暗闇のなかで

僕のお仕事は波が大きく、リフレッシュ休暇で1週間くらい休めるときもあれば、突然仕事が舞い込んできて徹夜することもあります。忙しいときの仕事量が半端ではなく、立場上最後まで会社に残っているコトが多い僕は終電に乗り遅れてしまうことが多々あったので、職場の近くに引っ越したほどです。

今回は終電に乗り遅れてしまった同僚を泊めてあげたときのお話です。

同僚は僕の住むマンションについた途端、口を開きました。

「シャワー貸してください。ドライヤーはドコですか?」
「今、何か言いましたか?」
「いえ…」
スキンヘッド画像

同僚の言葉に振り向いたのは、スキンヘッドの僕です。ドライヤーなど持っていません。でも何故かトリートメントは持っていますのでご安心ください。

当時は真冬の寒い時期だったので帰宅後すぐにエアコンを入れ、コーヒーメーカーのスイッチも入れ、コーヒーを淹れ終わるまでTVでも観ようとリモコンのスイッチを入れたとき、ソレは起こりました。

いきなり「バンッ!」と大きな音がして、電気が落ちて真っ暗闇になったのです。

手探りでブレーカーを調べましたが全部「入」でした。室外ブレーカーがあるのかと思って外に出ましたが見つかりません。マンションの廊下は明かりが付いています。ウチだけどこかの回線がショートしてしまったのかもしれません。

明かりになるものは何かないかと探して見つかったのは…アロマキャンドルが1つ。コタツの真ん中に立てました。揺れる炎の向こうに照らし出される同僚の顔と、辺りに漂う甘い香りがムード満点です。

同僚がでなければ。男ふたりでこんなムードは嫌すぎます。

このままでは寒いし風呂にも入れないし大変です。深夜なので管理人に電話するのも気が引けます。ハローページで24時間サービスの電気工事屋を探して電話をかけました。

誰も電話にでません。

どこが24時間年中無休なんでしょうか。電話に出ないなら電話番号に24なんて数字を入れないで欲しいです。「電話にでんわ」と言いたくてたまらなかったのですが、同僚の心境を考えてココはグッと抑えました。

あとから知ったのですが、この日は今年一番の寒波だったそうです。とにかく寒いのに暖房もナシ、風呂もナシ、寝ようとしても1人分の布団しかありません。我が家で一番暖かいであろう毛布とタオルケットとコタツ布団を同僚に渡して、僕はたまたま持っていた恐竜の着ぐるみで寒さをしのぐことにしました。

「その緊張感が抜ける格好は何とかなりませんか」
「今、何か言いましたか?」
「いえ…」
着ぐるみ

同僚の言葉に振り向いたのは、かわいい恐竜の口からのぞく人相の悪い僕です。

着ぐるみは暖かいのですが、尻尾と背びれが邪魔で寝にくいこと、この上ありません。家電好きが泣いて喜ぶ我が電子の要塞は停電に無力でした。

翌日、昼休みにマンションへ戻って管理人さんに調べてもらったら、集中管理用のブレーカーが落ちていたようです。ブレーカーの入れ方を教えてもらって一件落着しました。