近かにできることから実行を、」等々抽象的表現で逃げていて歯切れは頗る悪い。地球  
環境破壊の知識は増えても、われら庶民はいま直ちに何をなすべきかに困惑しているのが  
実情であろう。しかし、地球環境破壊阻止の悲願に燃え、敬服すべき活動をしておられる  
多くの篤志家、団体があり感動を禁じ得ないが、日常生活を乱さずに直ちに容易に誰でも  
実行できるものではない。                                                          

 前述した国連ストックホルム会議(一九七二年)開催二十周年記念の国連環境開発会議  
(UNCED)が、明年六月ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催される。この会議は地     
球を救うための二十一世紀へ向けての最も重要な国際会議であり、政治的・経済的にどこ  
まで国際協調ができるかが問われているようである。それに参加するのは国連加盟国の元  
首、政府首脳はもとより国際諸機関、企業、民間グループ等実に広い分野からで、一説に  
は二万人にも達すると言われている。地球サミット(Earth Summit)といわれる所以であ  
る。                                                                              

 日本でも「九二国連ブラジル会議市民連絡会」なるネットワークを組織し、「地球環境・
私の問題・私の提案」と題した作文を募集し、また「地球のなかの私・私のなかの地球」な
る市民提案を企画し活動されている奇特な民間団体がある。                            

 地球サミットも資金協力をめぐる国際的・政治的駆引きや、高度難解な研究論文発表あ  
るいは高邁な市民提案の発表に終ることなく、われら庶民いま直ちに何をなすべきかという
実行可能な具体的提言を明快に示してはしいと念願してやまない。                      

 序に附言すれば、私はいま家庭ゴミのより分けを丹念にやっている。また今夏はクーラー
を使用せず辛抱しいささか地球に優しい行為をした。しかし健康を少し損ねたことも事実  
である。                                                                          

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