働く僕

実力重視の世の中になってきたとはいえ、入社の狭き門をくぐるにはまだまだ学歴が重視される今日この頃。「学歴は大切やから大学に行っといた方がええよ」と言う親父を尻目に高校を出てはぶらぶらし、専門学校を出てはぶらぶらし、結局僕は専門学校で習ったことを何一つ生かせないまま社長が6,000本以上のゲームを所持しているという理由で就職先を決めました。

就職後すぐに自分の会社から別の会社へ出向して、早4年が経ちました。今や出向先で馴染みまくり、先日も数期上の正社員の方に「君は何年の入社だったっけ?」と聞かれてしまいました。僕、社員じゃないんですけど。

出入りの激しい業界に長年いると、外注とはいえ正社員と同じかそれ以上の地位を与えてもらえるようになります。なわけで僕は、海外チームのリーダーとして毎日何百頁もの英文を読んでます。英語を話せないので読んでも意味は理解できませんが。

僕が職場でやっていることといえば、アルファベットの列を眺めたり、とても難しい長文でゴメンナサイと書いたり、フロアに湧いたアリをantquariumに入れて眺めたり、リーダー権限でチーム内の着うたを特撮ヒーローのみに限定しているくらいでしょうか。後半の方はほとんど仕事と関係ないですね。

おかげさまで僕のチームでは20代そこそこの女性が電子戦隊デンジマンや仮面ライダーのオープニングソングをガンガン鳴らしているという珍しい光景が見られます。

普段はずっと出向先で働き、自社に戻るのは年に1~2回程度の僕ですが、社長とは仲がいいのでよく自宅まで遊びに行きます。そこで社長のお子さんとゲームで遊んだりするわけですが、小さな子供というのは歯に衣着せぬ物言いをするものです。

「なあ、もさゆらくん。このハゲどうしたん? なあ、このハゲどうしたん?」

周りの凍り付いた空気をものともせず、僕のおでこをペチペチ叩きながら聞いてきます。社長は「いやーさすがのワシもドキッとするようなこと言うわ」とかいいながら大喜びしています。お子さんはさらに近所の友達を呼んできて、

「ほら、この人、デコ広いで」

と宣伝してくれたり、「デ~コひ~ろし、ニャー」という替え歌まで作ってくれたりしました。

ちなみに僕はもともとおでこが広く、高校時代は太陽というあだ名で呼ばれていました。

授業中、教師に当てられて答えがわからなかったとき、「先生、今日は曇りなので力が出ません」と言ったら、「おお、言われてみればそうやな。ほな、その後ろ、答えなさい」とあっさり僕の主張が認められた時には自分でも驚きました。

今は単純にハゲてますがたいして気にしていないので、職場のみんなも「そのおでこの広場は天然ですか? 年々広がってるんですか?」とか「初めて会ったときはもっと髪がありましたよね?」とか「おでこの両端の後退が進んだら、真ん中に離れ小島ができそうですね」とか気軽すぎるやろというくらい気軽に話題を振ってくれます。

そんな折、僕は職場のサーバの中に「hionode.jpg」と名付けられた画像を見つけました。日の出? はて何だろうと思って開くと、モニターの上部からはみ出た僕のおでこを正面から捉えた写真でした。

よくよくサーバを探すと、僕のおでこから上を他人のおでこから上と合成した「shokumou.jpg」という画像も見つかりました。誰ですか、こんな画像を撮ってバラまいてるのは。普通のハゲなら泣きますよ。

今回は社会人になってからの僕の働きぶりを書こうと思ってたのに、後半からどんどんハゲの話題に移ってしまいましたのでこの辺で終了します。タイトルも「働く僕」よりは「ハゲゆく僕」の方がしっくりくる気がしないでもないですね。

僕、立派に頑張ってるよ! という話は次回に持ち越します。会社というものは学生の頃に考えていた場所より遙かにのほほんしてますね。昔は働き出すのが嫌でしたが、今は働いているのがとても楽しいです。