2004年に読んだ本
とりあえず机上で旅気分を味わいたい時には、やはりこの人の本である。『「旅とは何か」とあらたまって考えてみると、「日常性からの脱却」という真理に突き当たる』とは本文中で著者が記していることであるが、つまりなにも時間とお金をかけて遠くに行くことだけが旅ではないのである。本書の中で著者が鉄道を使って、あるいは鉄道にちなんで訪れた土地は、遠くは北海道の稚内や利尻・礼文という島に行ったかと思うと、近くはJR八高線、北総開発鉄道(現・北総鉄道)や千葉都市モノレールといった近場(著者は世田谷区在住だった)もあり、あるいは阪神間の私鉄乗り比べなどもあって、日常使っている通勤電車でも充分に旅気分が味わえるということを身を以て示している。ワタシも京浜工業地帯を走るJR鶴見線(本書でも取り上げられている)に日曜日に乗りに行ったことがあるが、ほとんど人の姿のない静かな工業地帯をのんびりと走る電車(車輌自体はあまり面白みはないが)にちょっとした旅気分を味わったものであった。
ダーク・ピットシリーズ16作目、今回の敵役はアメリカ人である。さすがに全地球規模の災いを引き起こすプロットを考えるのは、いかなカッスラーといえども疲れたのか(笑)。しかしまぁ、よくもダーク・ピットの近くでいろいろと惨事が起こるもんであるが、これは物語を作る上では仕方があるまい(これを『ご都合主義』という)。そんなことより読者は、次々起こるピンチをピットがいかに切り抜けるか、その過程を素直に楽しむのがいいのである。安心して楽しめる冒険小説をどれかひとつ挙げよ、と言われたら迷わずこのダーク・ピットシリーズであらう。(^o^)
有名人と思っていないのは本人だけ、なシーナの日々を綴る週刊誌連載のエッセイを纏めたものである。半径10mくらいの範囲内に見える様々な問題に怒ってみたり達観してみたり頑張ってみたり、とこともなく過ぎていく日常を淡々と描写していくのだが、そこはワタシが日本の名エッセイストベスト3を挙げよと言われれば迷わず推すくらいのエッセイの達人、読んでいてちっとも退屈しないのであった。(^o^)
『正義の雷鳴』、『怒りの咆哮』に続く“第14空母戦闘群”シリーズの3作目。この作品では、前2作で北朝鮮、タイ・ビルマ(ミャンマー)国境地帯と戦ってきたアメリカ海軍空母ジェファーソンを中心とする第14空母戦闘群が、なぜかそのままアラビア海にまで進出している。これだけ戦ってきたら普通は補給と休養のためいちど本国(せめてハワイ)に呼び戻されるんでねーの? と思わないでもないが(あるいは世界一周航海中?)、とにかくそのアラビア海で今度は印パ戦争に巻き込まれてしまうのである。しかもインドに侵略されたパキスタンが核兵器開発に成功したと発表したのであるからさぁ大変、核兵器の応酬となり兼ねないこの状況を我らが第14空母戦闘群は、空母ジェファーソンは、そしてトムキャット・スコードロンVF-95“バイパー”飛行隊隊長、マシュー・“トゥームストーン”・マグルーダー少佐はどう切り抜けるのか。
舞台は大分県由布院温泉と熊本市。江戸川乱歩に封印された幻の作家の小説の真相を探る、現代の作家志望の青年を巡る事件の謎を『小泉八雲殺人風土記』でデビューした雑誌編集者・服部健太郎と妻の知香のコンビが鮮やかに解いていく。今回も由布院温泉や熊本市街の描写がトラベルミステリー的雰囲気を醸し出してくれる。事件の解決にちょっとご都合主義が垣間見えるのは仕方がないところだが、それでも今回のはかなり意外な結末であった。相変わらず辻氏の作品はサクサク読めて楽しいものである。
言ってみれば『裏中国史』である。学校の世界史の授業では決して教えてくれない、中国という国とその国を為す人々が辿ってきた「陰の姿」を白日の下に晒し、学校教育やマスコミの報道などで培われた「陽の姿」と合わせ観ることによって、今の中国という国をきちんと理解しようというのが本書である。
堅い本の後は柔らかい本を。去る7月26日に惜しまれつつこの世を去った著者の追悼を兼ねて読む。実は初めて読むらも作品だったり(爆)。ひょんないきさつで事務所で飼われることとなった雑種のメス猫“とらちゃん”への愛をエッセイと写真で語る、というような本だと思って読み始めたのだが、どうも違ったようだ(笑)。なぜならとらちゃんは不在が多い著者より事務所の大家さんのトコロに入り浸るようになってしまったからである。なので本の内容は、著者の日々日常を綴った中にとらちゃんネタが混じる、という感じになっているのだが、おかげでワタシの日常とは対極と言っていい、舞台俳優兼ミュージシャン兼作家兼タレントの日常を垣間見ることが出来たような気がする。こういう毎日を過ごしていると朝日新聞に連載されていた『明るい悩み相談室』(朝日文芸文庫、集英社文庫)のような軽妙な回答がひねり出せるのだなぁ、と素直に感心したものである。合掌。(_人_)
かの大戦を偲ぶ書を読む。“蟷螂の斧”という言葉がまさにピッタリの日本陸海軍航空隊の有様を改めて思い知らされるのである。日米の絶望的なまでの工業力の差の前に、我が国ができたことといえば愛国の志に燃える若者を一機一殺の攻撃に送り出すことくらい。本土防空の重要性を最後まで判っていなかったのならまだ諦めもつく。途中で気が付いたのなら、何故その時にすぐ対策を講じなかったのか、と無念の思いが沸々とわき上がってくるのである。
・・・暑い。今年の夏はアヂ〜! 冷夏だった去年と足して二で割ってくだちい。ということで、本来ならこの時期戦争モノを読むところ、その前に涼しくなりたくてこの本を読む。やっぱり水面上1メートルの世界は涼しそうである。日本の、そして海外の川で、相棒のカヌー犬・ガクや気の合った仲間達と、あるいはひとりで気ままに川旅を楽しみ、そしてその楽しさをたくさんの人に伝えようとするその姿には感動すら覚えるくらいである。それに引き換え、日本の役人ってやつは・・・。(-_-;)
長く重い本のあとは爽やかで軽い本を。ということでショージ君である。取り上げられているのは例によって庶民的な食べ物なので安心(笑)。しかし見慣れたハズのあの食べ物が、ショージ君の手にかかると『をを、こんな見方もできるのか!』『なんと、実はこの食べ物はこんな意図を隠していたのか!』と新鮮な感動を覚える素晴らしい食べ物に一変するのである。ただ問題は、この“素晴らしさ”はいささか“可笑しさ”寄りなので、時にその食べ物を目の前にすると思い出し笑いをしそうになるのが欠点なのであるが(笑)。
合衆国崩壊(1)〜(4) トム・クランシー/訳・田村 源二:新潮文庫:\743(1〜4巻とも):1997年12月1日発行(1,2巻),1998年1月1日発行(3,4巻)【カバーイラスト:佐竹政夫】
![]() いやはや長かった。各巻とも500〜600ページもある長い物語であるとはいえ、またこの半年のうちに読書に宛てられる時間が若干減ったとはいえ、読み終わるのにぴったり7ヶ月もかかってしまった。もはや第1巻あたりの細かい内容など忘れてしまっているのだよ。(^◇^;) |