散髪屋さんの語らい方

職場に近い場所へ引っ越して3ヶ月が経った頃。僕は伸びきった髪を切るため、新居の近くにあった散髪屋さんに足を踏み入れました。

店長は年配にさしかかったおじさんでしたが、ハサミを握っているのは今風のいわゆるイケメンお兄さんばかりです。僕が今まで通っていた「家族でやってます」的な散髪屋さんとは、ずいぶん様子が違いました。

「いらっしゃいませ、今日はどのような髪型にいたしましょう?」
「横は1枚知らない人のために一応説明しておくと、1枚は長さ1mm。2枚だと2mm。。上は長めの角刈りで」

社会人になってからはさすがにスキンヘッドを通すわけにも行かないので、(この頃は)角刈で妥協していました。世間話をしながら髪を切ってもらっていると、散髪屋さんのお兄さんがにこやかな顔でささやきました。

「普通はお客さんにこんなこと言えないんですけどね。お客さん、頭の形が悪いですね」
「放っといてください」

僕の頭は散髪屋さんが苦手とする形をしていますが、スキンヘッドにすると綺麗に整って見えるんです。

そんなことより、普通は言えないコトをなぜ僕には言えるのでしょうか。念のため断っておきますが、僕はここの散髪屋さんに来るのは初めてです。常連客でも何でもありません。

そうこうしているうちに髪を切り終え、お兄さんはヒゲ剃りの用意を始めました。カミソリを頬に当てた途端、お兄さんは軽く叫びました。

「うわっ! お客さん、ビックリするくらい肌が弱いですね」
「だから放っといてください」

好きでカミソリを当てるたびに流血しているわけではありません。

結局、こういったやりとりが散髪を終えるまで続きました。このお兄さんは思ったことをズバッと口にしますが、物腰は丁寧でおもしろかったので、また髪が伸びたらここに来ようと思います。

別に狙ってるわけではないんですが、というか狙ってできることでもないんですが、僕が行く先々の店には、かなりの高確率で一風変わった従業員さんがいるようです。