手持ちぶさたな手

思いついた瞬間は素晴らしい名案だと思っても、いざ実行してみるとまったく無意味だった、ということがよくあります。今回はそんな話をひとつしようと思います。

幼稚園に通っていた頃の僕は身体が弱く、特に両肩の脱臼がクセになっていて、ちょっとした衝撃でも肩が抜けて病院のお世話になっていました。それこそ運動会のあと、そのまま救急車で病院送りなんて日常茶飯事でした。

そんな僕が、左右の手でお互いの手を引っ張り合いしたら両肩が抜けるんだろうか? という疑問にぶち当たったとしても不思議ではないでしょう。すぐさま実行に移してみると、予想通り、見事両肩の脱臼に成功しました。

疑問を解決したまでは良かったんですが、そのあとが大変でした。両肩が抜けてしまっているので、何もできない状態に陥ったのです。これは焦りました。

家族は家を空けていたので助けを呼ぶことが出来ない。救急車を呼ぼうにも、電話のダイアルを回せない。結局、親が帰ってくるまで、俺は両腕をブラブラさせて待つしかありませんでした。

この辺の出来事が原因かどうかはわかりませんが、今でも腕をめいっぱい伸ばすと「メキメキ」と嫌な音がするため、周りからたいへん気持ち悪がられます。