2009年の夢日記

12/26

新しい職場

※今回の夢にはMHFの専門用語が多く出てきます。

今日から新しい職場に配属された。まずは応接室に通され、現場責任者から仕事に入る前の注意事項などを説明される。僕を含めて4人ほどの新人がノートを広げて話を聞く体勢に入った。

「まずはじめに、みなさんには双剣を装備していただきます」

メモを取ろうとした手がいきなり止まった。双…なに? 今、双剣って言った? 僕、開発案件だって聞いてきたんだけど。双剣と何の関係が? 頭の中に「?」がたくさん浮かび上がる。

僕の疑問を余所に説明は淡々と進む。説明が終わると実際に作業する現場へ案内された。

「ココが今日からみなさんに活躍していただくオフィスです」

白を基調とした広くて清潔そうなオフィスは個人ごとにパーティションで区切られ、デスクには最新式のPCとモニタが置かれている。

そしてデスクの前には、両手をまっすぐに伸ばして回転しながら飛び跳ねるスーツ姿の社員たち。

変だ。変すぎる。

「普段は←か→ですが、納期前には連続↓も行います」

現場責任者は社員たちの間をくぐり抜けながら説明を続ける。思いっきり引いている僕の態度に気づいてほしい。

しばらく歩を進めた現場責任者は、主不在のデスクの前で立ち止まった。

「ココがあなたのデスクです。さっそく作業に入っていただきましょう…これを」

現場責任者から一対の双剣を手渡された。

「これってラファ…」
「鋼龍双です」

間髪入れずに訂正された。

「ですよね~。あはっ、あはははは」

よくわからないまま、とりあえず愛想笑いでその場を取り繕う。現場責任者は僕の態度に怪訝な表情を浮かべながら立ち去っていく。

ひとり残された僕は手渡された双剣をしばらく見つめ、やがて意を決してモニタを切り刻んでいくのだった。

11/13

王様の耳はロバの耳

社長からトンでもない会社の秘密を教えられた。

「決して他言しないように」

そう言われると言いたくなる。

言いたくなる。言いたくなる。そうだ。誰もいないトコロで叫べばいいんだ。僕は郊外まで出向き、マンホールのフタを開けて大声で秘密を叫んだ。

下水道にはたくさんのホームレスが雨露をしのいでいた。

11/12

どこにでもある

どういう訳か、砂漠のど真ん中に迷い込んだ。暑さで脱水症状を起こしそうなので、オアシスを求めて歩き始めた。

暑い。ノドが乾く。このままでは死ぬ。もうダメだ。

と思ったので近くのコンビニでペットボトルの水を買った。そしてまた、水を求めて歩き始める。

10/13

宮本町

大阪府岸和田市のドコかでヒトリ暮らしをしている僕。だんじりが近いので、町名の書かれたはっぴを着て、毎朝ドコからか湧いてくる大量の綿ぼこりを掃除していた。

そこへ、同じくはっぴを着た弟が訪れてきた。

「兄ちゃん。僕、昨日、宮本町へ行ったときに宮本町を見かけたねん」
「宮本町で宮本町を見るんは当たり前やろ」
「ちゃうねん!!」

そして弟は驚くべき事実を語りはじめた。

数年前、僕は親父との反りが合わなくて実家を飛び出した。そんな僕のコトを親父は心配していてくれたらしい。心配して心配して、心配しすぎて、とうとう宮本町になってしまったそうだ。

親父は今も宮本町のドコかを宮本町の姿で彷徨っているらしい。

知らなかった…。僕は部屋の隅に視線を向けた。実家を出るとき、「いつか必要になるときが来るから」と親父に無理矢理持たされた固定回線用電話機が涙でにじんだ。

弟が帰ったあと、僕が家を飛び出すときに親父が投げかけた言葉を思い出しながら歌にした。

(うた)はじめて彼女の自宅にお邪魔するときぃ~
(うた)裸足だとカッコ悪いのでぇ~
(うた)靴下は毎日ちゃんと履いておきなさいぃ~
(サビ)ちゃんと靴下を履いてお邪魔できたらぁ~
(サビ)そのときはぁ~一緒に酒でも飲もうぅ~

作詞・作曲 ゆめのなかのぼく 歌 ゆめのなかのぼく

09/28

学校の怪談

「廃校になった小学校から荷物を運び出すので手伝って欲しい」

廃品回収業者を営んでいる友達に頼まれた。荷物の運び出しは日が暮れてから開始するそうだ。

廃校舎は都心の中にあっても不気味さが漂うが、管理会社が事前に電気を通してくれていたので作業に支障はない。

玄関は校舎の中心にある。玄関を基準に右側の教室を友達が、左側の教室を僕が担当するコトになった。

教室に入り、明かりを付け、荷物を運び出す。作業は順調にすすみ、3階の奥にある教室に足を踏み入れた。

すぐに足をとめた。

どうもオカシイ。寒気もする。ココは、今までの教室とは何かが違う。僕は明かりを付けるのも忘れ、違和感の原因を探そうと教室を見渡した。

窓から差し込む月明かりが、今までの教室より幾分広い空間を映し出す。もともとは音楽室か美術室か…そんな感じだ。教室の奥から黒板の前へと視線を移す。

子供が立っていた。

なぜこんな時間に子供が…。暗くてよく見えない。明かりを付けようと思って蛍光灯のスイッチを見た。ぜんぶで3つある。それぞれのスイッチの下に文字が書かれている。蛍光灯の配線が前、中央、後にでも分かれているのかな。顔を近づけて左から順に文字を読んだ。

スーパー 巴投げ アタック

わけがわからない。

「スーパー」のスイッチを入れた。明かりは付かない。子供がうずくまった。

「巴投げ」のスイッチを入れた。やはり明かりは付かない。子供が四つん這いの姿勢になった。

「アタック」のスイッチを入れた。子供は何かにはね飛ばされるかのように、突然、巴投げされる体勢で窓の外に飛んでいった。

「うわあああああああ」

あまりの恐怖に悲鳴を上げてしまった。僕の悲鳴を聞き、別の場所で作業していた友達が駆けつける。

僕は素早くスーパー巴投げアタックのスイッチを押した。

「どうしたぁぁぁあああああああ…」

友達は窓の外へ飛んでいった。どうした、というかけ声は途中から悲鳴に変わっていた。

09/19

4次元空間

頑張って働いて貯めたお金で2階建ての一軒家を中古で買った。平屋で生まれ育った僕は2階建ての家に住むのが夢だった。

うれしくって、玄関を入るなり階段を駆け上がった。2階のドアを開けた。

ゴジラと目があった。

デカい。殺される。ドアを閉めた。家の外に出た。ゴジラはいない。もう一度家に入り、2階のドアを開けた。

ゴジラがいた。

おかしい。なんで部屋の中に収まってる。サッパリわからない。

08/26

ドラゴン付箋紙

7つ揃えると願いが叶うと言われる付箋紙を求めて世界中を旅し、手に入れた付箋紙をシステム手帳にペタペタ貼っていく。

6つ集めたトコロで、付箋紙を狙う悪の組織が現れて人質を取られた。

「人質の命が欲しければ付箋紙を渡せ」

人質の命には代えられない。僕は今まで集めた付箋紙付きのシステム手帳を差し出した。

「この手帳は…本革じゃなく合皮だな!!ゆるせん!!」

付箋紙とぜんぜん関係のない部分で悪の組織を怒らせてしまった。

07/04

新しくて古い日本

政権が民主党に交代した。「古き良き日本を取り戻そう」というスローガンのもと、日本中の水洗トイレがボットン便所に置き換えられた。

困ったのが高層ビル。最上階までのすべての便所から1Fの便槽までまっすぐな空間を確保しないといけない。

最近日本へ海外出張にやってきたアメリカ人がビルの最上階にあるボットン便所を見て首をかしげた。

「オゥッ。コレハ何デスカ?」

そして便所の中へダイブした。しばらく落下音が続いて、ボットン。

「ノォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

悲痛な叫びが聞こえた。

04/29

横取り

空港で、タバコの自販機にお金を入れた瞬間、背後から手が伸びて勝手にタバコを買われた。

振り返って文句を言ったら、相手は外人さんだった。出発の時間が迫っていて、順番待ちする余裕がなかったらしい。わかるような、わからないような理屈。

「モウ時間デス。オ金トリニキテクダサーイ!!」

搭乗口に向かって猛ダッシュしながら叫ぶ外人さん。

「取りに行くってドコへ?!」
「バングラデシュ!!」

無茶を言う。

03/30

ゴックンはしました

「コーラの試飲です。よかったらど~ぞ」
「あ、どうも」

高島屋の最上階で売り子から紙コップを手渡された。しかしやけに量が少ないな。とりあえず飲んだ。

「実は醤油です」

ぶふぉーっ!!ガブ飲みしてもたがな。

蛍の光が流れ出した。閉店時間だ。醤油を飲んで嘔吐えずいていたんで帰宅ラッシュに乗り遅れた。エレベータも階段もヒトがいっぱい。最上階だから身動きが取れない。

ふと建物の隅を見ると、ヒトの並んでいない古びたエレベータが見えた。ラッキー。誰も気づいてねーや。コレで1階まで降りてしまおう。

中に乗り込んで1階のボタンを押す。エレベータが動きだし、しばらくしてドアが開く。降りてみると

4階だった。あれ? 振り向いたらエレベータがない。壁になってる。まわりもカビたコンクリートだらけで、とてもデパートの売り場に見えない。

4階…。そう言えば聞いたコトがある。「不吉な数字だから」という理由でデパート業界では4階の表示を飛ばして3階の次は5階になっているらしい。

というコトは、いま僕がいるココはいったいドコなんだ。

03/22

NPO

50人くらいの難民を引き連れて、身元引受人になってくれるヒトを捜しつつ昔通った小学校の通学路を南下していた。

誰一人引き取ってもらえるコトなく実家まで到着。雲行きが怪しくなってきたので、雨露をしのぐために今日は全員を泊めるコトにした。

「タバコ吸ッテイイデスカー」
「どうぞ」

しかし僕ん家は昔の建築物なので換気扇がない。ゲホゲホゲホ。50人分の煙が充満して息苦しい。

雨が降ってきた。しかし僕ん家は昔の建築物なので雨漏りが酷い。寝るどころじゃなくなった。

03/21

裁縫家

荒修行で全国的に有名な洋裁教室へ通い始めた。

切り立った崖の上で刺繍をやらされる。裁縫中に銃弾が飛んでくる。なんて厳しいんだ。挫けそう。

TVでよく見かける芸能人もたくさん修行に来てる。僕の隣では何とか恭子伏せ字ではなく、夢の中の名前そのまんま。目が覚めてからネットで調べたら「深田恭子」だった。知らない名字は「何とか」で済ませてしまえるアバウトな自分の頭が好き。が銃弾を避けながら裁縫している。

「裁縫中に死んだ母の意志を継ぐために来ました」

そうか…何とか恭子のお母さんはプロの裁縫家だったのか。プロはモンスター相手に裁縫で戦わなきゃいけないもんな。

あ、今、視界の端で愛川欽也が弾に当たって崖から落ちた。

卒業試験の日がやって来た。師匠に認められれば一人前の裁縫家として戦っていける。まずは何とか恭子。

布地に出来合いのアプリケを載せて両端2カ所を糸で縫い付けて「できました」と言った。そんな程度では洋裁と呼べな…。

「合格」

えええっ! 師匠、そんなんでいいんすか。

03/07

パンデミック

駅のホームで電車を待っていたら、亀の頭に首輪をして散歩している課長がやって来た。

「隣の駅はゾンビが流行ってるらしいから、出掛けるなら気を付けた方がいいよ」

しばらくして隣の駅からやって来た電車にはゾンビがビッチリ詰まっていた。

03/01

京都消失

暇だったのでボーッとTVを観ていた。

TV
「次のニュースです。今日から京都府が埼玉県になります」

マジで!! 飛び地すぎるだろ、ソレは。僕はさっそく「元」京都まで車を飛ばした。「元」京都へ近づくにつれ、まわりを走る車にピンクや緑の外車が増える。乗っているヒトも外人さんっぽい。

「外人さんが多いな。そら京都も埼玉になるわ」

さしたる根拠もなく納得した。

高速道路に入って走っていると雨が降ってきた。車が濡れて塗装が剥がれ始めた。僕の車は水性塗料だったのか。

外装も剥がれ始めた。部品は糊付けか。部品がボロボロ取れ続けて、車が原チャリになった。原チャリで雨の高速を走る訳にもいかないのでサービスエリアに寄った。

※ココで目覚ましが鳴ったので起きて仮面ライダーディケイドを堪能。※観終わって二度寝。

サービスエリアは外人さんでいっぱいだった。みんな英語。何言ってるのかわからない。日本語が通じないのは不安だ。トイレの中から日本語が聞こえてきた。日本人もいたのか。ちょっと安心した。

「紙!! 紙がない!! 誰か紙!!」
「What?」

トイレの近くにいた外人さんに助けを求めている。日本語が通じないのは不便だな。

ゴッツい外人さんに後ろから頭を掴まれた。

「○%△※×$」

何を言ってるのかわからない。外人さんが胸元から日本語の書かれたフリップを取り出した。

「金目のものをよこせ」

あ、物取りか。いや納得してる場合ではないな。これはまずい。アクセルフルスロットルで脱出。

…しようとしたら原チャリがウィリーして振り落とされた。気まずい。ヒトリで走っていくな、僕の原チャリ。いや車。

01/31

服部半蔵

新しいアパートに引っ越したら、友達がお祝いにやって来た。数年ぶりに会う友達は、筋トレのしすぎで肩が上方向に盛り上がっていた。

「カッコイイやろ?!」

いや…僕にはイデオンに見える。

友達が言うには、このアパートは戦国時代にお城として建てられたもので国宝級のお宝が埋蔵されているらしい。

なんと。城だったのか。見た目はごく普通のプレハブなのに。

そーいえば、引っ越してくる前から床の間に甲冑が飾ってある。怪しすぎる。甲冑の頭を取ってみると、中からすばらしい絹織物が出てきた。

その夜、忍者がわらわらと湧いて出てきた。僕から絹織物を奪おうとする。敵は50人くらいいる。とても勝てない。そこへ別の忍者が現れた。

「拙者、忍者服部半蔵ただいまでござる」

よくわからないが、たぶん味方だ。半蔵は敵を次々と倒していった。

「ありがとう。助かった」
「無事でなによりでござる。拙者は帰るでござる」

ふと気がつくと、絹織物がなくなっていた。半蔵め…。

01/29

狼男の主張

僕は旅人。友達数人と旅行中。ココは偶然通りかかったどこかの田舎町。

スーパーマーケットで買い物をしているとオオカミが現れた。みんなオオカミから逃げる。僕もオオカミから逃げる。

友達はオオカミに追いかけられる。このままでは友達が危ない。僕は叫んだ。

「ジャングルジムに潜るんや! オオカミは体格が大きいから引っかかって中に入って来られへんハズや!」

友達はジャングルジムに飛び込んだ。

いかん。友達も引っかかった。オオカミが追いついた。ガシガシ噛まれてる。今のうちに逃げよう。お前の死は無駄にしない。さようなら友達。

その夜、田舎町に狼男が現れた。黒い影がコッチに向かって走ってくる。急いで旅館の戸締まりだ。

こんなときに限って、旅館の窓には引き違い戸の軸にネジをまわす面倒な鍵が付いている。気持ちが焦ってネジをちゃんと挿せない。

窓を勢いよく開けて狼男が入ってきた。昼間オオカミに噛まれた友達だった。狼男は叫んだ。

「さっき狼男になったばかりやのにヒトの襲い方なんかわからへん」

かわいそうな友達。

01/15

伝説のあの肉

街中がパニックになって人々が逃げ惑っている。目の前を走りすぎようとした相手を呼び止めて「どうしたのか」と訪ねた。

遙か古より地下で眠っていた巨大マンモスが道路を突き破って地上に現れ、暴れているらしい。「君も逃げろ」という忠告に従って僕も走った。

曲がり角を曲がったトコロで、全身が硬直した。目の前にそいつがいた。

こ、コイツがマンモ…マ…マンモー? ギャートルズのマンモーじゃねーか。

古くから伝わる伝承によると、ココからちょっと先へ進んだ山にマンモーを倒せる伝説の戦士が眠っているという。

イヤな予感がしつつ戦士の墓を探し出す。石棺の中で眠っていたのは、ギャートルズのお父さんだった。やっぱりな。

現代に復活したお父さんはマンモーに体当たりして一撃で倒した。そして再び長い眠りへとつく。肉は? 輪切りにした肉は?!

あの肉は食えなかった。残念でならない。

01/06

ケンシロウ・アトム・マリオ共同戦線

ココは荒廃したサザンクロスシティ。河のほとりにヒトリたたずむリン。河の中から何かが突然飛び出す。

「ムホーッ!」

筋肉ムキムキのゴリラみたいなケンシロウだった。ケンシロウ、リンを小脇に抱えて再び河へ逃走。サザンクロスシティの憲兵が慌てて追ってくる。ケンシロウは河の中を潜水しながら泳ぐ。

追う憲兵。

逃げるケンシロウ。

白目をむくリン。

リンが溺死寸前だというコトに気づいたケンシロウは河からあがって最寄りの民宿へ。宿の2階で海パン一丁の謎の青年に出会う。

彼は足首を内側に曲げた妙な歩き方で近づいてきた。不満そうな口調でブツブツと語り出す。

「僕、鉄腕アトム言うねんけど」

しばらく沈黙。

「足からロケット噴射して空飛べんねんけど」
しばらく沈黙。
「足なんかにエンジンと燃料入りきるわけないやん。そやから足の裏からバーニアがはみ出してんねん」

確かに足の裏から黒いもの30cmほど突き出てる。

「普通に歩かれへんねん。飛んだら飛んだで、足とバーニアの隙間がガタついて痛いねん」

青年へと成長したアトムは、足に付いているロケットの性能に不満があるらしい。

やがて憲兵が居場所をかぎつけて攻めてきた。アトムが言う。

「外に車用意したったから、乗って逃げ」

外に出るとカートが2台停まっていた。運転席に座っているのは、マリオとルイージ。カートの後ろに乗り込んでさあ逃げよう、というトコロでケンシロウが叫ぶ。

「しまった! 旅館のスリッパ履いてきた!」

そんなんどうでもええやん、と誰もが思いつつ。靴を履き替えに戻ったケンシロウは憲兵に捕まった。

01/03

エアバンドマン

友達がウチにやって来て言った。

「バンドのオーディションを受けるからリードギターを担当してくれ」
「僕ギターなんて弾けないんだけど」
「何とかなる」

断っても食い下がってくるので、しぶしぶ引き受けた。

ギターの勉強も練習もすることなくオーディション当日を迎える。特別ゲストの浜田雅功が笑いを取る素振りもなく、フツーに歌を披露しだす。まるで一介のミュージシャンのよう。…けど、すっげー音痴。

「浜田てこんなにヘタだったっけ?」

舞台袖で友達に耳打ちしたつもりが本人に聞こえてしまった。

暴れる浜田。

逃げる僕。

主催者側が慌てて僕たちのトコロへやって来た。

「このままではオーディションが無茶苦茶になる。さっさと歌って帰ってくれ」
友達がアンプにパソコンを繋ぎ始める。起動しているのはDTM。
「再生ボタンをクリックしたら曲が流れるから、うまく合わせてね」

オーディションなのに口パクかい。しかも歌だけじゃなく伴奏まで。やる気あんのか。