出生について

うちの家族は、みな背が高くて恰幅がいいです。背が低く痩せているのは僕だけです。小さい頃はよく、チビチビとからかわれました。家族の中で僕だけが異色の存在でした。

なぜ僕だけが違うのでしょうか。僕の疑問にことごとく答えを与えてくれた物知りの親父です。きっと今回も明快な答えを出してくれるでしょう。

親父から返ってきたのは、またしても驚くべき事実でした。

「近所の川をな、段ボールに入って流れてきたから、拾ったねん」

僕は捨て子だったのです。段ボール詰めにされて川を流されてきたのです。ちなみに僕ん家は海のすぐそば。川は河口です。親父に拾われなかったら、僕はそのまま海を漂う運命だったはず。親父は命の恩人だったのです。

しかし、さすがの僕もこれくらいの嘘は見抜けました。親父が驚くべき今の心境をも語ってくれるまでは。

「そろそろ飽きたし、川へ戻しに行こうかと思ってんねん」

これは効きました。痛恨の一撃です。親が子供に冗談で「拾ってきた」と言うことはよくあると思います。しかし、「戻しに行く」とダメ押しをする親はあまりいないと思います。結構ひねりが効いています。

この一言は親父の中でも傑作だったらしく、以後何かにつけて口にするようになりました。