第8弾お絵描きワークショップ 「たどる・切る・つなぐ」
 
 


2007年4月29日
場所 山科身体障害者福祉会館
参加者数 目の見えない人、見えにくい人:10人
見える人:15人
見学:3人

── むかひらまゆみ報告 ──

ワークショップ開始 初夏という言葉がぴったりな爽やかな日曜日、第8回目のお絵描きワークショップが行われました。 今回のワークショップのタイトルは「たどる・切る・つなぐ」。画材は、ビューのワークショップではお馴染みのカッティングシートとラインテープです。
まずはじめに、見えない人や見えにくい人とそのサポーターで二人一組になってもらい、参加者全員の自己紹介から始まりました。
今回は、ビューの活動やワークショップに興味を抱き、見学を希望される参加者もおられ、総勢28名、会場が狭く感じられるほど、活気溢れる場となりました。

見える人も見えない人も、初めての参加者もあれば、常連さんと言える方々もおられます。初めて参加した人は、どんなふうに描くんだろうと想像もつかず、不安と期待をないまぜた様子。一方、何度も参加している人の中には、早く始めたくてウズウズという様子の人も。

最初に講師の光島さんから、ラインテープやカッティングシートの使い方の説明がありました。
カッティングシートとラインテープ 製図用のラインテープは細く、裏に接着剤が付いていて、指で押さえながら、時には真っ直ぐに、また時にはカーブを描くように接着していきます。
カッティングシートも接着剤が付いていて、はさみやカッターナイフで好きな形に切って紙に貼り付けていきます。どちらもいろんな色があり、サポーターと共に、色や形を相談しつつ、指で形をたどりながら絵を描く訳です。
カッティングシートは高価なものなのですが、今回は、ビューの活動に賛同して下さったある会社から寄付して頂き、いつもよりふんだんに使えるので、常連さんの中には、意欲満々の嬉しそうな笑顔も。

さて一通りの練習が済んで、光島さんから、「これから音楽を流すので、それを聴いて湧き上がるイメージを絵に描いてください」との説明。
やがて流れてきた音楽は、なんとも不思議な音。
サウンド・アーティスト鈴木昭男という人が、自分で作った楽器を自分で演奏しておられる「アナラポス70」という曲なのだそうです。
水滴が落ちるような音から始まり、それが広がり変化し、渦巻き、不気味ささえ感じるような・・・最後はまた最初の水滴のような音で終わりました。
皆さんを見ると、見える人も見えない人もほとんどの人が目を閉じて、音楽に聞き入っています。
それぞれの人の頭や心の中に、それぞれのイメージの世界が広がっているのでしょう。

音楽が終わると、A4のケント紙4枚を長く張り合わせた用紙が配られました。いよいよ絵の制作です。
今の音楽を聴いて頭の中に描かれたイメージを絵にし、いったん完成した絵の 貼り合せ部分を解いて、さらにそれを、今度は元とは異なった方向に貼り合せるというのが課題です。
《制作スタートの様子》
制作開始の様子1 制作開始の様子2 制作開始の様子3
説明が終わるのを待ちきれないように制作を始める人、どんなふうにしようかと悩む人、サポーターと相談する人などなど、取り掛かる様子もスピードも異なりますが、皆共通して、自分のイメージをいかに描くかに集中しています。
何をどんなふうに描きたいか、どんな色を使いたいかをサポーターに伝え、サポーターは制作者の希望に合うよう材料を揃えます。また時には、ちょっとしたアドバイスで制作のイメージを引き出したりということも。
《制作途中の様子》
制作風景1 制作風景2 制作風景3
多くの方が、水滴、水の流れ、海といった水に関するイメージを絵にされていました。不気味さが印象に残ったのか、洞窟や怪獣のようなものを描いている人もあり、また足音を感じ取った人もありました。一つの音楽を聞いても、出来上がった作品は様々に異なり、一人一人の個性を感じました。

《前半完成作品》 写真をクリックすると拡大写真が表示されます。
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前半作品1 前半作品2 前半作品3 前半作品4 前半作品5
前半作品6 前半作品7 前半作品8 前半作品9 前半作品10
出来上がった人から順に、貼り合わせを外した4枚の絵を、違う方向に貼り直します。せっかく出来上がった絵をバラバラにしてしまうのが辛そうな様子の人もありましたが、そうして出来上がった絵からは、また不思議に新鮮な面白さが感じられました。

《貼りなおして出来上がった作品の例》
写真をクリックすると、貼り直して完成するまでの工程を見ることができます。
貼り直して出来上がった作品1 貼り直して出来上がった作品2

ここでしばらくリラックスタイム。お茶とお菓子で気分転換です。

後半制作風景1次は、大きな用紙や黒ベースなど、用紙を選ぶことができます。テーマは自由。全く新たな絵を描く人もあれば、先ほどの絵に新しい用紙を貼り合わせて大きくし、続きを描く人もありました。
大きな絵を描くのが好きで、用紙がテーブルに載り切らず、直接床の上で制作している人の姿も見られました。
後半制作風景2 描いた部分を指でたどりながら、「今度は派手な色合いで。」「ここにテーブルとお茶を置きたい。」などなど、制作者とサポーターは、会話を通してイメージを共有し、一つの世界を創り上げ、それが画用紙の上に表現されます。
出来上がった作品は、ある意味、サポーターとのコラボレーション。サポーターとの出会いもまた、絵の要素の大切な一部分なのかも知れません。

最後に完成した作品を発表していただきました。
童話のような絵もあれば、抽象的な絵もあり、写実的な絵もありましたが、どの絵も楽しい色使いで、興味深く見せていただきました。
時間が足りず物足りない方もあったようですが、自分の思いを絵という形に表現できる楽しみを味わってもらえたと思います。

後日、参加された方々から「また参加したい」「私たちに絵を教えてくれる場が欲しい」などというお便りが寄せられました。ビューでは、こんな意欲的な皆さんの気持ちを大切に、これからも活動を進めて行きたいと思っています。

《後半完成作品発表の様子》 皆さんの笑顔が印象的です!
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後半完成作品1 後半完成作品2 後半完成作品3 後半完成作品4 後半完成作品5
後半完成作品6 後半完成作品7 後半完成作品8 後半完成作品9 後半完成作品10
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