◆ SVCとKHV(CNGV)について

 

 

● KHV(CNGV)と並んで感染性が強く、注意しなければならない病気にSVC(Spring Viremia of Carp)という病気があります。SVCは、ヨーロッパ諸国やロシア、および中東で広がりを見せている病気です。現在のところ、国内での感染報告はないようですが、この病気も、KHV(CNGV)と同じように、水温が上昇し始める春先からの発生が危惧されますので、両者の違いを認識して、充分ご注意いただきたいと思います。

 

 ・ KHV(Koi HerpesVirus)は、現在、CNGV(Carp Nephritis and Gill necrosis Virus)と呼ばれ DNAウイルスによって引き起こされる感染力と死亡率の極めて高い病気です。

 

 ・ SVC(Spring Viremia of Carp)は、KHV(CNGV)に比べると、死亡率は高くはありませんが 感染力があります。40年以上も前から文献に記載されているといわれる病気です。

 

 両者の違いを、表にまとめておきます。

 

  

 

SVC(Spring Viremia of Carp)

(コイ スプリング ウィルス血症)

 

 

KHV(CNGV)

 (コイ ヘルペス ウィルス / 

コイ ネフライティス アンド ジル ネクロウシィス ウイルス)

 

 発見と報告

1971年にユーゴスラビアにて、最初の報告がされた。

鯉以外にも、金魚の発症が見られる。

1998年5月にイスラエルにて、最初の報告がなされた。

鯉のみに感染する病気。

発症と致死率
水温5℃で発病の報告があるが、一般的には、12℃から22℃のときが活発であり、KHV(CNGV)に比べるとやや低め。死亡率は、生育環境により違いが見られ、30〜90%と開きがある。 水温18℃〜25℃のときに発病し、そのまま放置すると死亡率は80〜90%に達する。
 発症時期

特に春に多い

春から秋までの高水温期

主な症状

池の底面部に集まる。もしくは横たわる姿が見られる。

また、不規則な泳ぎや、刺激に対する反応の鈍さがみられる。

外部の症状としては、

・皮膚が黒ずむ

・眼球が突出する

・皮膚やえら、眼球の出血

・えらが青白くなる

・白または黄色の粘液状の長い糞

活動が鈍くなり、水面上を泳ぐことが多く、水の取り入れ口などに集まる。また、突然に活動が激しくなったり乱れたりする状態がみられる。

外部の症状としては、

・エラ組織の破壊、粘液を含んだ表皮の出血

・ヒレの腐敗や変色

内部の症状には

・肝臓や腎臓の点状出血、低蛋白症、肝臓の機能障害がみられる。

病原菌

RNAウィルス

(ラブドウイルス:狂犬病を引き起こす菌と同種)

DNAウィルス

診断方法

PCR検査 PCR検査

予防

ウィルス感染鯉や感染した水等と接触しないこと。また、隔離や消毒は基本。 ウィルス感染鯉や感染した水等と接触しないこと。また、隔離や消毒は基本。

キャリア

死亡を免れた鯉がキャリアなのかどうかは不明 死亡を免れた鯉には、KHV(CNGV)ウィルスはないと言われているが、キャリアかどうかは不明。但し、無症候性のキャリアーだろうと推測されている。

感染鯉への対応

適切な飼育環境を作り、抗菌性のエサや抗生物質による治療により、70%以上の生存が可能といわれている。

10℃以下の低温、または30℃以上に水温を上げることにより、生存率を高めることが可能。

ワクチンが作られているが、国内では未取扱。

 

 

 

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