この値は「高気密」に関わっているので、イメージとしては外部と内部の空気がいかに断絶されているか、という値になります。C値が0だと家の中にしばらく居ると酸欠で死んじゃう??? そんな感じがします。
でも実際には法律で義務付けられる前から高気密住宅には24時間換気システムが付いていますから、吸気口や換気扇(排気口)が付いていて換気されています。つまり、通常の使用時には外部と内部の空気の入れ替えをするような設計になっています。・・・これでは全然(イメージされる)高気密ぢゃ無いですよ! どうせ空気を常に入れ換えているのならC値なんてどーでも良いのでは?
では何故C値が小さい方が良いのでしょうか?その理由を少し考えてみました。
(1) 断熱のため
(2) 計画換気をするため
(3) 壁体内の防湿のため(結露防止)
理由を検証してみます。
(1) 断熱のため
隙間風は寒いので・・・。
→ しかし給排気口は熱交換型では無い家が殆どです。吸気口から外の空気が直に入ってきます。これでは、どこから風が来るかだけの問題ではないかと思えますね。
そう考えると、熱交換型換気をしない限り、ある程度以下のC値が確保されていれば、それより値がどんなに小さくても断熱への寄与は少ないと言えるでしょう。
(2) 計画換気をするため
空気が吸気口から換気扇に流れて欲しい。他の所から出入りがあると空気の流れが乱れるから。
→ 高気密住宅の現場C値測定で、窓までテープでシーリングしてC値を測定しているのを見た事がありますが、それでは意味無しです。給排気口以外はそのままで測らないといけません。但し常時運転しない局所換気は塞がずに測定するのが正式だそうです。C値が低ければ風の流れや換気扇の換気能力の計算がし易くなりますが、そこまで間取りが異なる個々の家で個別に詳細に計算して設計しているかどうかはやや疑問です。理由のひとつではあると思います。C値が十分に低いので、簡単な(能力の低い)給排気システムでも計画換気が可能、という話は出来るでしょう。ちなみにC値がある程度より高いと計画換気が事実上不可能になるそうです。この場合は空気のよどみによる結露やカビの発生に注意です。
(3)壁体内の防湿のため(結露防止)
壁体内に湿気が入らないようにシーリングしている防湿シートやコーキングの性能を確認する。
→ 今はおそらくこれがC値測定の理由の最も重要な項目なような気がしています。しかしこれを考えて測定をしているビルダーは、そう多く無いような気がします。
防湿シートやコーキングは経年劣化で破れます。初期値にどれだけの意味があるのかも考える必要があるかもしれません。
結論としては、C値は高気密という言葉から受けるイメージとは違って、結露やカビの発生を避ける性能を確認する為の「間接的な」指標、という要素が強いと考えられます。少なくとも「C値が低いから高気密高断熱で冬暖かく夏涼しい」という言葉は間違いですね。