新聞勧誘だって戦う

新聞勧誘といえば昼間の天敵。僕も独り暮らしをしていた頃は各新聞屋が頻繁に訪れてきました。

契約を断ると、いきなり世間話を始めて親睦を図り、そのまま契約にもっていこうとするのはお馴染みのパターンですね。放っておくといつまでも取れ取れと五月蠅いんで、ウチでは新聞を取ってあげることにしてます。ええ。断ったりしません。ただウチにはウチの事情がありますんで、ある程度の条件は付けます。

「ウチの新聞取ってもらえませんかねぇ」
「ええ、いいですよ」
「そうですか! ではさっそく契約を…」
「ただ家の者はちょっと目が不自由なんで、点字新聞でお願いしますね」
「はい、ありがとうございます。手配させて頂きます」

ここで勧誘員は会社の方に電話をかけて、点字版の配達を依頼します。でもね、点字版を扱ってるのは毎日新聞だけなんですよ。他の新聞屋に点字版はありません。この後どうなるか、結果は見えてるんですよね。

「すいません、ウチ(新聞社)では点字を扱ってなくて…」
「何言うてんの、せっかく新聞を取ってあげる言うてんのに」
「しかし点字の方を扱ってなくてですね」
「あんた、さっき『ありがとうございます』言うたやないの。自分トコで何扱ってるかも知らんの?」

親父の言い分ももっともです。ここで大抵の勧誘員は逃げ出そうとします。

「はい、申し訳ございませんでした。では失礼します」
「失礼しますってアンタ。いきなりやって来て、さっさと帰る方が失礼やろ?!」

引き留めます。

息子の僕から見てもタチが悪いです。相手はもう泣きそうな顔になってます。この後も親父は勧誘員と戦い続けるわけでが、その辺は割愛します。で、しばらくするとまた別の勧誘員がやって来ては、同じようなやりとりが毎回繰り返されるわけです。改めて読み直すと、営業マンの悲劇がテーマみたいにですね、これ。