聞かぬは一生の恥

僕がまだ高校生の頃だったと思います。ある日、うちに一本の電話がかかってきました。当時僕はうちの電話を自分の部屋まで引き込んでいて、電話がかかってきたら1コール以内に取って相手を驚かせるのが趣味でした。

僕は受話器を取って名前を告げました。相手も応じてきます。

「もしもし、○○ちゃん? 私が誰だかわかりますか?」
「え、ええ、いつもお世話になってます」

実は全然わかっていませんでしたが、僕のことを下の名前で呼んでいたので親戚だろうと思い、調子を合わせてしまいました。

「弟君はいますか?」

親戚が弟に用事とは珍しい。と思いながら、弟を呼んで受話器を渡しました。

妙になれなれしい会話を終えた弟に、僕は聞きました。

「なぁなぁ、今の誰?!」
「ん? お母さん

僕は母親に向かって、思いっきり敬語で対応してしまいました。